違和感のある言葉
言葉は変化していくもの,と認めていても違和感のある言葉があります。
そのような言葉の例を挙げてみましょう。
「見える化」:発祥は某自動車メーカーでしょうか(?)。「可視化」には無い意味を含ませようとの意図でしょうが,動詞そのものに『化』を付けるという乱暴さに抵抗を感じます。「聞こえる化」,「感じる化」などと増殖していくのでしょうか。気味が悪いですね。
「気付き」:世の中で かなり一般化しているようです。「新たな『気付き』がありました。」,「『気付き』や発見により・・・」などと使われています。
動詞の連用形が名詞化するのは「恐れ」,「流れ」,「歩み」,「刻み」,「話し」,「走り」など普通のことでしょうが,「気付き」はどうも こそばゆい。「学び」というのも目にします。「今回の研修では多くの『学び』があった。」などど使います。「多くのことを学んだ。」,又は「学ぶべきことが多かった。」ではまずいのでしょうか?「何か お『気付き』の方はいらっしゃいますか?」
「人間力」:よくわからない言葉です。「部下の『人間力』を引き出すのが上司の務めだ。」などいう言い方をします。「風力」,「火力」,「水力」,「原子力」は発電するエネルギーのことです。人間力は多分,仕事をするエネルギーだから同じことなのでしょうか。「『野菜力』で健康体を!」,「『でんぷん力』で『脳力』をUP!」,「『焼肉力』で明日の活力を!」なども 既にあるのでしょうね,きっと。
「とらまえる」:30年も前から聞いています。「つかまえる。」と「とらえる。」をミックスした言葉で 「把握する。」くらいの意味でしょうが,「この機会をとらまえて・・・」というのは よくわかりません。感覚的には 「泥棒をひっ捕まえる。」くらいに聞こえます。
若い頃,初めて聞いたときは,この人は国語を知らないのでは-と疑いましたが,意識的に「造語」としてインパクトを込めて,あるいは期待して使っていたようです。職階が高く,それなりの年齢の人がよく使っていました。品のない言葉で,何の躊躇いもなく使える人をまともに相手にしたくありません。
「何でもあり。」の大変な世の中です。
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