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2008年11月27日 (木)

単位の話 (その2 “質量”)

単位の七つの基本量の中のひとつ 「質量」について 考えましょう。

子供の頃は 「質量」という概念はなく 「重さ」でした。今でも 通常世間では 「xx kg」というのは「重さ」(重量)として通用しますが,「kg」で表す量は 厳密には「質量」です。「重さ」は 地球の上では W=mg で表され,m(質量)に g(重力加速度)を乗じた 「力」です。故に 重さの単位は “kg・m/s^2” です。力を表わす式:F=mα (α:加速度)と同じですね。

地球上での重力加速度は一定ではない(例えば,極に比べると赤道上は小さい)ので 地球上の各場所で 厳密には重さ(W)は変わります。質量(m)は不変です。

質量の基本単位は “kg(キログラム)”(グラムではないのですね。)で,その定義は 基準のおもり 『国際キログラム原器』(The International Prototype of The Kilogram)です。この原器はパリの「国際度量衡局」(BIPM,“Bureau International des Poids et Measures”)に保管されており,1889年に開催された「第1回 国際度量衡総会」で 「『国際キログラム原器』の質量を 1キログラムとする。」という定義が決議されました。そして この定義は現在も継続しており,基本単位の定義として 唯一 目で見える物質で定義される単位です。

Internationalprototypekilogram

「キログラム原器」は プラチナ 90%,イリジウム 10%の合金で出来ており,形状は 直径・高さとも 39mmの円柱です。複製が40個製作され 各国に配布されました。日本には 1890年に届いたそうです。 この日本に配布された『日本国キログラム原器』は 現在は つくば市の 「産業技術総合研究所」に保管されています。錆は勿論,指紋付着による質量変化も許さない管理がされているようです。

1キログラムは もともと 「1リットルの水の質量」であり,この定義のためには長さの定義が前提として必要ですね。『国際キログラム原器』で定義される前の 1キログラムは 次のように定義されていました。

「最大密度(液温4℃)における蒸留水1リットルの質量」

この定義の問題は 「水の密度は温度だけではなく 気圧に影響される。」 さらに「気圧には質量の因子が入る。」で 循環してしまい 厳密な定義が不能ということでした。

因みに 日本で昔使われた質量の単位は 「匁(もんめ)」とその1,000倍の「貫(かん)」でした。1匁は 1891年(明治24年)の 「度量衡法」により 3.75g,1貫は3.75kg と規定されています。 1匁の出所は  一文銭の質量だったそうです。それを継承してか 現在の 5円硬貨の質量は 3.75g=1匁です。

日本では メートル法がなかなか一般には広まらず(米国は未だに foot-pound ですからね,いろんな意味で大した国です。),尺貫法からメートル法に実質的に移行したのは 第二次世界大戦後,メートル法の使用を義務付けた1951年(昭和26年)施行の「計量法」以降です。それ以後,小学校から 尺貫法による教育はされなくなったので 戦後生まれの世代はメートル法しかわからなくなりました。

1948年(昭和23年)生まれの私の「臍の緒」が入った桐の箱には 上記の「計量法」以前の誕生なので 「体重:1貫180匁」と書かれた紙が貼られていました。4,425g(!)になります。

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