還暦のダッフルコート
学生時代,ダッフルコートが欲しいと思いながら バイトをして手に入れるほどの執着心はなく,就職してからは サラリーマンは着る機会が少ないだろうと今まで保有することはありませんでした。
去年,還暦前年となって 「還暦過ぎの男には ダッフルコートが良く似合う。」と勝手に思うようになり,ダッフルコート購入にむけて どのメーカーのどのタイプにすべきかを検討しました。
スーツの上に着ることは考えないので 今風にアレンジされておらず どちらかと言えば無骨な雰囲気であること。したがって 生地はヘリンボーンなどソフィスティケイトされたものではなく シンプルな厚手のウールメルトン,かつ,スリムではなく タップリしたタイプとしました。
検討結果,決めたのは ダッフルコートの老舗,英国 グローバーオール(Gloverall) のMonty でした。Montyの タイプ “575-52”が 大戦中モデルの復刻版と言われるもののようです。 “52”は生地の種類を示す記号で カタログでは-呼称:“Boiled Wool”,素材:“Wool 90%,Polymide 10%”,色:“Beige,Earth,Navy”と示されています。キャメルではなく ベージュなんですね。Beigeがもっとも選択意図に合うと思えますが,私は 冬でもベージュのチノパンを穿くことが多いので 敢えて Navy としましょう。“Monty” という名前は 英国陸軍のモンゴメリー元帥(“Barnard Law Montgomery”)の愛称からつけられたそうです。モンゴメリー元帥は 1942年,北アフリカ戦線で ドイツ軍の名将,「砂漠の狐」 ロンメルを破ったことで有名で ヨーロッパ戦線で転戦中 ベルギーの漁師から ベージュのダッフルコートをプレゼントされ 愛用していたとのことです。
材質は “Wool Melton” ではなく “Boiled Wool” なんですね。“Boiled Wool”とは-Wikipediaには “Boiled Wool is created using a mechanical knitting process which involves a set pattern that is then shrunk.” とあります。どうも 湯につけて 繊維/織りを締める,ということでしょうか。
直接 見て,着て,触って 購入したいので ネット購入は遠慮して どこかの店で買おうと思っていました。
去年の秋,丸の内で ワイフがどこかの店に入り,私は煙草を吸おうと皇居の方に明治安田生命ビルの横を歩いていて 新しい店に気付いて入ってみました。LIPSETT という店で そこで 写真で見覚えのあるダッフルコートを見つけ その場で購入しました。
木製トグルに麻紐 3箇所留めで,脚が動きやすくなっており,丈は短めです。
ポケットにフラップはありません。
裏地はなく 一枚仕立てです。したがって すべりが悪く,コーデュロイの上着を着ていると袖を通すとき 若干苦労します。
麻紐に 無理な力がかからないよう 一箇所 スナップで留められます。
力がかかる部分は 裏に布テープによる補強が施されています。
動き易さを考慮して留めがかなり上で終わっている代わりに 裾のバタツキを防ぐ為,裾裏下部に脚を通す レッグストラップが付いています。
フードにスナップが片側4個付いています。これは 一番下のスナップ(凸)を上三つのスナップ(凹)のどれかと留めて フードを上下方向に絞り 風の侵入を防ぐ目的です。
Gloverall のタグがポケットの裏側に付いています。首裏の位置は LIPSETTのタグが付いています。
Chin Strap(Protecter)は長方形の貼り付け式で 2つボタン留めです。
*写真は色が正しくでていません。濃い色が実際に近い色です。
(上の写真は Gloverall社の ホームページから)
第二次世界大戦中の写真で ダッフルコートの原型ですね。まるで 毛布を被っている感じで タップリとしています。左から2番目と3番目の男はスナップ・アジャスターでフードを絞っています。
これをベースにデザインされたMontyは 機能的で 飾り気のない 質実剛健と言えるダッフルコートです。
今年の冬は出番があるでしょうか?
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