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2010年4月24日 (土)

母親は悲しい。

4月22日,ある裁判員裁判の判決がありました。

去年発生した,67歳の母親が40歳の長男を刺殺した事件の裁判です。

報道によれば-

  • 長男は自殺未遂で 意識不明となり,生命維持装置を付ける状態となった。
  • 医師の診断は 「快復の見込みは ほとんどない。」だった。
  • 「精神疾患の証明がない場合の自殺未遂後の医療費に,健康保険は適用外」 と保険組合は判断した。
  • 10日間の医療費は 350万円となり,更に 生命維持装置に 1日 10万円の費用がかかるため,以後 1日の医療費が 10~35万円かかる,とのことだった。
  • 長男には妻と二人の子供がいた。
  • 妻は 医師に延命治療の中止を申し入れたが拒まれ、「わたしが人工呼吸器を外す。」と訴えた。
  • その話を聞いた母親は 「人にやらせるわけにはいかない。長男の嫁や孫を守るために あの子を死なせてやるのが自分の責任だ。」 と考えた。
  • 母親は それまで 務めていた民生委員の辞表を 犯行の前日に提出した。
  • 犯行当日,母親は 20年前に一緒に旅行した時の息子の写真と 40年間 使った包丁を持って 病院に向かった。
  • 生命維持装置を付け,痙攣を繰り返す息子の左胸を4回刺して 死に至らした。
  • 事件後,医療費の保険適用が決まった。
  • 検察の求刑は 「懲役 5年」だった。

4月22日の判決は 「懲役 3年,執行猶予 5年」 でした。

「裁判長は 判決の言い渡し後,『これは 人を殺すことで事態を打開することを認める判決ではありません。』 と被告に説諭。さらに,『特にお孫さんたちには,あなたが許されたわけではないということを伝えてください。これが裁判員の思いです。』 と続けると,被告は涙ながらに 『ありがとうございました。』 と深々と頭を下げた。」 と報道されています。

悪人は一人もおらず,被告を恨む人は一人もいない 悲しい事件です。

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