‘Food desert’から抜け出すためには-
最近 買った 「教科書に載ってないUSA語録」(町山智浩氏著,(株)文藝春秋社) に ‘Food desert’という言葉がありました。
直訳すれば 「食料(食品)砂漠」で,日本人でも 大凡の意味・内容は理解できます。
これは 近年,世界的傾向(少なくとも 英国,米国 そして日本では)となっている問題です。
小売り店の廃業,過疎化,住民の高齢化,交通手段の欠落(公共交通機関の廃止・減便,自家用車なし)などが原因で,食料品の購入が満足にできない郊外や田舎の地域のことを言っています。
‘Food desert’は 三つの ‘access’が絶たれた,もしくは 正常でない状態です。
日本の場合,上述した食料品店への‘access’の困難さが主な問題ですが,米国の場合,単に 「物理的アクセス」(‘Physical access’)の問題のみでなく,これに加えて ふたつの ‘access’も問題となっています。(三つが絡み合っているとも言える。)
ひとつは ‘Financial access’(金銭的アクセス)。
新鮮で健康に良い食品は相対的に値段が高く,又,そのような食品を売っている食料品店に行く交通費を払う余裕がないため,近くで手に入る 栄養的に劣る食品,‘junk foods’などに手を出してしまう状況があることです。
特に 低所得者が居住する地域には 食料品店がなくとも,‘Fast Food’の店はあって,そこで食事を摂るため 肥満の人が多くなる結果につながります。
‘Food desert’で 肥満とは皮肉です。
これは又,次の ‘access’とも関係します。
極端な ‘Financial access’問題としては 住まいを持たず,従って 調理手段のない人々が含まれます。
残りのひとつは ‘Mental attitude/Knowledge access’(知的アクセス)です。
「栄養学」とまでいかなくとも 「健康に良い食事/その選択 あるいは調理法」に対する知識 あるいは意識を指しています。それらの欠落が ‘Food desert’を作ります。
‘Food desert’を脱出するためには この三つの‘access’を持つ(通じる)ことが必要条件のようです。
それぞれ難しい ‘access’で,個人の努力だけでは抜け出せるとは思えません。
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