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2013年6月20日 (木)

MOL コンテナ船事故,原因究明を待つ。(最新情報更新中)

6月17日正午頃(現地 7時頃),インド洋を東から西に航行中の商船三井(MOL)のコンテナ船 ‘MOL COMFORT’が 荒天下(風力 7,うねり 6m),浸水し,中央部で前後に破断する事故が発生したと報じられました。
日本の船としては 近年 稀な大事故です。

船種 : コンテナ船(8110TEU)
載貨重量 : 90,613 ton
全長×幅 : 316m×46m
積荷 : コンテナ4,382ユニット(7041TEU)
  (*積載コンテナが20’と40'のみなら,20':1723個,40':2659個)
乗組員 : 26名(ロシア人11名、ウクライナ人1名、フィリピン人14名)
船籍 : バハマ  
就航年 : 2008年
(*TEU は 20'コンテナ換算個数)

乗組員は全員救助され,コロンボに向かったようです。

Molcomfort1
船体中央部が折れ曲がっています。
海面に救命筏が降ろされているのがわかります。

Molcomfort2_2Molcomfort3

完全に前後に分離しました。

Molcomfortinhalf_2船首側が前後を逆転して,船尾側半分の横に並んでいます。

19日時点で 2ktで東北東に流されているもようです。
同日,MOLは 曳航準備のため Jebel Ali(ジュベリアリ、U.A.E)港から監視船を向かわせ,23日に到着する予定とのことです。
(その後,変更されて 24日着。付近は荒天が続き,視界不良のため,前部は確認中。 6/20 MOL発表。

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●追記:2隻のタグボートも現場海域に向かっており,24日到着予定とのこと。6/22 MOL発表。2隻では不足と思われますが・・・。
●追記:3隻のタグボートが向かっており,2隻が 24日,1隻が25日頃 到着予定。23日 MOL発表
●追記:3隻のタグボート,1隻の監視船 全て 24日に到着する見込み。24日 MOL発表
追記:25日 MOL発表 第9報によると,タグボート3隻と監視船1隻は 現場海域に到着し,26日に到着予定の追加のタグボート1隻と合わせて曳航準備を進めるとのこと。前後の船体を,それぞれ2隻づつのタグボートが曳くようです。前後に就くのでしょうね。
このうちの1隻には 事故の発生状況や,船体の破損状況等の確認のため建造造船所である三菱重工の技術者2名が同乗しているそうです。
合わせて,就航中の同型コンテナ船 6隻に対して,乗組員による点検実施,さらに可能な限り早い機会に三菱重工と船級協会による安全点検を行うとのことです。

追記:26日 MOL発表 第10報によると 「6月24日に現場海域に4隻の曳航船・監視船が到着しております。船体前半部についてはアラビア湾方面に向け曳航を開始しました。船体後半部については引き続き監視を続け曳航の準備を進めております。」とのことです。
●追記:27日 MOL発表 第11報によると,船体前半部は安定した姿勢でアラビア湾方面に向けて曳航が続けられているものの,「船体後半部については荒天の状況下で船体が激しく動揺しており,遺憾ながら貨物倉への浸水と甲板上に積載している貨物の流出が進行しております。曳航作業に着手できておりません。引き続き監視を続けております。(日本時間 26日 午後11時)」
とのことです。
●追記:27日 三菱重工発表(本件 その4)によると 三菱重工,MOL,船級協会(日本海事協会)の3者で 原因調査・究明中。
就航中の同型船 6隻に対して 「
再発予防措置として十分な船体構造の強化対策 (IACS(*)に準拠した船舶検査機関の船体強度基準の約2倍) を可及的速やかに実施致します。」((*) IACS:International Association of Classification Societies(国際船級協会連合))
とのことです。
この記述は 船体構造のどの部分の何を現行強度基準の約2倍にするのか定かではありません。現在の構造強度の約何倍かも分りません。
船体全体のビームとしての強度が問題で壊れたとして,単純に解釈すれば,この強度を2倍にすることになりますが,不可能だと思います。(現在の強度の2倍とは言ってないにしても)
但し,具体的に 破断の起点となった構造部分が明らかで,その部分の強度を2倍にするというのなら分らないではありませんが,既に その部分が分っているのでしょうか?
又,疲労強度(寿命)を2倍にするというのなら 何となく分らないではありませんが,疲労強度の文言はありません。
余り 詳しく述べても 混乱するだけだと,できるだけ簡潔に報告したのでしょうが,やや舌足らずの気がします。何の条件も示さない‘2倍’には 驚きます。

●追記:27日 MOL発表 第12報 「緊急報告」によると 日本時間 6月27日 午後4時48分頃,船体後半部は沈没したそうです。北緯14度26分/東経66度26分付近の公海(水深約4,000メートル)。後半部には 1,700個のコンテナが積載されていたとのことです。
○追記:28日 損傷調査のため タグボートで現場海域に行った三菱重工の技術者二人は 設計部門所属だと想像します。自分が設計した船が沈む現場を観ることになったとしたら,辛い,もしくは それ以上のショックがあったでしょう。
●追記:27日 三菱重工発表(本件 その5) によると,同日の同型就航船6隻に対する「強度up」策の表現が変わり,次のようになりました。「
2013年6月27日付『コンテナ船MOL COMFORT海難事故について(その4)』にて,お知らせ致しましたとおり,株式会社商船三井運航の同型船6隻は,船舶検査機関の構造規則を満足しているものの,株式会社商船三井,船舶検査機関との協力により,再発予防措置としての十分な船体構造の強化対策を実施予定です。」
「現行基準の約2倍」の表現が消えました。

●追記:30日 MOL発表 第15報によると 船体後半部が沈んだ海域に留まって 油の流出と浮遊コンテナの状況を監視している監視船は 海面の油膜は確認してないそうです。
沈んだ後半部(機関室を含む)には燃料等 推定約 1,500tonの油が積まれていたとのことです。水深 約4,000mなので 油タンクに少しでも空間があれば 沈んでいく途中(数百m?)の水圧でタンクは崩壊し,油は漏洩していると思いますが・・・。

○追記:7月1日 Class NK発表 (船級協会として,本船を検査承認した日本海事協会 Class NK が 6月28日付で,事故以来 初めて,そのホームページに 「コンテナ船 MOL COMFORTの海難事故について」と題して報告していました。)
「本会は、“MOL COMFORT”の海難事故を受けて、松井敏友副会長をチームリーダーとする事故調査チームを結成しております。現在、株式会社商船三井,三菱重工業株式会社 及び旗国政府などとも協力して事故原因の究明に全力を尽くしております。」
です。

●追記:7月2日 MOL発表 第17報によると 「西北西に曳航を続けておりました船体前半部の曳航索がはずれ,現在3隻の曳航船で復旧作業を行っています。作業完了次第,西北西に曳航を再開します。(日本時間 7月1日23時 時点)」とのことです。
●追記:7月3日 MOL発表 第18報によると 「7月1日に船体前半部の曳航索がはずれ,救助業者が復旧作業を行っておりましたが,作業は無事完了し曳航を再開しました。(日本時間 7月2日 23時 時点)」 とのことです。
●追記:7月4日 MOL プレスリリース によると,本船事故の原因究明の技術コンサルタントとして,船級協会の「ロイドレジスター」(‘Lloyd's Register of Shipping’,本部 ロンドン)を起用したそうです。
8,000TEU以上の大型コンテナ船の図面承認・建造検査が100隻以上(建造中を含む)の実績ある船級協会とのことですが,本船が船級登録しているNK(日本海事協会)は,やや立場がないですね。
医療で言えば,「セカンド・オピニオン」?
図面承認した船級協会が 「原因究明」するというのも何か割り切れないものがあるので(企業コンプライアンス上?),第三者機関として ロイド船級協会が技術コンサルタントとして調査するのは妥当でしょう。
‘MOL-三菱重工-日本海事協会-ロイド船級協会’,結論としての原因は 4者 合意が必要となるのでしょうか。

●追記:7月6日 MOL発表 第19報によると 「本日(7月6日)午前9時半頃(日本時間),(曳航中の)船体前半部の後部より出火したとの報告が曳航船よりあり,直ちに救助業者に対し消火作業を要請しました。 現在,現場では1隻の曳航船と2隻の救助船が対応にあたっています。」 とのことです。
積載貨物は勿論,船体に影響がなければよいのですが。
港に着くまで あとどのくらいかかるのでしょう。

●追記:7月7日 MOL発表 第20報は,曳航中の船体前半部に発生した火災の7月7日午後1時(日本時間)での状況を伝えています。

Mol_comfort_fire
「7月6日午前9時半頃(日本時間)発生した火災に対し,直ちに救助業者に消火作業を要請し,現場で1隻の曳航船と2隻の救助船の計3隻で対応にあたっておりましたが,荒天により,現時点では火災を制御するに至っておりません。救助業者は6日午後(日本時間),インド沿岸警備隊に支援を要請しました。現在、消火設備を備えた巡視船 “Samudra Prahari” が現場に向かっております。」
心配です。
このまま沈むと 事故原因の究明に支障を来します。
原因究明結果の検証が出来ず,推定でしかなくなります。
(写真は indiatvnews.com より)

○追記:7月8日 Class NK 7月5日 プレスリリースによると, 今回 再度,次の2項目を確認したとのことです。
①本船の図面が 鋼船規則の要求事項を全て満足していること,②2013年5月29日に完了した定期検査が適正に実施され,問題となる箇所が無かったこと。
●追記:7月8日 MOL発表 第21報によると 「7月6日の火災発生後,直ちに救助業者に消火作業を要請し,現場で1隻の曳航船と2隻の救助船の計3隻で対応にあたっております。現時点では,強風と波浪に阻まれ火災を制御するに至っておりません。救助業者がインド沿岸警備隊に支援を要請しておりましたが,消火設備を備えた巡視船 “SAMUDRA PRAHARI” が,7月8日午前9時半頃(日本時間)現場に到着しました。」 とのことです。

●追記:7月9日 MOL発表 第22報によると 「7月6日の火災発生後,現場で対応にあたっていた1隻の曳航船と2隻の救助船に加え,インド沿岸警備隊の巡視船 “SAMUDRA PRAHARI” が7月8日午前9時30分頃(日本時間)に現場に到着し,消火活動を開始しましたが,強風と波浪に阻まれ難航しており,現在,鎮火には至っておりません。甲板上の多数のコンテナの焼損が視認されております。」 とのことです。
写真では 炎は見えなくなっているので 燻っている状態でしょうか。


Mol_comfort_fire_001Mol_comfort_fire_003

Mol_fire_001Mol_fire_004

甲板上のコンテナは 焼損しているようです。
甲板側部に積まれた 20' コンテナが 今にも倒れそうです。
船腹の ‘MOL’の文字のうち ‘L’のみが辛うじて読めます。
沈まないことを念じています。

●追記:7月11日 MOL発表 第24報(緊急報告)によると 「6月17日にインド洋を航行中に船体が中央部で2つの部分に破断した当社運航のコンテナ船 “MOL COMFORT(エムオーエル コンフォート)”の船体前半部は,火災の進行とともに傾斜が進み7月11日午前4時頃(日本時間),北緯19度56分/東経65度25分付近の公海(水深約3,000メートル)にて沈没しました。」 とのことです。
今後の 原因究明が難しくなりました。
同日の 第25報によると 前半部には 燃料油など油類 推定 約1,600 tonがタンクに残っていましたが,多量の油流出は確認されてないそうです。
前半部にも燃料タンクが配置されていたようです。
○追記:7月13日 Class NK 7月12日 プレスリリースによると,「・・・事故原因の究明において重要な情報になりうると考えられていました本船の船体前半部は,残念ながら7月11日に沈没したと株式会社商船三井より公表されました。
この現状を踏まえ,本会は,原因究明を加速し,本年9月上旬までには,一定の見解を取りまとめる予定であります。」とのことです。

○追記:7月26日,国土交通省・海事局安全政策課 7月23日 プレスリリースによると,「本船の事故状況を鑑み,業界関係者及び専門家を参集し,コンテナ運搬船の今後の安全対策のあり方について検討するため,「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」を設置することとした。」とのことです。
座長:横浜国立大学・角 洋一教授,委員は 「船級協会」,「船会社」,「造船所」,「研究機関」で構成,詳細は調整中で,第1回委員会の開催日は未定だが,早期に,2ヵ月程度で安全対策を取りまとめるとのことです。
最重要事項は 「原因の究明」です。原因が不明なままの 「安全対策」は無意味となるでしょうから。

●追記:8月13日,MOL 8月12日発表 「コンテナ船“MOL COMFORT”同型船に対する安全強化策の件(2)」によるとー
同型船に対する安全強化工事実施状況が報告されました。
・‘MOL CELEBRATION’: 7/12~8/3,於 三菱長崎造船所
・‘MOL COURAGE’: 7/3~8/7,於 Keppel Tuas
・‘MOL CREATION’: 7/4~8/11,於 三菱横浜製作所
以上 工事完了,以下予定
・‘MOL CHARISMA’:8/?~9/末 or 10/初,於 三菱(?)
・‘MOL COMPETENCE’: 同上
・‘MOL COMMITMENT’: ~2014/2/初,三菱(?)
工事内容は 「IACSに準拠したNK基準の約2倍に強化することを目的に計画。コンサルタントとして起用したロイドレジスターから 『今回実施した強化工事は,現在考えられる予防措置として最適と考えられる。』との見解を得ている。」と記述しているのみで 具体的にどの部分をどのように強化したかは不明です。
「約2倍に強化する・・・」の表現が正しければ,折損の状況写真と工事開始時期及び期間(3~4週間)を勘案して 「船底構造(骨 又は 板)の局部座屈臨界応力を2倍にする補強」が,もっとも考えられる強化方法でしょう。
又,「オリジナル構造は基準を満たしている。」とするなら,原因は 「積み付けミス」が考えられます。「積み付けミス」が証明できないなら,「予想できない海象による不可抗力の事故」となるのでしょうか。
○追記:8月14日,Class NK 8月14日 プレスリリース「コンテナ船 “MOL COMFORT” の海難事故について (その4)」 によると,「・・・本会の事故調査チームは,様々な可能性について事故原因の調査・解明を進めており,2013年9月上旬までに一定の見解をまとめる予定としています。
現段階の調査結果として,本会はハッチサイドコーミングを含む上甲板部については,今回の事故の起点ではないとの結論に至りました。
一方、三菱重工業株式会社及び株式会社商船三井は,予防的な安全強化策として,MOL COMFORTの同型船に対する船体強度の強化を目的とした工事の計画書を策定し,本会はこの計画書を承認致しました。本会では引き続き本件への対応に全力を尽くし,船舶の安全航行に向けて徹底的な原因究明に努めてまいります。」とのことです。
上甲板の構造が事故の起点ではないとの結論なので,「上甲板構造に適用した,新開発の降伏応力 47kgf/㎟ の高張力鋼が原因ではない。強化する構造は船底構造。」という私の推定どおりのようです。

○追記:8月27日,国土交通省・海事局安全政策課は 8月27日 「第1回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会」の開催をプレスリリースしました。
開催日は 8月29日,主な議題は「検討会の検討方針」で,検討委員会の委員は次のとおりです。
  座長: 角   洋 一   横浜国立大・教授
  委員: 上 田  直 樹  三菱重工・船海技術総括部・総括部長
           川 越  美 一  商船三井・執行役員
           木戸川 充彦  NK・船体部長
           小 林  一 也  川崎重工・船舶海洋カンパニー・技術本部長
           洲之内 満彦  日本郵船・技術グループ・グループ長
           田 村  謙 吉  海上技術安全研究所・研究統括主幹
           中 島  喜 之  ジャパンマリンユナイテッド・基本計画部・部長
           中 野  豊 久  川崎汽船・技術グループ・グループ長
           藤久保 昌彦  大阪大学・教授
大学・研究所・船級協会:4名,造船会社:3名,船社:3名 計10名の構成です。

○追記:9月2日,Class NK 8月30日 プレスリリース 「コンテナ船 “MOL COMFORT” の海難事故について (その5)」 によると, 「・・・本会の事故調査チームは,2013年6月17日の事故直後から事故原因の調査を開始し,事故原因に関する一定の見解を2013年9月上旬までに取りまとめる予定としていましたが,当初の見込みより調査に時間がかかっているため,この見解の取りまとめが2013年10月末に遅れる見込みとなりました。 ・・・」 とのことです。2ヵ月弱遅らせました。
本件の調査・検討しているグループには A.「船主のMOLと建造会社の三菱重工,コンサルタントのロイド」,B.「国交省・海事局が組織した委員会」,C.「本船の設計・建造を審査・承認したNK」 の3グループ(組織)があり,NKは他のグループにも密接な関係があり,委員として参加しているBグループ(8月29日にやっと第1回目の委員会開催,事故から2ヵ月以上経過しての開催はいかにも遅い。)が結論を出す前に,単独で見解を出すわけにはいかず,このプレスリリースを出したものと思えます。NKとしては止むを得ないでしょう。
〇追記:9月25日,国土交通省・海事局安全政策課は 9月25日 「第2回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会」の開催をプレスリリースしました。
開催日は 9月27日,主な議題は「中間報告について 等」となっています。
同時に,8月29日に開催された 第1回委員会の議事概要が次の通り 報告されました。
「大型コンテナ船の安全対策を,同型船に関する情報や波浪,貨物荷重等と船体強度の評価を行うことにより,検討していくことを確認した。」(同型船とは ‘MOL Comfort’の同型の意味でしょう。)

〇追記:10月9日,国土交通省・海事局安全政策課は 9月27日に開催された 「第2回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会の議事概要」を,10月8日にプレスリリースしました。
「・・・委員会では,事故船が建造時において船級協会(船体構造の検査等を行う第三者機関)の構造規則に適合しており,その後も必要な船級協会の検査を受け(平成25年5月29日)これを満足していたことを確認した。また,折損の解析を行うためのシミュレーション手法について討議を行い,最適な手法を選択した。今後は,シミュレーション計算の進捗等を図り,得られた情報から事故シナリオを推定しつつ安全対策の検討を行う予定である。」とのことです。
事故原因に関してはまだ直接触れられていません。

〇追記:10月25日,国土交通省・海事局安全政策課 10月24日 プレスリリース  「第3回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 開催通知」によると 第3回 委員会を10月28日に開催,主な議題は 「計算シミュレーションについて 等」だそうです。
この調子だと NKによる事故原因に対する見解発表は 当初の予定 9月上旬を10月末に遅らせていますが,この検討会結果を待つことになりそうなので 更に遅れることになりそうです。
同型船6隻に対する補強工事は7月上旬から実施され,予定通りなら 既に5隻が完工しているはずです。やみ雲に補強工事を実施するはずはなく,三菱重工,MOL,NKの三者(+ロイドレジスター)は ほぼ原因を把握していると想像されるので,現状からすると 現在掴んでいる原因は発表しない方針と考えられます。
明るみに出るのに 1年かかりそうです。

〇追記:11月1日,国土交通省・海事局安全政策課 11月1日 プレスリリース  「第3回 『コンテナ運搬船安全対策検討委員会』 議事概要について」によると 10月28日開催の議事内容はー
(全文
)「折損事故の際に船体中央部の船底にまず浸水が発生していることから,船体中央部の船底から構造破壊が始まったものと考えられる。このため,シミュレーション計算では,船体中央部の船底に作用していたと考えられる荷重を想定して,船体中央部の構造強度をシミュレーションにより評価し,船体の折損がどのように進行したのかを推定することとした。
また,シミュレーションに用いる船体中央部の船体構造の有限要素法によるモデル化について,試計算を実施して適切にシミュレーションを行える見通しを得た。
船体に作用した荷重を想定するため,事故船がこれまで遭遇した気象海象や貨物の積載状態などについて調査することとした。
また,事故後に行われた事故船と同様の構造設計の大型コンテナ船(以下,「同型船」と言う。)に関する安全点検の結果等を聴取した。
 同型船に関する安全点検結果等の聴取においては,船体中央部の二重底船底外板で船体横断面の中心線付近に高さ20mm程度の座屈変形(船底外板が船内側又は船外側に山形に変形)が見られるなどの情報を得た。このような変形が折損事故の端緒となったのかどうかについては,現時点では明らかでない。
なお,これらのコンテナ船は既に予防的な安全強化策として船体強度を大幅に引き上げる船体構造の強化工事などを実施している。また,事故船とは構造設計の異なる大型コンテナ船の船底にも同様の変形が発生しているのか,船級協会(船体構造の検査等を行う第三者機関)の協力を得つつ調査することとした。
今後,作用荷重と船体強度等のシミュレーションを進め,事故発生シナリオの推定と安全対策の検討を行うこととした。」
そうです。
ほぼ 想像通りの内容で,新たな情報は 『同型船の船底外板の船体中心線付近に20mm程度の座屈変形があった。』ことですが,どの程度の範囲(船長方向)に何ヶ所程度かは明らかではありません。
座屈させる力は船体縦曲げによって船底に生じる船長方向の圧縮力が主でしょうが,これに横断面の変形による船幅方向の力の影響もシミュレーションで分かるでしょう。
座屈変形が見つかったのが,中心線付近の船底であることが重要で,水圧による二重底の変形に起因する船幅方向の圧縮力が影響している可能性があります。水圧による二重底構造の変形は,中心線付近が一番 大きいと考えられます。
コンテナ荷重は コンテナの四隅のみから二重底に伝わると考えられるので,コンテナ荷重を受けない部分の二重底構造に対しては水圧による上向きの力が勝っているということでしょうか。
すなわち,骨で囲まれる船底外板に,船体縦曲げによる船長方向と,水圧による船幅方向の圧縮力が同時に作用して座屈した可能性がありそうです。
この座屈現象に対する船級協会の規則がどうなっているかが気になります。
○追記:11月1日,Class NK 11月1日 プレスリリース 「コンテナ船 “MOL COMFORT” の海難事故について (その6)」 は 上記の国交省発表と ほぼ同様の内容ですが,次の記述が加わっています。
「現時点までに得られた上記見解を基に,本会は類似事故防止を図るため,大型コンテナ船に対する安全対策として以下を提案する。
船体中央部の船底外板部に変形が生じていないかを乗務員により可能な範囲で点検することを推奨する。本会は,船主の依頼があれば,検査員を無償で立会させる。
点検の結果,同一船体断面の幅方向に変形が連続して認められる場合は,船級による臨時検査を実施する。」
最後の一文は 同一断面の連続した船底外板座屈による縦強度の低下を危惧するものでしょう。これが ‘MOL COMFORT’の事故の直接原因であった可能性は充分考えられます。

〇追記:12月10日,国土交通省・海事局安全政策課 12月10日 プレスリリース  「第4回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 開催通知」によると 第4回 委員会を12月12日に開催,主な議題は 「中間報告書案について 等」だそうです。
中間報告書は後日 国土交通省ホームページにて公開されます。
中間報告書は ほぼまとまったようです。

〇追記:12月17日,国土交通省 12月17日 プレスリリース ‘「コンテナ運搬船安全対策委員会」中間報告書について’のタイトルで,12月12日に開催された第4回委員会により 「中間報告書の概要」(5pages),「中間報告書」(54pages)が発表されました。
http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji06_hh_000074.html
「概要」に示された調査結果によるとー
  ・作用荷重は,船体強度を下回っており,「折損しない」との計算結果。
   (同型船の点検で見られた船底外板の座屈変形や疲労亀裂の影響を加味してシミュレーションを行ったが,折損に至る計算結果とはならなかった。)
  ・可能性としては
   ①事故時に作用していた荷重が計算値以上(計算荷重は申告値を使用)
   ②座屈の程度などにより 事故船の船体強度が更に低下していた。
   ③その両方が起きていた。
   が考えられ,今後検証作業が必要ー
としています。
①は私が当初から危惧していた可能性でした。
最終報告書は,同型船の実船計測などを行い,作用荷重想定の妥当性検証,強度低下の可能性検討,シミュレーション計算による事故の再現,これらによる安全対策-講じるべきコンテナ船の範囲等の策定を実施してとりまとめるとのことで 1年後が予定されています。
又,この報告書には,同型船に施工した補強は 「船底外板への補強材追加」(推定:No.5 および No.6 Hold)となっており,「外板の増厚(切り替え)」は示していません。
〇追記:12月20日,Class NK 12月20日 プレスリリース 「コンテナ船MOL COMFORTの海難事故の中間報告書について」 は 上記国交省発表について触れた後,次の報告をしました。
「本会は今後の取り組みとして,中間報告を受けて,大型コンテナ船の実船応力計測を含め各種構造解析を行うことにより,船体構造規則の見直しを含めた大型コンテナ船の安全対策の策定に向けて活動を継続してまいります。
また本会は,IACSにおいて設置される 大型コンテナ船安全検討のためのプロジェクトチームと連携を密にしながら,今後の取り組みの成果をIACS検討作業に反映させていく予定です。」
(IACS:‘International Association of Classification Societies’,国際船級協会連合)
追記:12月17日,三菱重工発表「コンテナ船MOL COMFORT海難事故について(その8)」(12月17日)で,上記委員会の「中間報告書」の公表が知らされています。
更に 「当社は,引き続き,同委員会への参加を通じて,今回の海難事故についての原因の調査と究明を推進してまいります。」と記しています。
追記:12月23日,MOL 12月20日発表 プレスリリース ‘ 「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」中間報告の件 ~当社の大型コンテナ船に対する安全対策~’によるとー
12月17日 国土交通省発表によると 「中間報告書」を受けて 次のように述べられています。
・・・当面の安全対策として8,000TEU以上の大型コンテナ船について以下の安全対策を行うことが推奨されています。
      ・可能な範囲での船底外板の安全点検を実施し,座屈変形の有無を確認する。点検において座屈変形が存在した場合,適切な対策について船級協会に相談する。
      ・国際海事機関におけるコンテナ貨物の船上積載前の重量把握の強制化に関する議論との関連においては,荷主がコンテナ貨物の実重量を積載前に正確に情報提供することが,大型コンテナ船の静水中曲げモーメントの不確実性を減ずる有効な安全対策として推奨される。
   当社は上記中間報告にて推奨されている安全対策を含め,折損事故発生後,以下の対策を講じて本船の安全運航に万全を期しています。
      ・同型船6隻全船を対象に緊急安全点検を行い,安全対策として船体構造強化工事のための入渠を手配し,これを実施しました。これにより対象船はIACSに準拠した日本海事協会の船体強度基準の約2倍の強度を確保済みです。
      ・同型船6隻全船についてバラスト水調整など船体にかかる負荷軽減のための運航上の配慮を継続しています。
      ・その他の当社運航大型コンテナ船についても船底外板の点検を実施し,安全上の問題が無いことを確認済みです。
 

〇追記:2014年3月13日,Class NKが 2014年3月12日,プレスリリース 「Class NKが行う大型コンテナ船安全運航のための取組」を発表しました。
12月17日,国土交通省が発表した「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」中間報告書に提示された課題を引き続き検討するため,Class NKは 座長を引き続いて 横浜国大・角洋一教授に依頼し,大手船主/造船所の参加を求めて「大型コンテナ船安全検討会」を新たに設置し,2014年2月21日に第1回検討会を開催したとのことです。
   この検討会で次の3項目の調査・検討の実施が決定されました。
   (1)事故発生の可能性の検討
   (2)実船計測による作用荷重,船体応答の実態把握・検証
   (3)大型コンテナ船の安全に関する検討
今後,数回の検討会を経て,上記 3項目に対する見解を 8月末までを目途にまとめ,国土交通省の委員会に報告する予定です。
  一方 IACSでも 2月に 大型コンテナ船の安全検討を行うプロジェクトチームを設置し,NKが 議長協会となって活動を開始しているとのことです。
  定性的な事故原因は 明らかになったようですが,実際の設計・運航に対しては定量的な規則が必要であり,船級協会の業務は それらを示すことであり,その自覚で動いているようです。

○追記:2014年9月4日,Class NKが 2014年9月3日,プレスリリース 「『大型コンテナ船安全検討会』によるMOL COMFORT海難事故に関わる報告書の掲載について」を発表しました。
「これまで 「大型コンテナ船安全検討会」で実施してきた
  (1)事故発生の可能性の検討
  (2)構造安全に関する検討
についての調査及び検討による見解を報告書にまとめ,9月末までに NKウェブサイトに日本語版及び英語版を同時に掲載する予定とのことです。」

   NK の 「大型コンテナ船安全検討会」は,国土交通省が組織した「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」を引き継いで 2014年2月21日に第1回検討会を開催して以降,活動しているようです。しかし,国土交通省の「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」は 2013年12月17日に中間報告書を発表して以来,その組織・活動がどうなっているのか国土交通省からの発表はありません。国土交通省は 「中間報告書」で 任務終了ということでしょうか。
〇追記:2014年9月25日,国土交通省・海事局安全政策課 9月22日 プレスリリース  「第5回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 開催通知」によると 第5回 委員会を9月25日に開催,主な議題は 「検討状況及び今後の取り組みについて 等」だそうです。
  NKが 9月末までに掲載する予定の報告書の確認と思われます。

○追記:2014年9月30日:Class NKが 2014年9月30日,プレスリリース 「MOL COMFORT 海難事故に関わる 『大型コンテナ船安全検討会』による報告書の掲載について」を発表しました。
  「
2013年6月17日に発生したコンテナ船MOL COMFORTのインド洋における海難事故に関し,造船所,船社,学識経験者をメンバーとする「大型コンテナ船安全検討会」を設置し,

(1)事故発生の可能性の検討
(2)構造安全に関する検討
についての調査及び検討を実施してまいりました。」とあって 『大型コンテナ船安全検討会報告書』(日本語版・英語版)が掲載されています。
報告書は 98ページで,内容や感想を簡単にまとめるのは手に余るので ここでは省略します。
熟読して理解できれば触れます。
おそらく NKによる技術的検討はこれで終了でしょう。


○追記:2014年10月1日:国土交通省・海事局安全政策課 9月30日 プレスリリース  「第5回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 議事概要について」で 9月25日に開催された同委員会議事の報告を行いました。内容は下記のとおり。
事故船の折損条件の再現について
  
事故船の事故時における船にかかる力(作用荷重)と船体強度のシミュレーションについて,中間報告書で取り組み課題となっていた不確実要因の検証作業を進めた結果,[1]海象データと貨物重量のばらつきを考慮すると作用荷重は中間報告書の値より大きくなる可能性があり,[2]また,鋼材の強度データのばらつきなどを考慮したところ船体強度が中間報告書の値より弱くなる可能性があり,従って,作用荷重が船体強度を上回り,非常に低い確率ではあるが船体折損の場合があり得ることが分かった。今後,実海域での作用荷重について実船計測での検証に取り組むとともに,同型船船底に発見された座屈変形の発生メカニズムを解明し,折損発生の推定要因の検討を進めることとした。
他の大型コンテナ船の安全性について

 他の大型コンテナ船について,上記と同様にシミュレーションを行うことにより,安全性の確認に関する検討を進めることとした。
  上記の検証・検討のとりまとめを年度内に行うこととした。」

○追記:2014年12月5日:国土交通省・海事局安全政策課 12月5日 プレスリリース  「第6回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 議事概要について」で 12月3日に開催された同委員会議事の報告を行いました。内容は下記のとおり。
解析対象とする大型コンテナ船について
 
事故船以外の設計の大型コンテナ船についても,船体に作用する荷重と船体強度のシミュレーションを行うため,解析対象とする大型コンテナ船の検討を行った。事故船が8000TEU級であることから,他の設計の大型コンテナ船を8000TEU級2隻及び6000TEU級1隻とすることとした。
事故船の同型船に見られた船底座屈のシミュレーションによる再現について
 
再現に関する作用荷重の検討を行い,同型船は折損していないことから船体強度に達する前の作用荷重で船底座屈の再現が見られるかシミュレーションを行うこととした。」

〇追記:2015年1月21日,国土交通省・海事局安全政策課 1月21日 プレスリリース  「第7回 コンテナ運搬船安全対策検討委員会 開催通知」によると 第7回 委員会を1月23日に開催,主な議題は 「大型コンテナ船に関するシミュレーション計算の進捗について 等」だそうです。

○追記:2015年1月27日:国土交通省・海事局安全政策課 1月27日 プレスリリース  「第7回 『コンテナ運搬船安全対策検討委員会』 議事概要について」で 1月23日に開催された同委員会議事の報告を行いました。内容は下記のとおり。

「大型コンテナ船に関するシミュレーション計算について
 平成26年12月の検討委員会において,事故船の船体に作用する荷重と船体強度シミュレーション計算に加え,事故船とは異なる設計の大型コンテナ運搬船(代表的な3設計)についても安全性確認のためシミュレーション計算を行うこととしていたため,今次会合においてはこれらの計算について以下のとおり検討した。
 

 実際の作用荷重と船体強度の関係を把握するため,作用荷重については,船の自重や積載貨物の重量,波による曲げ荷重,波で生じる船体振動による荷重を含めて計算を進めている。また,船体強度については,船体中央部をモデル化して計算を進めている。今後,これらの計算を進め,安全性の確認を行うとともに,安全対策の検討を行うこととなった。」
○追記:2015年2月10日:国土交通省・海事局安全政策課 2月10日 プレスリリース  「第8回 『コンテナ運搬船安全対策検討委員会』 議事概要について」で 2月5日に開催された同委員会議事の報告を行いました。内容は下記のとおり。
「本検討委員会は,平成25年6月にインド洋で折損した(株)商船三井運航のコンテナ運搬船「MOL Comfort」の事故を契機として,大型コンテナ運搬船の安全対策を検討するために,横浜国立大学 角名誉教授を座長として平成25年8月に海事局が設置したものであり,本年2月5日に第8回検討委員会を開催した。
 今次検討委員会においては,大型コンテナ船に関するシミュレーション計算の分析状況を検討した。また,これまでの検討状況をどのように評価・とりまとめていくか,その方向性について検討し,今後シミュレーション計算分析の進捗を踏まえて評価・とりまとめを行うこととした。」
○追記:2015年3月4日,国土交通省・海事局 3月3日 プレスリリース 「大型コンテナ船折損事故の原因推定と再発防止策について」 以下の通りです。
「平成25年6月に発生した大型コンテナ運搬船「MOL COMFORT号」(バハマ船籍,商船三井運航,三菱重工業建造,平成20年進水)の折損事故に鑑み,国土交通省海事局は、有識者及び業界関係者で構成する「コンテナ運搬船安全対策検討委員会」を平成25年8月に設置し,大型コンテナ運搬船の今後の安全対策のあり方について検討してきました。今般,検討委員会の最終報告書を受け,以下のとおり,事故原因の推定と再発防止策について取りまとめましたのでお知らせします。

事故原因の推定

 事故時の状況を詳細に解析したところ,従来の安全基準では十分に考慮されていなかった「波の衝撃で生じる船体振動による力」のため船体に加わる力が増大し,また,「横方向から船体に加わる力の影響」により船体強度が低下しました。その結果,船体に加わる力が船体強度を上回り,折損に至ったと推定しました。
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再発防止策

 船舶の安全基準として,大型コンテナ船を対象に,「波の衝撃で生じる船体振動による力」及び「横方向から船体に加わる力の影響」にも耐えられる船体強度とすることを義務づけます。また、国際的にも同様の対策が必要なため,国際海事機関(IMO)及び検査機関の国際団体に対策の実施を働きかけます。 (以上)」
○追記:2016年2月4日:Class NKが 2016年1月5日,プレスリリース 「コンテナ運搬船の構造強度要件を含む構造規則等の一部改正の公表」を発表しました。
「 ・・・ 本会は,2013年6月に発生した大型コンテナ運搬船の海難事故を受け,造船所,船社,学識経験者をメンバーとする大型コンテナ船安全検討会を設置し,事故発生の可能性及び構造の安全性に関する検討を行い,本会規則に関わるアクションプランを含む報告書を2014年9月に公表しました。一方,国土交通省のコンテナ運搬船安全対策検討委員会による最終報告書が2015年3月に公表され,大型コンテナ船の安全性向上に向けた提言がなされています。また、国際船級協会連合(IACS)は、コンテナ運搬船の縦強度等に関する統一規則の改正を採択しています。
今般の一部改正においては,本会報告書にて発表した規則改正方針及び国土交通省の提言を反映させ,ホイッピング影響,また海水圧及びコンテナ荷重の影響を考慮した本会独自の縦強度要件等を規定しています。加えて,コンテナ運搬船の構造強度要件に関するIACS統一規則の取り入れを行いました。本改正は、IACS統一規則の改正(2016年7月1日以降適用)に先立ち,2016年4月1日以降に建造契約が行われるコンテナ運搬船に適用されます。・・・ 」とあり,改正規則に関しては次の説明がなされています。
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NK規則に従って設計することにより,‘MOL COMFORT’で発生した損傷の再発を防止できることになった,ということでしょう。
*******************************************
【*以下は 事故発生時 平成25年(2013年)当時の記述です。】

幾つかのコンテナは流出したようですが,浮いている船体は ほぼ水平を保っており,破断断面の他に浸水する損傷はないようなので,転覆さえしなければ 沈没は考えにくく,タグで曳航して 積荷コンテナを確保できそうです。

事故原因は 設計・建造した 三菱重工が MOLとともに 調査・究明中でしょう。

折れた形状からすると,中央部が うねりの山に乗ったときのホギング・モーメントによる ボトム構造の座屈がきっかけになった可能性があります。

Molcomfort4次に,ボトムで充分な圧縮力を受けることができなくなったため,上甲板の引張り力が増大し,上甲板付近の構造が破断し,前後の分離に至ったものでしょう。
(上甲板構造に適用したという,新開発の 降伏応力 47kgf/㎟ の高張力鋼に原因があるとは考え難いのではー。折れ曲がった状態で 外板にある亀裂は上甲板に達してない,あるいは 上甲板を始点として発生してないように見える。)

しかし,「積み付け荷重」と「想定される波」によって発生するモーメントに耐えうる船体強度とする規則・算式に従って設計し,船級協会の審査を受けて建造しているでしょうから 設計的に大きな間違いがあるとは思われません。
但し,ちょっとした座屈強度チェックミス(モレ)で,座屈臨界応力が低い構造部材があれば,その部分が座屈し,そこが起点となって構造全体の座屈に繋がることもなくはないかも知れません。

恐いのは 積み込みコンテナ重量の誤り,あるいは その重量を考慮したコンテナ積み付け配置(+バラスト)の誤りでしょう。

コンテナ重量は おそらく 積み込み前に1個1個計量しているわけではなく,荷主の申請値を用いて,船体と共に 重心(スタビリティ)や 発生モーメントを計算し,積み付け配置を計画しているものと思われます。
簡単に言えば,中央部付近に積んだ多くのコンテナが申請値より 実際が軽いと,中央部に発生する ホギング・モーメントを,許容される値以内に収めたつもりが,より大きくなっていた可能性がある,ということです。
但し,積載コンテナ重量,船体自重,燃料重量,搭載バラスト量などの合計重量による計算喫水と実喫水の整合性の確認は実施しているでしょうから,大きく誤ることはなさそうな気もします。

興味深いのは,分離した前後の船体が ほぼ水平に浮いていることです(前部は船首側にややトリム)。これが何を意味するのか,積み付け状況確認のヒントになりそうです。外からは 二重底やホールドのどこまで浸水しているか分らず,失っている浮力が不明なので 何とも言えないでしょうが,失った浮力を無視すれば,前後の船体がほぼ水平に浮いているのは,中央部に生じていた積み付けによるモーメントの値が小さかったことを意味しそうです。
と,なれば 原因は?

追記- 6/26)破断した部分のホールドは水が入って浮力を失っており,中央部は船型から最も浮力が大きい箇所なので,この部分の浮力があれば積み付けは,値の大小は分りませんが,上甲板に引張り力,船底に圧縮力が生じるホギング状態であったということになります。
流出したコンテナは逆方向のサギング・モーメントを生じさせる力ですが,浮力に比べれば小さいのではー。
****************************************

6~7m程度の波(うねり)は過大とは言えないでしょう。
本船の Depth(船底から上甲板)は25m,満載喫水が 14.5m,従って 乾舷が10.5mあります。
おそらく,波長が船長に等しく,満載喫水で 上甲板に達する(波高10.5m)うねりに乗った(うねりのピークが船長中央位置)時に生じるホギングによる曲げモーメントくらいでは壊れない強度を持つように設計されているはずでしょう。

積み付け配置のデータは当然,残っているでしょうから,既にチェックが行われていると思います。
乗組員全員が助かっており,しかも朝だったので事故時の状況聴取が可能なのも原因究明の助けになりそうです。
最も,原因究明の役に立つのは 船体自身なので,転覆させず 曳航され,検査することが重要です。

(追記 6/27 ‘油漏れ’について
MOLの発表では 「油の流出はほとんどない。」とのことです。
コンテナ船で 大量の油と言えば,燃料油や潤滑油など,主に機関関係のものと思われ,これらのタンクが損傷しなければ流出はない,と考えるのが自然でしょう。

これらのタンクは配管の効率を考えれば機関室付近に配置されるでしょうから,今回の事故では損傷・流出はないと思われます。
又,もし,中央部にこれらのタンクが配置されていたとしても,最近の大型船では タンカーの貨油タンクと同様に油の流出防止のため 外板に接しないように設けているようなので,ホールド底部や側部には配置されず,あっても ホールドを仕切る隔壁部だと考えられ,今回の破断部には隔壁部は含まれてないようなので大量の油流出はないと思えます。

少量の油としては 油圧で駆動/制御する機器が船首部にあるでしょうから(?),油圧用のパイプの破断による油漏れが考えられないことはないでしょう。

追記 6/27 ‘国土交通省’はー
国土交通省の森雅人海事局長は6月19日に開催された日本船主協会総会で来賓として挨拶した中で,この折損事故を受けて,「日本船社が運航し,日本の造船所が建造,船級協会も日本の船。日本の海事業界にとって大きな問題」とし,「オールジャパンの原因究明・再発防止が必要」との考えを示したーと報じられています。

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