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2013年9月27日 (金)

理性的な韓国人が・・・。

時事ドットコム(2013/9/25)に 「全体像見て早急な解決を=慰安婦をめぐる本,論議に一石」 と題する記事がありました。

「【ソウル時事】旧日本軍の従軍慰安婦の全体像を知った上で,早急に問題解決を図ろうと呼び掛ける本 『帝国の慰安婦』(「根と葉」出版)が韓国で最近出版された。著者の朴裕河世宗大教授は,元慰安婦を『民族の娘』とシンボル化し,日本に国家賠償を求める支援団体を批判,韓国人に植民地の歴史の複雑な事情を直視するよう求めており,慰安婦問題をめぐる論議に一石を投じている。
 韓国では,朝鮮人慰安婦が日本軍に強制連行され,『性奴隷』生活を強いられたと考える人が多い。これに対し同書は,日本軍の関与と責任を強調しつつも,『慰安婦の自由を抑圧した主体は日本軍だけでない。人身売買などで募集して軍に引き渡し,管理した(朝鮮や日本の)業者や雇い主こそが直接的に自由を束縛した主体だった』と指摘する。
 その上で,『われわれは最初につくられた“常識”ばかりに固執し,それに反する話は “右翼の妄言” と排斥してきた』と強調。『問題解決を目指すなら,朝鮮人慰安婦に関する理解を変える必要がある』と訴えている。
 さらに,韓国で主流の支援活動について,『問題解決自体よりも日本政府を圧迫する韓国の力を確認する戦いになっている』 と痛烈に批判。ソウルの日本大使館前に建てられた『少女像』に対しても,『韓国に好意的だった日本人にも韓国に背を向けさせ,無関心にさせた』 と断じている。」

日本人からすれば,もっと慰安婦自身の責任と問題に触れてほしいところですが,韓国の大学教授の立場としては 言葉と表現を選びつつ,韓国内の矛盾と誤りを正そうとする精一杯の著作でしょう。

Wikipediaによれば 著者は ー
朴裕河(パク ユハ,1957~ )は,ソウルで生まれ,高校卒業後来日。慶應義塾大学文学部国文科を卒業後,早稲田大学文学研究科に進み,日本文学専攻博士課程修了。2003年度に「日本近代文学とナショナル・アイデンティティ」で早稲田大学学術博士の学位を取得した。現在,韓国・世宗大学日本文学科教授。

韓国に日本近現代の文学・思想を紹介しており,また,夏目漱石や大江健三郎,柄谷行人などの著作の韓国語への翻訳を手がけている。
ーと紹介され,慰安婦問題に対する韓国の状況に対する真摯な批判なども示されています。

「2007年04月,アジア女性基金の解散に伴い東京の日本外国特派員協会での講演で,米国下院121号決議に関連して韓国側の理解,主張をそのまま受け取っての日本への一方的な批判,意見が行われていることへの憂慮や,『日本軍とそのようにした父親とどっちが憎いのか?』 との元慰安婦への質問に 『お父さんだ』 と答えたといった話も交えながら,慰安婦動員の過程において韓国人も関わっておりその加害性への責任についての言及,さらに,・・・ 慰安婦問題を日本だけのことにしてしまっては問題の本質を考えるという機会が失われるのではないかとの憂慮を表明した。」

勇気のある女性です。

日本が 韓国(政府)の言うままに謝罪すれば 日韓の拗れはなくなる,というものではなく,本質に迫り,両国の蟠りを失くすには,韓国の“常識”が変わることが前提で,それは韓国自身の重く厳しい課題であって,日本が手助けすることはできないと言いたいようです。

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