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2014年1月17日 (金)

多数決がそぐわないこと。

多くの日本人が 戦後の民主主義教育下で育った時代になり,何でも多数決で決めるのが当たり前と思っている嫌いがあるようですが,多数決にそぐわないこともあります。

最近,聞いた話ですが,あるマンションの駐車場の指定場所を1年に一度の抽選で決めようとしたとき,理事会が アンケートで 「A.抽選実施」と 「B.抽選延期(そのまま)」の二択で選ばせたそうです。

現状維持(現在の場所に満足)の方が 抽選実施(おそらく 現在の場所に不満足)の数を上回り,抽選は延期され 現状維持となりました。
毎年 抽選が行われると決まっていることを,多数決で変更してはいけません。

この話を聞いて,50年以上前の小学生の頃のことを思い出しました。

クラスの席替えをするか否かを 多数決で決めたのです。

「席替え」というのは あるインタヴァルで実施されるのが正しい学校生活のあり方である,との前提で考えると これは如何なものかと思います。

席に不満を持っている児童(ひょっとして 自分は満足しているが,不満を持っている児童のことを慮った人格高潔な児童を含む)の数が,満足している児童の数を下回り,席替えは実施されませんでした。
このような議案を多数決で決めていては,不満に思っている児童が少数であれば,席替えをすべきと発議しても,永遠に席替えは実施されないことになります。
人格高潔な児童は そう多くはいません。

子供心に これはおかしい,と思いながら その時 うまく説明,説得できなかった残念さを 今も感じます。
更に,これを傍観して 適切な助言をしなかった担任教師へ抱いた不信感も思い出します。

多数決で決めるべきは 「席替え実施のインタヴァル」と 「席替えの方法」などであり,これらを決めた後は 忠実に履行することが必要で,「今回は多数決により延期する。」ことがあってはなりません。

たまたま設定されている状態を変える/変えないを多数決で決めてはいけない。
ある状態に於いて,本人の意思や責任とは無関係のその状態で 不利益を被る人間が,利益を被る人間より少ない場合,永遠にその状態が続く可能性が高く,公平さが保たれないことになります。

多数決は あくまで公平さが前提で,その対象とする事柄に影響される事象のうち,有権者自身の利益/不利益が主で,かつ明確に直接的な場合,特にそれ(利益/不利益)が 本人に依存せず決まる場合に適用することには問題があります。

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コメント

全く正論です。
最近、国策を決めるのに民主主義は本当に正しいのかと時々思う。報道でいつもアンケート結果を気にするが、賛成多数が正しい方向を示しているとは限るまい。

投稿: hirosuke | 2014年1月19日 (日) 16時35分

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