« 手間がかかる小鰯 | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その3) »

2014年2月 1日 (土)

「バルーバの冒険」 全巻 読了。

リタイアを機に図書館に行き,手始めに 幼少の頃,微かに読んだ記憶があり,当時 その物語の全貌を知りたいと思いながら忘れてしまい,おそらく 60年近く経ってしまった 「バルーバの冒険ー片眼の黄金獅子」の続きが読めればと,作者 南洋一郎(1893~1980)で検索し,全巻揃っていたので借りて 第一巻から順に読み始め,半世紀以上前の少年の心に戻って 5日間で読了しました。

全巻と言っても 独立しておらず,「少年小説大系」(三一書房刊,第一期:全11巻,第二期:全16巻 別巻4)の第6巻(1988年)に第一巻~第四巻が,第20巻(1992年)に第五巻と完結篇(第六巻)が収録されていました。

「バルーバの冒険」は 全五巻と思っていましたが,完結篇がありました。

今回,初めて知ったことですが,第五巻の末尾に 「第五巻 あとがき」として 次の文章がありました。
怪塔の死体ははたしてジャクソン氏夫妻のどちらかなのだろうか。バルーバとグレースの運命はどうなるのだろうか。
また,ワトソン氏の消息は。それからまた,アービング子爵らの白骨とその血でえがいたふしぎな地図の謎は。それらについては,次の巻にくわしくしるすであろう。

どう考えても 第六巻が存在するはずですが,南洋一郎 著作年表にはその存在が示されていません。

因みに,第一巻から第五巻の初版発行状況は次の通りです。

第一巻 片眼の黄金獅子・・・昭和23(1948)年5月,東雲堂
第二巻 巨人バルーバ(魔境の怪人)・・・昭和23年10月,東雲堂
第三巻 密林の孤児・・・昭和24年10月,東雲堂
第四巻 鉄人バルーバ(鉄人の指紋)・・・昭和25年3月,東雲堂
第五巻 魔境の黒豹・・・昭和26(1951)年1月,東雲堂

「少年小説大系」の解説によれば,上記 ‘東雲堂’の昭和23年から26年にかけての出版の後,‘ポプラ社’が 第一巻から第四巻までを 昭和29年から30年にかけて出版していました。
更に 昭和42年頃,‘一光社’が 「新ターザン物語」として やはり第一巻から第四巻を出版していました。
私が生まれた年に第一巻が発行されています。

出版時に改名された巻もあり,これらの経緯から 混乱して 「バルーバの冒険」は 第四巻まで,あるいは 第五巻までと言われていたようです。

「少年小説大系 第20巻」の解説に 「だが,幸いなことには,第六巻の原稿は,確かに書かれて 池田(本名)家の篋底(きょうてい)に眠っていたのである。」とあります。
ここで 「篋底に眠っていた」というのは,「人目に付かず存在していた」くらいの意味でしょう。

そして 解説の書き出しにもどると 「ついに,と言うべきかどうかわからないが 『バルーバの冒険』 全六部作が完結した。この一冊は,その意味では,記念すべき巻である。」 と書かれています。

つまり この「少年小説大系 第20巻」が,「完結篇 秘宝を追って」を 世に出す初めての一冊だったいうことのようです。

「少年小説大系 第20巻」は1992年発行なので,第一巻が1948年に発行されて44年,第五巻が発行されて41年を経て完結していました。
私は 第一巻のみの記憶で 続きを読みたいと思っていたのですが,四巻 あるいは 五巻まで読んでいた方の完結篇を読みたかった願望は 横尾忠則氏の例のように強かったと思います。

Img_6472右の写真は 上が 第五巻と完結篇を収録した「第20巻」,下が第一巻から第四巻を収録した 「第6巻」です。

ページ数と収録作品量のバランスから 「第6巻」の文字が小さく,老眼鏡を何度も拭きながら 読み進めました。

できれば 本当の(?)少年に読んでもらいたい冒険小説です。

上記 2冊 と同時に借りた 同じく 南 洋一郎著の冒険小説 「猛獸征服 吼える密林」の巻頭に 「少年諸君よ!」として 次の一文を掲げています。本書の発行は 昭和8年です。

「私の愛する帝國の少年諸君よ!この美しく尊い日本の國土を護るために生まれて來た諸君よ。
諸君はどこまでも強くなければならない。何者にも負けない大國民とならねばならない。
昔から大國民は冒險を好む。勇ましく烈しい冒險精神に充ち滿ちた國民は興隆し,さうでない國民は亡びる。
私は諸君が勇敢な日本男子であることを知ってゐる。その諸君の心に溢れる冒險精神をいよいよ盛んに燃え上がらせるためにこの書を諸君に贈る。 (以下 省略)」

現代の少年には やはり無理ですかね。

|

« 手間がかかる小鰯 | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その3) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 手間がかかる小鰯 | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その3) »