« 定期預金と 「青の洞窟」 | トップページ | 「エイセイボーロ」とは? »

2014年4月13日 (日)

世界最大幅の船は?

船の大きさを言う場合,通常 「重量トン」(貨物船に適用する 「載貨重量トン」,主に軍艦に適用する「排水トン」)や「容積トン」(主に客船に適用する 「総トン」,主に貨物船の課税評価に適用する 「純トン」など)などの『トン数』がありますが,最も解り易いのは 「長さ」です。

今まで建造された船で 最も長かったのはー
  オイルタンカー ‘Seawise Giant’で 全長:458.46m,載貨重量:564,650 トンで 1979年に竣工し,2009年に解体されました。この船は ‘トン数’でも世界最大でした。

現存する最長の船はー
  ‘Maersk Line’が保有する コンテナ船 ‘Maersk Triple E Class’だと思われ,全長:399m,18,340TEU (20' コンテナ換算の積載個数),載貨重量:196,000 トン で,同型船が20隻あります。

では 最大幅の船は?
色々なサイトで‘Largest Ship’,‘Longest Ship’の紹介がありますが,世界最大幅の船を紹介するサイトはなかなか見つかりません。

ここで,最近,面白い形状の船があることを知り,調べてみるとー

TitangraphicfrontTitansea

Front & Side View では 何かの作業船と思われますが,それほど変わった船には見えません。

しかし・・・

130425

Titangraphictop Titangraphicseaまるで 大型船の船首部分のみを切り取ったような船型です。

魚で言えば,大きな魚の絵を頭の部分だけ真面目に描いて,疲れたから描くのを止めたような形の 「マンボウ」のようなものです。

この船は ‘RAMFORM TITAN’という名前で,船種は‘3-D Seismic Research Vessel’です。
seismic’を辞書で調べると 「地震の」,「地震探査の」とあります。
しかし,「地震探査船」ではありません。

「物理探査船」です。
ーと言っても これだけでは,何をする船か分りません。

石油や天然ガスなどの海底資源を探査するため,海底の地質学的物性を調査する船です。
その調査要領を簡単に言えばー
「弾性波を発振させ,地層からの反射波を解析する」 です。

Titangraphicrear_2 具体的にはー
  ・エアガンを付けた「ガンアレイ」を曳航し,弾性波を発生。
  ・ハイドロフォンを内蔵した「ストリーマーケーブル」を複数本並行して曳航し 反射波を観測。3次元的に地層を解析する。

この「ストリーマーケーブル」を できるだけ広い幅で24本曳航するために この幅が必要ということです。
更に船体運動を抑えるのにこの幅が有効なのでしょう。

ノルウェーの資源探査会社 ‘Petrolem Geo-Services ASA’の持ち船で,三菱重工・長崎造船所で2013年に建造されました。

本船の長さ(L)は 104.2m,これに対して 幅(B)は 70m で,L/B≒1.49 です。
因みに 過去,最長の船だった ‘Seawise Giant’は L=458.46mB=68.8m(おそらくこれまでの最大幅) で L/B≒6.66,タンカーなどのずんぐりした船でも L/Bが 5を下回ることはないでしょうから,この船型は異常です。

この船型は船名から ‘Ramform’と言うのでしょうが,‘Ram’が何を指すのか不明です。
この船型で速力は出るのかと気になりますが,航海速力は 16.5 knot とのことで,タンカーの満載航海速力並み,もしくは以上です。

話が逸れましたが,結論としては 世界の船で最大幅は,この船の 70m ではないかと思われます。

空母には 飛行甲板の最大幅が70mを超すタイプはありますが,船体(船側外板)としての幅は70m を超えないでしょう。
退役した エンタープライズは 飛行甲板は最大部で 78.4m に対して,船体幅は40.5m でした。

| |

« 定期預金と 「青の洞窟」 | トップページ | 「エイセイボーロ」とは? »

つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 定期預金と 「青の洞窟」 | トップページ | 「エイセイボーロ」とは? »