「セウォル号」事件の責任
‘・・・韓国・光州地裁刑事11部で10月27日行われた,セウォル号の乗組員15人に対する第29回公判(論告求刑公判)で,検察は殺人罪と特定犯罪加重処罰法の遺棄致死傷罪,水難救助法違反罪を適用し,被告らに死刑,無期懲役,15-30年の懲役刑を求刑した。
検察は殺人容疑を適用した4人のうち,船長のイ被告に死刑を,1等航海士(42)と機関長(53),2等航海士(46)の3人に無期懲役を求刑した。(殺人と殺人未遂,水難救護法違反などによる) また事故当時,当直の船員として沈没の直接的な原因を作った女性3等航海士(25)と操舵(そうだ)手(55)には懲役30年を(遺棄致死傷罪による),事故前日に初めてセウォル号に乗務した1等航海士見習い(33)には懲役20年を求刑し(水難救助法違反による),残る8人にはそれぞれ懲役15年を(遺棄致死傷による)求刑した。・・・
検察は論告の冒頭で 「・・・ 4月16日は,韓国の歴史上最も恥ずかしい『安全国恥日』として記憶されることになった。被告人らは乗務員としての義務や責任をかなぐり捨て,危険を少しも顧みようとせず,大惨事を発生させた」と述べた。
その上で検察はイ被告に対し「セウォル号の総責任者として沈没の原因を作った上,乗客たちが全員下船するまで船を離れてはならないという船員法の規定に反し,待機を命じる船内放送を行った後,何ら措置を講じないまま船から脱出し,304人が犠牲になる大惨事を引き起こした。最も直接的かつ重い責任がある」と指摘した。・・・’
と韓国のメディアが報じていました。
勝手に考えました。
裁くべき犯罪によって起こった事件 or 事故は 「船が転覆・沈没したこと」 と,「乗客・乗員を死亡させたこと」です。
この原因となる違法行為(犯罪)を働いたのが誰,あるいは どの組織なのかを フェイズに分けて考えるとー
1.船の改造,運航仕様(重心と許容載貨重量)などの設定および承認(認可)
・・・ 対象:造船会社,船会社,韓国船級協会,政府(海洋水産部)
2.日常管理・検査・乗員教育/訓練(水密扉,救命筏・器具など)
・・・ 対象:船会社,検査・整備会社,韓国船級協会,政府(海洋水産部)
3.貨物積載(量と方法)実施・管理/承認
・・・ 対象:船会社,管理組織(海運組合),乗組員,政府(海洋警察,・・・)
4.運航・操船
・・・ 対象:乗組員(船会社),政府
5.事故時の対応(避難指示・誘導,救助連絡・対応)
・・・ 対象:乗組員(船会社),政府(海洋警察,・・・)
船長への死刑求刑は,遺族 及び 韓国民感情を強く意識したものでしょうが,「殺人罪」を適用すべきかどうか議論の分かれるところでしょう。
論告内容の詳細が定かではありませんが,今回の乗組員に対する求刑は フェイズ 5(ひょっとして4も含む)における乗組員の犯罪に対するもので,他のフェイズ あるいは 他の組織の犯罪に対する公判はどうなっているのでしょう。
さて今後の裁判の進展は?
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