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2015年1月 2日 (金)

2014 Prosperity Index,日本は?

2014年11月3日,英国の think tankLegatum Institute’(レガタム研究所)による ‘Prosperity Index 2014’ が発表されました。
http://www.legatum.com/article/2014-Prosperity-Index-Launched
Prosperity Index’は,謂わば 「繁栄指数」で,世界142ヵ国/地域を 8つの分野で分析・ランキングし,総合順位を付け,毎年 発表されています。

2014年の分野別 ランキングを含め,トップ 25位を 下図に示します。

2014_prosperity_index
20092014過去5年間を含めて 6年分の 25位までの ランキングを右図に示します。

10位以内は 若干の変動はありますが,ほぼ不動の国々です。
1位は ノールウェーが連続して獲得しています。

日本は 20位付近を小さい幅で上下しています。

分析の対象になる 8つの分野は 次の通りです。

1. ECONOMY    
2. ENTERPRENEURSHIP & OPPORTUNITY

   (「起業家精神と機会」?)
3. GOVERNANCE   
4. EDUCATION
5. HEALTH    
6. SAFETY & SECURITY
7. PERSONAL FREEDOM 
8. SOCIAL CAPITAL

日本の過去3年間の,分野毎のランキングを下図にまとめました。

Factor_ranking

〇ここで一番 不可解に思う分野は ‘EDUCATION’の27位です。
そこで このRankingの元になる ‘Variables’を見ます。

Eduction_variables

  ✓もっとも驚くのは ‘Girls to boys enrolment ratio’の85位です。
直訳すれば 「女子の対男子 入学率」です。明治時代ではないので この比率が世界で 85位というのが信じられません。
これが 管理職の女性比率であれば下図(‘Nissay’資料より)の如く,納得するしかありませんが,「教育」に対する男女差が世界で85位?

Photo
下図は内閣府発表による男女別進学率です。

Photo
平成24年度で 高校進学率は女子の方が高く,大学進学率も短大を考慮すれば むしろ女子の方が高くなります。男子の進学率の方が高いのは大学院のみです。

  ✓2番目に順位が低いのは ‘Pupil to teacher ratio’の 53位です。
1クラスの生徒数の平均値が 世界で少ないほうから 53番目ということのようです。確かに 私(団塊世代)が子供の頃は 1クラス50人で 教室の後ろを歩くのがやっとという状態でしたが今はそんなことはないでしょう。
   参考に 文部科学省 平成20年度発表の「教師1人当たりの児童・生徒数」(比較)を下表に示します。

1
   これを見ると 初等・中等教育での教師1人当たりの児童・生徒数は確かに他国に比べて 少ないとは言えないようです。

  ✓次に順位が低いのは ‘Are you satisfied with the quality of education?’の Yesの比率で,42位です。教育の質を国民自身に訊いた回答からの順位のようです。国民の絶対評価(現実の対期待評価)なので 世界における相対的評価としては 相当の疑問があります。

〇‘SAFETY & SECURITY’分野の25位も不思議です。
  しかも 韓国が23位です。これで ‘Legatum Institute’の信頼性が損なわれました。
  この ‘Variables’は 下表です。

Safety_security_variables
  ✓‘Do you feel safe walking alone at night?’の質問に対する‘Yes’の回答が世界 142ヶ国中で31位で 「まさか」と思えます。これは国民の感覚なので 正しい世界の相対的順位とは言えそうにありません。

  ✓‘Demographic Instability’は31位です。この「人口構成の不安定さ」順位は納得できます。

  ✓次に順位が低いのが ‘Refugees and IDPs’(難民/internally displaced persons-国内避難民)の23位で,これが(避)難民に関する何の順位なのかは不明です。

  ✓‘Civil war casualities’(内乱による死者数の‘少なさ’)が1位です。戦国時代は除外ですね。

〇もっとも順位が低い分野は ‘PERSONAL FREEDOM’で,2012年は42位,2013年は48位で,2014年は順位を上げたとはいえ 28位です。この ‘Variables’は下表です。

Personal_freedom_variables
  ✓‘Good place to live for ethnic minorities?’の ‘Yes’が 52位です。少数民族の自由が不足していると見做されています。

  ✓‘Satisfied with freedom of choice?’の‘Yes’が27位です。何に対する「選択の自由」か不明です。何の選択が不自由なのかが分りません。

  ✓‘Civil liberties’が1位です。「人権」が1位でよろしいでしょうか。この1位には やや驚きです。

それなりに権威があるRanking ですが,根拠の内容を見ると 全てが納得できるものではないことが分りました。

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