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2015年1月 7日 (水)

フレデリック・フォーサイスの “The Devil's Alternative”

フレデリック・フォーサイス(‘Frederick Forsyth’,1938~ )の(戦争)サスペンス小説読破計画でー

  ・「キル・リスト(2014)」(‘The Kill List’,2013)
  ・「コブラ(2012)」(‘The Cobra’,2010)
  ・「アヴェンジャー(2004)」(上下)(‘Avenger’,2003)
  ・「アフガンの男(2010)」(上下)(‘The Afghan’,2006)
  ・「戦士たちの挽歌(2002)」(‘The Veteran’,2001)
  ・「オデッサ・ファイル(1974)」(‘The Odessa File’,1972)
と6作品まで進みました。

当初は 時代を遡る順番で読んでいくつもりでしたが 図書館の都合もあって 順不同になっています。
  今回は 「悪魔の選択(1979)」(上下) (‘The Devil's Alternative’,1979)です。
  これも 「オデッサ・ファイル」と同様に古いので,図書館の開架書架には置いておらず,閉架書庫から出してもらって借りました。
  文庫本で読んだ記憶がありますが,30年以上前で ほとんど内容を覚えていません。

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舞台となる時代は 1982~83年で,1991年にソビエト連邦社会主義共和国が崩壊してロシア連邦になる約10年前の「新冷戦時代」と言われた頃ですが,書かれたのが1979年以前なので 1979年:ソ連のアフガニスタン侵攻,イラン革命,1980年~:イラン・イラク戦争は 当然 書かれていません。

フォーサイスの小説の常道で,何本かの経糸が それぞれ無関係に,併行して伸びていき そのうちそれらが交わってクライマックスを迎えます。
それらの糸が互いに縺れないように整理しながら,正しく読んでいくのは 前期高齢者にとっては 相当なエネルギーが必要です。

登場人物・グループはー
ソ連 ルージン書記長以下政治局の面々
マシューズ米大統領以下 ホワイトハウス閣僚の面々
英国 女性首相 カーペンターと閣僚たち,そして英国秘密情報部 SIS
ウクライナ人の血を持つ英国人 ドレーク およびウクライナ人のグループ,その最終目的は 「ウクライナの自由」
駐ソ英国大使館に派遣された情報部員 マンローと,壁が出来る前のベルリンで知り合って別れた かつてのロシア人の恋人 ワレンチーナ
スェーデン海運会社の新造100万トンタンカーと ラーセン船長
ロッテルダム港湾管理局 とオランダ政府
西ドイツ政府 および イスラエル政府

経糸となる事件・動きと,それらに関連する人物・グループはー
ソ連 農業省のミスによる(人為的)大飢饉の虞れーこれに乗じた米国からの軍縮を条件とした穀物等支援・・・Ⓐ,Ⓑ
ソ連 権力争い・・・
ソ連に恨みをもつウクライナ(系)グループによるKGB議長 イワネンコ暗殺 及び逃亡・・・Ⓓ,Ⓐ,Ⓕ
ソ連 政治局会議議事録等情報の英国経由米国への漏洩・・・Ⓔ,Ⓐ,Ⓑ,Ⓒ
英国情報部員にクレムリンの情報を漏洩したロシア人女性の脱出計画・・・Ⓔ,Ⓒ,Ⓐ
100万トンタンカー乗っ取り,西ドイツ政府への脅迫・・・全て

物語のきっかけとなるのは 「ウクライナに対するソ連の圧政,ロシア化政策」であり,ウクライナ人の民族意識の強さでした。現在の「ウクライナ騒乱」に繋がるものがあります。

オチには感心しました。

【参考-1】
この小説で 主役級となる 100万トンタンカー(長さ L x 幅 B x 深さ D =515 x 90 x 36 m)は 石川島播磨重工業(株)(現 IHI(株))の知多工場(現 愛知工場)で建造されるという設定です。
過去 建造された最大のタンカーは 載貨重量 564,763トン(LxBxD=458.45x68.8x29.8m)の‘Knock Nevis’(1979年に 住友重機械工業・追浜造船所で建造後,日本鋼管・津造船所で延長工事実施,‘Seawise Giant’から改名)のようで,100万トンタンカーは存在していません。
但し,1970年代半ばから1980年にかけて 「(財)日本造船研究協会」(当時)は 大手造船会社と大学と共同で 「巨大タンカーの研究」を行い,70万トンと100万トンタンカーの試設計を終えていたようです。
因みに 試設計における大きさはー
  100万トンタンカー: L x B x D=456 x 91.1 x 45.5m
   70万トンタンカー: L x B x D=422 x 76.6 x 40.5m でした。
  ((財)日本船舶技術研究協会・研究一覧  http://www.jstra.jp/html/a04/a4b02/a4b1c02/ から)
  フォーサイスが設定した100万トンタンカーの主要寸法のうち,長さ 515mは長すぎ,36mの深さは浅すぎることになります。又,知多工場のドック幅を調べると 90m もしくは 92m なので 幅90mの船は おそらく造れない寸法と思われます。
三菱重工・長崎造船所 香焼工場のドック幅:100mなら建造可能です。

【参考ー2】
登場する航空機です。

Royal_air_force_vickers_vc10Nimrod_mk2

英国 Royal Air Force の 2機,輸送機 ‘Vickers VC10’(2013年 退役)と 哨戒機‘Nimrod MK2’(2010年 退役)。
Nimrod MK2’は乗っ取られた100万トンタンカーの上空 15,000ft を旋回して映像を送り続けます。

Sr71_blackbirdMig25

英国情報部員マンローを乗せて ワシントンからモスクワにマッハ3で向かった米軍偵察機 ‘SR-71 Blackbird’(1999年 退役)と KGBの命令で それを迎撃したソ連 ‘MiG-25’(現役)。

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