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2015年5月15日 (金)

フレデリック・フォーサイスの “The Deceiver”

Img_8784フレデリック・フォーサイス(‘Frederick Forsyth’,1938~ )の(スパイ)サスペンス小説読破計画で 14作品目として  「騙し屋(1991)」 (‘Pride and Extreme Prejudice in The Deceiver’,1991)を読みました。

今まで読んだのはー
   ・「キル・リスト(2014)」(‘The Kill List’,2013)
   ・「コブラ(2012)」(‘The Cobra’,2010)
   ・「アヴェンジャー(2004)」(上下)(‘Avenger’,2003)
   ・「アフガンの男(2010)」(上下)(‘The Afghan’,2006)
   ・「戦士たちの挽歌(2002)」(‘The Veteran’,2001)
   ・「オデッサ・ファイル(1974)」(‘The Odessa File’,1972)
   ・「悪魔の選択(1979)」(上下) (‘The Devil's Alternative’,1979)
   ・「イコン(1996)」(上下) (‘Icon’,1996)
   ・「第四の核(1984)」(上下) (‘The Fourth Protocol’,1984)
   ・「マンハッタンの怪人(2000)」 (‘The Phantom of Manhattan’,1999)
   ・「シェパード(1975)」 (‘The Shepherd’,1975)
   ・「ジャッカルの日(1971)」 (‘The Day of the Jackal’,1971)
   ・「神の拳(1994)」(上下) (‘The Fist of God’,1994)
の13作品です。

The_deceiver_a本作品「騙し屋」は,日本では 「マクレディー・シリーズ」 の第一弾となっており,他の「売国奴の持参金 (The Price of the Bride)」,「戦争の犠牲者(A Casualty of War)」,「カリブの失楽園(A Little Bit of Sunshine)」と合わせて全4部作が中編の単行本として各々 発行されています。

ところが,オリジナルは,この4つの作品が,‘Prologue’と ‘Epilogue’に挟まれて 1冊に収めらており,作品のタイトルは ‘The Deceiver’(騙し屋)です。
すなわち,日本で発行されている 「騙し屋」は オリジナルに収められた ‘Pride and Extreme Prejudice’のみであり,日本語のタイトルは付けられていません。敢えて付ければ 「プライドと行き過ぎた偏見」でしょうか。

主人公は サミュエル(サム)・マクレディ,イギリスの秘密情報機関 SISSecret Intelligence Service)の一部門である  DDPS(‘Deception, Disinformation and Psychological Operations’, 「欺瞞,逆情報及び心理工作」)の部長で,その「一匹狼」(‘marverick’)的性格と,輝かしい実績から ‘The Deceiver’(騙し屋)と呼ばれていました。
SISの東ドイツ担当工作員だった彼は,1983年に創設されて以来,DDPSを統括・運営してきましたが,1990年,冷戦終結によって開始されたSIS組織の人員整理計画のスケープゴートにされます。
引退を勧告されたマクレディーは 現役に留まるため,聴聞会開催を要請,弁護役として10歳若い副部長 デニス・ゴーントを指名します。
聴聞会でゴーントは,マクレディーが過去 如何に危険な状況に身を置き,如何に忠実に職務を遂行し,如何なる成果をあげたか,そして組織は如何に彼に報いるべきかを説き,引退勧告を撤回させるため,過去 マクレディーが手掛けた事例の紹介を始めるのです。

ここでプロローグが終わり,マクレディーが関わった事件の本編‘ Pride and Extreme Prejudice’に入っていきます。

その事件は1983年に起こりました。

SISは,それまで機密文書を漏洩していたソ連の将軍から,ソ連軍の重要かつ詳細な計画文書を渡すとの申し出を受けます。
受け渡しは東独で行われることになり,マクレディーが担当することになりましたが,かつての東独の活動により,ソ連に顔を知られているため,自身が行くにはあまりに危険すぎると考え,長年の盟友,年老いた 西独の秘密情報組織 BND(‘Bundesnachrichtendienst’,英語では ‘Federal Intelligence Service’)のエージェント,ブルーノ・モレンツに依頼します。
モレンツは旧友への義理と,組織からの指示によって 東独に潜入することに同意し,なんとか文書を入手することに成功します。

しかし,モレンツは 作戦実行直前に,それまで関係を持ち,引退後に共に暮らす淡い夢を持っていた娼婦とそのヒモを突発的に殺す事態を引き起こし,崩壊寸前の神経で作戦を実行していて,文書を入手後,脱出する際,交通事故に巻き込まれたことがきっかけで,東独のセキュリティ・サービスにスパイ活動を感知され,追われる身となります。
西独の境界線付近で,事態の推移を伺っていたマクレディーは,モレンツの苦境を察して,彼の幼少時代まで遡って経歴を調べ,隠れ場所に目途をつけ,SISの命令を無視して,モレンツ救出のため東独への潜入を決意します。

マクレディーは 地雷が埋められた境界を横切って,東独に潜入し モレンツを発見します。
しかし,このとき モレンツは,精神の崩壊に加えて 体力の消耗も激しく,脱出は不可能と判断される状態で,東独の秘密警察に捕まって拷問を受ければ ソ連の将軍の名前を白状することは避けられないと考え,マクレディーは彼から文書を受け取った後,青酸入りウィスキーを彼に飲ませて,西独に脱出します。

命令違反を犯しましたが,マクレディーは 英国にとって重要なソ連の機密文書を入手し,盟友の名誉を守り,ソ連の情報源である将軍の正体が曝されるのを防ぐのに成功しました。

冷戦時代のスパイたちへの鎮魂歌として描かれています。

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