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2015年7月22日 (水)

「新国立競技場」設計見直し騒動の原因と責任

国立競技場の建て直しの予算(計画値)大幅オーバーを主因とする設計見直しに対して,誰に(どこに)責任があるのか,関係者が譲り合って(なすり合って)よく分らないと報道されています。
これまでに費やされて無駄になったコストは税金であり,責任をうやむやにすることは許されません。

設計コンペの審査委員長・安藤さんは 「我々が頼まれたのはデザイン案選定まで」と,建設費用に関する責任はないとでも言いたげな驚くべき説明をしました。
税金による公共建築物の建設費用を,設計コンペの審査委員長である建築家が気に留めないことがあるとは驚きです。

責任がどこにあるかは,それほど難しい話ではありません。

責任が,「国立競技場」の管理組織であり,「新国立競技場」の設計コンペを主催した 「(独)日本スポーツ振興センター」(JSC)にあり,更に これを主管する(?)「文部科学省」にあることは明白です。
そして 組織のトップ(例えば大臣が変わっても)が責任を負うのは当たり前のことです。

森さんは無関係な人で,ご機嫌を伺いすぎです。
予算の一部を東京都に受け持ってもらうのなら,森さんよりも舛添さんへの経過説明が優先されるべきでした。(脱線)

「(独)日本スポーツ振興センター」のホームページで設計コンペの概要を見ると,審査体制を次のように示しています。

Photo
これによれば 審査委員会の前に 専門アドバイザーを総括とした技術調査員および支援チームが実現性等の調査を行うことになっており,この調査の中に設計条件への適合検証があり,総工費のチェックが含まれるのは当然です。
   この専門アドバイザーと技術調査員は次のとおりです。

Photo_2
建築に関して素人なので,どのような方々かは分りませんが,皆さん,肩書きは立派です。

興味深いのは審査スケジュールで,次の通りです。

Photo_3
この中で 「技術調査期間」が “平生24年”となっているのは,「(独)日本スポーツ振興センター」組織のチェック機能の程度を表わしていますが,それはさておき,調査期間がわずか2週間足らずというのが驚きで,このスケジュールで任されることを了承した調査委員の方々の考えが理解できません。
名前だけ貸して,実質作業をしてないということはないでしょうね。

如何に優秀な学者,技術者であっても,調査対象がいくつであっても(応募 46作品?),建設費用の一定以上の精度の見積りは不可能な期間と思われます。
期間が抑えられれば それによって得られる結論の精度も それなりのものになるのは当然です。

問題のデザインの場合,構造的に成立することは検証できても,キール・アーチの(断面)構造,その重量(材料費),工法,工費等を概略計算しなければ総工費を見積るのは無理と思われます。

そもそも このスケジュールからは,適正な調査精度の目標値が設定されていたとは思えず,杜撰であり,今回のトラブルの原因のひとつと考えます。当然,計画者に責任があります。専門家がいなかった,能力がなかった,などの言い訳は不要です。

今後の見直し設計の統括は  機能・能力からして 「文部科学省」から「国土交通省」に移すのが正解でしょう。

(追記)
舛添さんのブログ(7/20)に書いてあった 「文科省は,無能力・無責任で,これが失敗の最大の原因である。JSCも文科省からの出向者で固めており,文科省に抵抗できない。文科省・JSCに仕事をさせれば,また失敗する。に同感です。但し,JSCが文科省に抵抗できないから駄目というわけではなく,元々の能力に問題ありと考えます。

(追記 2,2015/9/26)
「森さんは無関係な人で,ご機嫌を伺いすぎです。」と書きましたが,そうではないことを知りました。
9/24の 上記経緯を検証する第三者委員会の報告で 諮問機関として「国立競技場将来構想有識者会議」が存在し,事実上の最高意思決定機関で 森さんがその一員だったとのことです。JSCホームページの審査体制にこの機関は示されていませんでした。
諮問機関を越えた実質的「主導権,拒否権」があったようです。
システム的に責任はありませんが,実質的機能から当然,責任を負うべきです。

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