« ‘CSI 2.0’は 世界のホテルでの食事値段 | トップページ | 奇才・前原冬樹氏の木彫を初めて知った。 »

2015年7月10日 (金)

フレデリック・フォーサイスの “The Negotiator”

Img_8888フレデリック・フォーサイス(‘Frederick Forsyth’,1938~ )の(スパイ)サスペンス小説読破計画で 18作品目として 「ネゴシエイター(1989)」(‘The Negotiator’,1989)を読みました。

今まで読んだのはー
   ・「キル・リスト(2014)」(‘The Kill List’,2013)
   ・「コブラ(2012)」(‘The Cobra’,2010)
   ・「アヴェンジャー(2004)」(上下)(‘Avenger’,2003)
   ・「アフガンの男(2010)」(上下)(‘The Afghan’,2006)
   ・「戦士たちの挽歌(2002)」(‘The Veteran’,2001)
   ・「オデッサ・ファイル(1974)」(‘The Odessa File’,1972)
   ・「悪魔の選択(1979)」(上下) (‘The Devil's Alternative’,1979)
   ・「イコン(1996)」(上下) (‘Icon’,1996)
   ・「第四の核(1984)」(上下) (‘The Fourth Protocol’,1984)
   ・「マンハッタンの怪人(2000)」 (‘The Phantom of Manhattan’,1999)
   ・「シェパード(1975)」 (‘The Shepherd’,1975)
   ・「ジャッカルの日(1971)」 (‘The Day of the Jackal’,1971)
   ・「神の拳(1994)」(上下) (‘The Fist of God’,1994)
   ・「騙し屋(1991)」(‘Pride and Extreme Prejudice in The Deceiver’,1991)
   ・「売国奴の持参金(1991)」 (‘The Price of The Bride’ in The Deceiver’,1991)
   ・「戦争の犠牲者(1991)」 (‘A Casualty of War’ in The Deceiver’,1991)
   ・ 「カリブの失楽園(1991)」 (‘A Little Bit of Sunshine in The Deceiver’,1991)
の17作品です。

Img_8890直近に読んだ4作品が中編だったので,久々の長編で苦労しました。
相変わらず,突然 場面が変わり,しかも 登場人物が多くて頭に入らず,下巻を読むときには上巻の登場人物のページを常に開いておいて確認しながら読み進めました。

事件は,1989年,米大統領ジョン・コーマックがソ連との間に軍縮協定を結ぶことを提案したことをきっかけに発生します。

主人公の 交渉人 クインは,ホワイトハウスでの緊急会議で,CIA工作本部長代理 デイビッド・ワイントロープに推薦されます。
クインは 米陸軍グリーンベレーとしてベトナム戦争に従軍した後,退役し(多くの武勲をあげていますが,適切な情報を流さず 兵士を危険な目に合わせた司令官を殴ったため,将校にはなってない),保険会社のパリ支社長,更に ロンドンでロイズ保険会社関係の個人の安全保障と人質交渉に携わり,このとき 既に引退し, スペイン南部の田舎で葡萄を育てて生活していましたが,引っ張り出されます。

スペインからワシントンD.C.に飛んだクインはー
オデル副大統領が軽く咳払いをして,言った。
『クインさんとやら,あんたに来てもらったのはほかでもない。サイモン・コーラックを交渉によって無事に取り戻すという大役を引き受けてもらいたいんだ。』
  クインはうなずいた。フットボールについて談じるために招かれたのではないことぐらい百も承知だった。
」 と了承します。

クインは,他の物語の主人公同様,賢明で,行動力があり,火器類の知識豊富で,肝が据わっていて,決着がつくまで諦めない精神力を持った,長身で 「上半身は痩せて,筋肉が固く引き締まっていた。」という男の中の男です。

事件は オックスフォード大学に短期留学中だったコーラック大統領の一人息子 サイモンが,早朝のクロスカントリーの練習中に 護衛の3人が射殺されて 誘拐されるところから始まります。
これに先立って,ヒューストンとモスクワで陰謀の計画が開始されていました。

計画は 米ソのどちらにもいた,軍縮を快く思わない連中により コーラック大統領を引きずり下ろすこと,米ソ間に 新たに緊張関係を作り出すことを狙って実行されます。

米国で軍縮に反対するのは,ヒューストンの石油会社のオーナー,石油ブローカー,兵器産業会社のオーナーなど計5人に加えて,最後に明かされるのは ホワイトハウス内の情報をもらしていた大統領の信頼が厚かった男で,彼の大統領を裏切った情けない理由が,全ての資産を,成長率も収益率も高い優良株,軍需産業に投資していたことのみだったことが最後に明かされます。

国際政治,経済,戦争,スパイ,推理 ・・・ など,あらゆる要素を含む小説でした。

(蛇足)

1.初めて知った言葉に ‘C.Y.A.(Cover Your Ass)’がありました。
訳は 「責任逃れ」で,ホワイトハウスでの会議において使われます。

英文 Wikipedia には ‘“Cover your ass” or “C.Y.A.” describes activity, usually in a work-related or bureaucratic context, done by an individual to protect himself or herself from possible subsequent criticism or legal penalties. In one sense, it can be used to describe rightful steps to protect oneself properly while in a difficult situation, such as what steps to take to protect oneself after being fired.’とあります。

「ビジネスや公的環境における 自分への批判や罰を避けるための行動・発言」ということでしょうか。
英和辞典では 【卑語】 「隠蔽工作」とあります。

2.フレデリック・フォーサイスの小説を18作品 読んできました。
日本で発行されている翻訳本の未読作品としてー
「戦争の犬たち」 (‘The Dogs of War’,1974),(短編集)「帝王」(‘The Emperor’)があるようですが,図書館に見当たらないので,今回で フレデリック・フォーサイス作品読破計画は一応終了ということで・・・ 。

| |

« ‘CSI 2.0’は 世界のホテルでの食事値段 | トップページ | 奇才・前原冬樹氏の木彫を初めて知った。 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ‘CSI 2.0’は 世界のホテルでの食事値段 | トップページ | 奇才・前原冬樹氏の木彫を初めて知った。 »