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2016年7月19日 (火)

「気づき」の系譜

2016年7月16日付け朝日新聞 一面囲み署名記事 「これからの民主主義/言葉を尽くした政治を」(編集委員・福島申二) に  「 ・・・ 昨年来,安保法(案)に反対して国会議事堂を囲んだ人にも,同じような気づきがあったはずだ。・・・ 」 という文章がありました。

気づきがあった」が,天声人語の,おそらく60歳近い執筆者が用いる表現になってしまい,真似をする若い人が増えることでしょう。
かつては,少なくとも,私が若い頃(50~30年前)にはなかった表現のような気がしますが,最近はあちこちで しばしば目にするようになり,気持ちが悪い思いをしています。

学びがあった」も同様です。

この違和感,簡単に言えば 「胡散臭さ」の理由の分析は省略しますが,日本語として美しくないと思っています。

いつごろから現れた表現なのか,出版された本のタイトルでランダムに遡ってみて 次の本を見つけました。

  『センサリー・アウェアネス―「気づき」ー自己・からだ・環境との豊かなかかわり』  チャールズ V.W. ブルックス著 1986

  『挨拶の数だけ,幸せになれる。―運が開ける100の挨拶 (気づきの達人)』  中谷彰宏著 2002

  『あなたを成功に導く 「気づき力」』  播磨早苗著 2005

  『家庭科再発見 気づきから学びがはじまる』  堀内かおる編著 2006
  (「気づき」に 「学び」とくれば完璧です。)

  『「気づき」の幸せ』  木村 藤子著 2007

  『人生で大切な「気づき」の法則』  ジョー・ヴィターリ著 2008
  (原題 ‘Life's Missing Instruction Manual’)

  『<気づき>の奇跡: 暮らしのなかの瞑想入門』  ティク・ナット・ハン著 2014
  (原題 ‘The Miracle of Mindfulness’)

  『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』 齋藤薫著 2015

30年前の翻訳本の邦題に 「気づき」が使われていました。
原題が ‘Sensory Awareness’の ‘awareness’の訳語として使ったと思われます。

他の2冊の翻訳本の原題には 「気づき」に相当する言葉はなく,2008年には,ある業界 あるいは ある感性が欠如した人の間では 既に流行だったことが分ります。

因みに ‘awareness’を英和辞典で引くと 「自覚」,「目覚め」,「覚醒」,「認知」 などとあって,まだ 「気づき」は 一般的ではないようですが,英和辞典に載るのも時間の問題かも知れません。

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