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2016年9月27日 (火)

「ハドソン川の奇跡」を観た。

(結末まで書いているので これから観る方は 覚悟して・・・ )

映画 『ハドソン川の奇跡』(‘Sully’,2016)を観ました。

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Sully_poster_aUSエアウェイズ1549便のハドソン川不時着水事故,通称 “ハドソン川の奇跡”と,その後の事件(?)をクリント・イーストウッド(‘Clint Eastwood1930~ ) 監督・製作,機長 チェスリー・サレンバーガー(‘Chesley Burnett Sullenberger’,1951~ )を演じるトム・ハンクス(‘Thomas Jeffrey “Tom” Hanks1956~ )主演で映画化したものです。原題の“Sully”は,機長のニックネームです。

事故は 2009年1月15日,ニューヨーク,ラガーディア空港を離陸した エアバスA320(乗客+乗員 155人)が 飛び立って間もなく(高度 2,800feet≒850m)で バードストライク(カナダ雁の群れ)に遭い 両エンジンが止まって推力を喪失し,空港に引き返すことも 最も近い空港に不時着することもできないと判断した機長によって,ハドソン川に機体折損など大きな損傷なしに不時着水(英語では ‘ditch’と言っていた。)し,気が付いたフェリーの船長等の救助活動により1人の死者を出すこともなく全員生還し,「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ,サレンバーガー機長は英雄となったものです。

映画は その後の NTSB(‘The National Transportation Safety Board国家運輸安全委員会)による厳しい調査過程が描かれます。

ACARS(‘Aircraft Communicating Addressing and Reporting System’:航空機の運航状況を,リアルタイムで自動的に地上局に伝送するシステム)の記録によれば 左のエンジンは推力を喪失してなかったことになっていました。

NTSBは,両エンジン推力喪失の場合でも,ラガーディア空港 もしくは テターボロ空港まで飛んで 緊急着陸可能だったとの コンピューター・シミュレーション結果を得て,サレンバーガー機長のハドソン川への墜落(機長と副機長は 「‘crash’(墜落)ではなく 不時着 ‘emergency landing’」と,都度,訂正発言をする)は 判断ミスであり,乗客・乗員を危険に曝したとの見解を示します。

このままでは サレンバーガー機長は 判断ミスを犯したことになり,キャリアを失うことになります。

サレンバーガー機長は エアバス本社(フランス)のフライト・シミュレーターでパイロットが同じ状況で再現することを提案し,最終的結論を出すための公聴会で,online による ‘Live Demonstraion’ を実施しました。
その結果,ラガーディア空港にも,テターボロ空港にも無事着陸できました。

この結果に対して,サレンバーガー機長は次の異議を唱えます。

  ・ このシミュレーションでは バードストライク発生直後に 空港を目指して旋回を開始しており,Human Factor が含まれてない。
  ・バードストライクの後,機長・副機長は 順序立てた状況の確認,エンジン復旧処理の実行,・・・ などマニュアルに従って実施すべきことがあり,空港に向かうべきか否かを判断する時点で 少なくとも35秒は経過している。
  ・我々は このような事態で瞬間に状況を認識する訓練をしてない。
  ・シミュレーションのパイロットは状況を把握した上で,バードストライク直後に旋回を始めている。
  ・このシミュレーションは何回 実施したのか?(回答は 17回実施→ 16回練習して17回目に着陸に成功した?)

この提案により バードストライクから35秒後に空港に向かう旋回を始めるシミュレーションを実施,ラガーデイア空港に向かった場合,滑走路前の海上誘導灯台に衝突,テターボロ空港に向かった場合は 空港前に並ぶアパートに衝突,の結果になりました。

更に この公聴会開催中に,左エンジンが川から引き揚げられ 内部損傷状況から推力発生は不可能だったとの情報が流れました。

委員会の最後の質問は,副機長に対するもので 「あなただったら 何か違うことをしたか?」 で,それに 副機長は 余裕のユーモアで “I would have done it in July.” と応えました。
1月のハドソン川は 寒かったのでしょう。

この事故は 9月7日,映画公開とタイアップしているのか,何故か NHK BSプレミアムの 「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」の 『ハドソン川の奇跡 ニューヨーク不時着 世紀の生還劇』 で紹介しており,機長は着水前の機内放送の言葉を細心の注意を払って選んだと語りました。

機長による機内アナウンスは “This is a captain. Brace for impact.” で,「こちら機長,衝撃に備えて。」と訳されます。
(特に 変わった放送ではないように思いますが・・・ )

brace’で まず思いつくのは 【名詞】 「構造物の斜材(筋交い)」ですが,この場合は 【動詞】で 「身構える,準備する」のようで,初めて知りました。
今まで 意識して聞いたことがありませんでした。

この映画が真実に基づいているとして 不思議に思ったのはー

機長は 自身で自らの潔白を証明するため,考え,手を尽くしますが,航空会社(USエアウェイズ)のスタッフが何か 援助,調査を実施して 身内の正しさを証明する努力をしているように見えませんでした。そんな会社があるのか?

更に,NTSBの調査員3人の態度が尊大で,尚且つ 無能過ぎます。こんな合理性を欠く調査員に事故を調査されるのは勘弁願いたいと機長でなくとも思うでしょう。
保険会社との癒着まで想像してしまいます。

尚,NTSBの描き方については 映画の公開後,かなり議論があるとのことです。
映画のストーリーとして面白くするための,機長と対比しての無能さと考えるべきかもしれません。

英文 Wikipedia の映画概要には ‘The film received positive reviews from critics and has grossed $126 million worldwide, but stoked controversy in its portrayal of the National Transportation Safety Board (NTSB).’(映画は批評家から肯定的批評を受けて,世界中で 1億2600万ドルを稼いだが,国家輸送安全委員会(NTSB)の描写において,論争に火を点けている。)と書かれています。

エンド・ロールの途中で,実際の乗客と機長夫妻が 事故機のエアバスA320が置かれたカロリナス航空博物館(‘Carolinas Aviation Museum’,ノースカロライナ州)で会うシーンが映され,機長と奥さんがスピーチしています。

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