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2016年10月11日 (火)

「サクッと」は了解語彙なるも使用語彙にあらず。

新聞に掲載された書籍の宣伝文に 「暗記なしに ラテン語の基礎をさくっと学ぶ!/ラテン語 練習プリント/小学館」というのがあり, 「さくっと学ぶ」にやや驚きました。

「さくっと」が 誰でも理解できる言葉として 当たり前のように使われています。

「サクッと」あるいは 「さくっと」 と言う言葉を初めて意識して聞いたのは,20年ほど前の1990年代後半,私は ほぼ50歳の頃でした。(「タメグチ」と言う言葉を知ったのも ほぼ同時期。)
20歳以上違う女性の発した言葉で,意味が分らず 意味を訊きました。

会社で個人用にPCが支給されたのも ほぼ同時期,1990年代の半ばで,Windows はバグが多く,1日に1回は(少し大袈裟か?)フリーズして,電源を落としてリセットすることが必要で,とても 「サクサク動く」時代ではなく,勿論 「サクサク」も聞いたことはありませんでした。

いつ頃から 「さくさく」 と 「さくっと」が一般に使われ始めたのか調べると,私が初めて聞いた時のほぼ10年前に 「現代用語の基礎知識」に掲載されていました。

◇『現代用語の基礎知識1985年版』 若者用語 「さくさく : 早く」

◇『現代用語の基礎知識1986年版』 若者用語 「さくさく : さっさと。早く。『さくさく行こう』」

◇『現代用語の基礎知識1987年版」 若者用語 「さくっと :さっさと。軽く。『仕事なんてさくっと終らせて,さくっと飲みに行こう』。『さくっと決める』」

さらに 「広辞苑」には 第6版(2008年 改訂)に 次のように掲載されていました。

さく‐さく

(1) 雪・砂・粉などが踏まれたり混ぜ合わされたりして崩れる時の軽快な連続音。また,そのさま。「新雪を―と踏む」
(2) 菓子・果物・野菜などの噛み味や切れ方が小気味よいさま。「―した歯ごたえ」
(3) 水を注ぎ入れる音。宇治拾遺物語1「白く新しき桶に水を入れてこの釜どもに―と入る」
(4) 物事が次々と気持よく進行するさま。「仕事を―片付ける」

さくっ‐と
(1) 食物の歯ごたえや切れ方が,軽く小気味よいさま。
(2) ものごとが気持よく,あっさり片付くさま。

   (4) と (2) が該当し,2008年には,この意味での使い方が日本語として認知されていたことが分ります。

ネットの 「日本俗語辞書」 にも掲載されているので 『俗語』 とする見方もあるようです。

サクッと】 :すばやくテキパキと行動するさま。
   解説サクっととはすばやく行動することを意味する「サクサク(と)」を略したもので,すばやくテキパキと行動するさまを表す。『サクサク』は賭博用語から広まった言葉だが,サクッとはもともと麻雀用語として使われたものが若者に広まった言葉である。現代の若者の間でサクッとは単にすばやく行動するだけでなく,簡略化したり,簡単に済ませるといった意が含まれることが多い。1985~

【サクサク】 :すばやく行動することや,そうしたさま。
   解説:「さっさ(と)」と同義に使われる言葉で,すばやく行動することや,そうしたさまを表す。もともとサクサクは野菜を切る音,食べ物を噛む音,また雪の中を歩く音を表す擬音語として鎌倉時代の書物には既に登場している。この擬音語の動作には軽快なものが多いが,前述の意味と直接関連性があるかは不明。ちなみにすばやく行動するといった意味では江戸時代の賭場用語としての記録が古い。サイコロ賭博をテンポよく進めるため,サイコロを振ったあとに 「さあ入った。サクサク張ってくれ」といったセリフで使われる。江戸時代~ (意味によってはそれ以前から)

パソコン普及とラップしているとの見方もあって,次の文章がありました。

「パソコン (PC) の軽快な動作,気持ちの良い処理速度を1980年代から 『サクっと動く』,『処理がサクサク』 などと表現し,パソコン通信 のコミュニティなどを中心に,くだけたパソコン用語のひとつとして広く使われるようになっています。
軽快に動作するパソコンやソフトウェアを 『サクサク動く』,『サクっと動く』 と表現することが定着。パソコン雑誌のハードウェアのレビュー記事や,秋葉原 のパソコンショップなどの宣伝文句やPOPのキャッチフレーズなどにも利用され,定着するようになりました (パソコン雑誌での使用例が最初との印象もありますが,未確認です)。1990年代からは,ネット の回線の通信速度が早いとの意味でも使われるようになり,なかでも ADSL が普及し始めた頃に,それ以前の通信規格と比して,『インターネットもサクサクできる』 といった表現が数多く業者などでも使われて定着しています。」

若者ではないオトナが使っているケースはあるのかとみるとー

糸井重里著「オトナ語の謎」(新潮文庫,2005年発刊)に著者からのコメントがありました。
「いつもお世話になっております。この度,弊社(?)で出版いたしました 『オトナ語の謎。』という本について,サクッとご説明いたします。」
糸井重里氏は 1948年生まれ,私と同年齢で団塊世代です。

私について言えば,意味は分りますが, 「サクッと」 も 「さくさく」も,軽薄さを感じ,恥ずかしいので自ら使うことはありません。

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