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2016年10月12日 (水)

かつて 「タノモシ」があった。

60年ほど前の子供の頃(昭和30年ー1955年前後),幼稚園,あるいは小学校から帰ると 家に近所の奥さんたちが集まっていることがありました。
TVや冷蔵庫はまだなく,やっと電気炊飯器と洗濯機が普及し始めた,あるいは普及し終わった時代でした。

何故か その集まりが 「タノモシ」というのを知っていました。

今,考えると これは 「頼母子講」と呼ばれるもので 辞書で調べればー

「金銭の融通を目的とする民間互助組織。一定の期日に構成員が掛け金を出し,くじや入札で決めた当選者に一定の金額を給付し,全構成員に行き渡ったとき解散する。鎌倉時代に始まり,江戸時代に流行。頼母子。無尽講。」 とあります。

子供として そばにいるだけでは,何をしているのか 定かに理解できなかったとは思いますが,当時の理解は おそらく母親から聞いた説明も加えて 次のとおりでした。

  ・毎月1回の集まり。
  ・会費(?)を集める。(いくらだったのかは不明。)
  ・その月,お金が必要な/欲しい人が 集まったお金を受け取る。
  ・必要な人が複数いる場合はくじで決める。
  ・必要な人がいない場合は 決められた順序で一人が受け取る。
  ・受け取った人は 毎月の会費で返済する。
(各名詞には ‘符牒’があったと思うが 覚えてない。)

おそらく 終戦から まだ10年ほどしか経っておらず,各家庭が急に必要となるまとまった出費への蓄えがない ギリギリの生活をしていた時代の生活の知恵で,上述の定義どおりの 「民間互助組織」であり,加えて親睦を兼ねた集まりだったように思います。
当時あった,民間の借金できる代表的金融機関としては質屋が考えられますが,質草,利子なしで借りられる「タノモシ」は有効だったのでしょう。

小学校高学年,あるいは中学校の頃には なくなっていたように思います。
昭和30年代が進み,生活に僅かに余裕ができ,各家庭がTVや冷蔵庫を持つ時代になっていきました。

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