「白黒受像機」を用いた「カラーTV」が存在した。
NHK TV 「発掘!お宝ガレリア」 2月8日放送の 「昭和のレトロ家電!ちょ~っと勇み足な発明!?展」で面白い家電が紹介されていましたが,中でもー
三菱電機による 「白黒受像機3台を用いたカラー・テレビ」が驚きでした。
製造年の説明はありませんでしたが,カラー放送が開始されたのが 昭和35年(1960年)なので,昭和30年代後半なのでしょう。
それにしても大きな箱です。
箱の中はー
白黒テレビの受像機が3台入っており,それぞれの画像が 光の三原色のカラーフィルムを通してガラス板に映され(一番奥は そのまま)3画像を重ねて見ることによりカラー映像になるという仕掛けだそうです。
放送での説明はそこまででしたがー
カラーテレビ映像の搬送波のしくみは よく分りませんが,おそらく三原色に分光されて受信され(受信した後,分光?),それぞれの色別に3台の白黒テレビに分けられて各色毎に対応するカラーフィルムを通して映して重ねるという原理でしょう。
一番の問題は 3種の映像が,奥行きをもって重ねられているため,真正面からではないと 正しい画像が見られないことだったようです。
カラー放送するということは,カラー受像機は当然存在していたでしょうから,それでも 敢えて このようなしかけの 「カラーテレビ」を製造したということは,カラー受像器が,白黒受像機の軽く 3倍以上の価格だったということでしょう。
右図は 通産省によるTV等の普及率の推移です。
それにつけても,思い出すことがあります。
「白黒テレビで カラー映像を見る」という企画(番組?)があったのです。どのような理屈だったのかどうかわかりませんが(ひょっとすると夢だったかも知れませんが),それは次のようなものでした。
- 昭和36年(1961年),私が中学1年生,夜10時開始だった。(55~56年前)
カラー放送が始まった翌年であり,白黒テレビの普及率がやっと 50%を超えた頃で,カラーテレビはほとんど普及してなかった。 - 三菱電機提供で 三菱のダイヤ・マークが画面に出た。それは 金曜夜8時から始まるプロレス中継のオープニングの画面と同じだった。
- アナウンサーが(もしくは テロップで) 「今から カラー映像を送ります。色が鮮明でないときは コントラストを強くしてください。」と説明した。
- 慌てて コントラストを強くした。
- 確かに ダイヤのマークが 赤く見えた。
この件に関する情報は 今まで,一度も読んだことも,聞いたこともなく,科学的,原理的にあり得ないことではないかと,人に話すことも憚られる事件となりました。
何か関係があるかも知れませんが,「白黒受像機3台によるカラーテレビ」 と 「白黒テレビでカラー映像を見る」の どちらも三菱電機でした。
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コメント
こんばんは。古いエントリに失礼いたします。
「モノクロTVをカラーで観る」を検索していて唯一ヒットした貴ブログにたどり着きました。なぜ検索していたかと申しますと、1990年代、8mmビデオなどのアナログ撮影機材が普及し始めた頃、専門誌の紹介記事で、撮影中の画像を覗くビューファインダーが当時はまだ白黒画像だったのですが、これをカラーにしようと一部のメーカーがファインダーの画像の前でRGBの三色のフィルムを貼ったファンのようなものを高速で回し、画像をカラーに観せるという間に合わせギミックを搭載した機種があり(シャープの「液晶ビューカム」以前の時代)、「大昔のモノクロTVをカラーに観せるための器具と同じ」と説明していたため、そんなモノが昔はあったのか? と、ブログ主様と同じ惑乱に陥り、何度検索しても判明しなかったのが、今回ようやくそれらしい記事に行き当たった、というものなのです。
私もいまだに原理的には少し理解できる程度で、半信半疑なのですが、具体的な情報に接することができたのは貴ブログのみで、大変参考になりました。
深く感謝申し上げます。
投稿: Black Magic | 2019年12月17日 (火) 18時29分