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2017年3月 3日 (金)

自然享受権=Freedom to roam

Img_15181月25日,NHK BSプレミアム 「一本の道」の 『“命の水”の聖地を歩く ~イギリス  スコットランド~』 は,スペイ川(River Spey)に沿った,スコッチ・ウイスキーの本場を貫く一本の道を北海まで6日間かけて歩く回でした。

このルートは全てが公道ではなく 私有地もあります。
しかし,「自然享受権」によって 私有地を歩くことができる,との説明がありました。

この「自然享受権」を英語ではー
right of public access to the wilderness’,‘freedom to roam’,‘right to roam’,‘everyman's right’などと言うようです。
(ここで
roam’とは 「【自/他動】 散策する,うろつく,放浪する」)

日本語 Wikipedia の 「自然享受権」には  『土地の所有者に損害を与えない限りにおいて,すべての人に対して他人の土地への立ち入りや自然環境の享受を認める権利。自然環境享受権。』 で,北欧に古くからある慣習法とあります。
国によっては,果実採取権(土地の所有者に対価を支払わない,野性の果実やキノコ類の採取)も認めらているようです。 日本で これが認められると 「松茸山」など大変なことになりそうです。

では,スコットランドではどうなのか Wikipedia の ‘Freedom to roam’を読んでみました。

(前書き)
「自然享受権(freedom to roam,everyman's right)とは,公有地 あるいは 私有地に レクレーションや運動のために立ち入る一般国民の権利である。
スコットランド や 北欧諸国(フィンランド,アイスランド,ノルウェー,スエーデン),バルト海沿岸国(エストニア,ラトビア,リトアニア),中部ヨーロッパ国(オーストリア,チェコ,スイス)では,自然享受権は 国によっては成文法になっている一般的な国民の権利である。
通行は 一部北欧諸国では古代から可能であり,完全に基本的なことと見做されていたが,現在まで法制化されてなかった。
しかし,権利には 通常 ハンティングや木材の伐採などの経済的利用や,たき火したりオフロード車で走るような破壊的な活動を含まない。

以下に英国での‘Freedom to roam’の英文記述を拙訳と共に転載します。

United Kingdom  (英国)

Many landowners in the United Kingdom have, in the past, strongly defended their property rights. Even uncultivated and unenclosed land was formerly heavily protected in some areas, mostly to preserve the land owner's hunting or fishing rights. This in turn left the general public with little access to natural areas.

英国の多くの地主は,過去,彼らの所有権を強く守ってきた。開墾されず,囲まれてない土地でさえ,たいてい,地主のハンティングやフィッシングの権利を維持するため,以前は厳重に保護される地域もあった。これにより 一般国民は,ほとんど自然なエリアへのアクセスはできなかった。

Even such popular sites as Chrome Hill and Parkhouse Hill in the Peak District – although of very little economic interest to the owner – had been out of access to the public, until the enactment of the Countryside and Rights of Way Act 2000. The Ramblers' Association works to increase the rights of walkers in the United Kingdom and has been a driving force behind the recent legislation increasing the public's access to the wilderness.

ピーク・ディストリクトのクローム・ヒルやパークハウス・ヒルのようなポピュラーな場所でさえ,地主にほとんど利益をもたらさないにも拘らず,‘Countryside and Rights of Way Act 2000’(田園地域及び権利通路法 2000)の立法まで,一般国民のアクセスはできなかった。ハイカー協会は,イギリスの歩行者の権利を増大させるために動き,一般国民の自然へのアクセス権を拡大した最近の立法の原動力になった。

England and Wales  (イングランドとウェールズ)

In England and Wales public access rights apply to certain categories of mainly uncultivated land—specifically “mountain, moor, heath, down and registered common land.” Developed land, gardens and certain other areas are specifically excluded from the right of access. Agricultural land is accessible if it falls within one of the categories described above.

イングランドとウェールズでのパブリックアクセスの権利は,主に未開墾の土地の一定のカテゴリーに適用される- 特に,「山,荒れ地,丘陵 および登録された共有地」。
開発された土地,庭,および一定の他のエリアは,アクセス権から特別に除外される。もし,上に説明されたカテゴリーのうちの1つに入っているなら,農地へはアクセス可能である。

Most publicly owned forests have a similar right of access by virtue of a voluntary dedication made by the Forestry Commission. People exercising the right of access have certain duties to respect other people's rights to manage the land, and to protect nature.

ほとんどの国有林は,森林局によりなされる自発的な献身のおかげで同様のアクセス権がある。人々がアクセス権を行使するには,土地を管理し,自然を保護する他の人々の権利を尊重する一定の義務を負っている。

In England, after a polarised debate about the merits, rights and benefits of private landowners and public recreation, in 2000 the Government legislated to introduce a limited right to roam, without compensation for landowners.

イングランドでは,私的な地主と一般のレクリエーションの長所,権利,利益についての対立した議論の後,2000年に政府は,地主への補償なしで,限られた 「自然享受権」を導入して法制化した。

The Countryside and Rights of Way Act 2000 (CROW) was gradually implemented from 2000 onwards to give the general public the conditional right to walk in certain areas of the English and Welsh countryside: principally downland, moorland, heathland and coastal land.

The Countryside and Rights of Way Act 2000 (CRoW)’(田園地域及び権利通路法 2000)は,2000年以降 徐々に施行され,一般大衆に,イングランドおよびウェールズの地方の一定の地域 -主として,傾斜牧草地,荒野,ヒースの生えた荒野,および海岸の土地ーを歩く,条件付きの権利を与えてきた。

Traditionally the public could walk on established public footpaths and bridleways, on common land and on the foreshore, and land owners could prevent access to other areas (or charge a fee for access).

伝統的に一般大衆は 世間に認められた国の小路や乗馬道を歩いたり,公の土地や海岸を歩くことができた。地主は他の土地への通行を拒むことや,通行料を取ることができた。

Angling interests successfully lobbied for the exclusion of rivers in England and Wales from CROW, leaving other river users such as swimmers and canoeists with access restricted to less than 2% of navigable water. The British Canoe Union is running the Rivers Access Campaign, to highlight the level of restrictions the public face in gaining access to inland waterways in England and Wales.

魚釣り同好者達は,イングランドとウェールズの川を‘CROW’(田園地域及び権利通路法 2000)から除外する陳情に成功し,航行可能な水域の2%未満に限定して 水泳やカヌーなどをする人たちに他の川を残した。英国カヌー連合は,イングランドとウェールズの内陸の水路へのアクセス権を得るときに 制限の程度を代表者に強調し,川へのアクセスキャンペーンを展開している。

The new rights were introduced region by region through England and Wales, with completion in 2005. Maps showing accessible areas have been produced.

新しい権利は,2005年の完成で,イングランドとウェールズの至る所まで地域ごとに導入され,アクセス可能な地域を示す地図が作製された。

Dartmoor National Park enjoys Open Access rights which are significantly more extensive than the rest of the country for historic reasons which have been recently recodified with various legal changes following the Dartmoor Commons Act (1985).

ダートムーア国立公園は,ダートムーア下院法(1985)に従った種々の法的変更で再成文化された歴史的理由で,他の地域よりかなり拡張されたオープン・アクセス権を享受している。

Scotland  (スコットランド)

In Scotland the Land Reform (Scotland) Act 2003 comprehensively codified into Scots law the ancient tradition of the right to universal access to the land in Scotland. The act specifically establishes a right to be on land for recreational, educational and certain other purposes and a right to cross land. The rights exist only if they are exercised responsibly, as specified in the Scottish Outdoor Access Code.

スコットランドでは,スコットランドにおける古代からの伝統である土地への万人の通行権を,スコットランド法に包括的に‘the Land Reform (Scotland) Act 2003’(土地改革(スコットランド)法2003)として成文化した。法令は,レクリエーション,教育,その他 特定の目的で土地に入ることと,土地を横切る権利を明確にした。
この権利は,‘the Scottish Outdoor Access Code’(スコットランド,アウトドア通行規約)で示されるように,責任を持って行使されるときのみ存在する。

Access rights apply to any non-motorised activities, including walking, cycling, horse-riding and wild camping. They also allow access on inland water for canoeing, rowing, sailing and swimming. The rights confirmed in the Scottish legislation are greater than the limited rights of access created in England and Wales by the Countryside and Rights of Way Act 2000 (CRoW).

アクセス権は,エンジン付きではない乗り物による活動ー ウォーキング,サイクリング,乗馬,キャンプなどに適用される。更に アクセス権は カヌー,ボート,ヨット,水泳のために 池,湖,川にも適用される。スコットランドの立法において確認された権利は,イングランドとウェールズにおける ‘the Countryside and Rights of Way Act 2000 (CRoW)’(田園地域及び権利通路法 2000)により生じるアクセスの制限された権利より大きい。

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自然環境を享受することは万人の権利であり,資本主義社会であっても 経済活動に反しない限り,個人が排他的に自然を独占することは許されないという法律のようです。
それでも 成文法になったのは ほぼ 21世紀になってからでした。

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