‘World Happiness Report 2017’で日本は51位だがー
国連委託組織 ‘The Sustainable Development Solutions Network(SDSN)’(持続可能開発ソリューション・ネットワーク)が 3月20日,‘WORLD HAPPINESS REPORT 2017’を発表しました。
この報告書での日本は 155ヶ国中51位で,日本では低い順位を強調するような,あるいは国連関連組織が日本の幸福度を世界の51番目と評価したような報道がなされています。
この報告における順位は,ギャラップによる,各国国民の幸福度の10段階自己評価アンケート調査実施,その結果の平均スコアを大きい順に並べたものであって,国連委託組織が 国毎の幸福要素を評価,数値化して順位付けしたものではないようです。すなわち,他者(第三者)による幸福度の絶対的評価ではありません。この点,誤解を生じさせる報道がなされている気がします。
2017年の1位はノルウェーですが,この意味するところは,最も幸せな国とされたのが ノルウェーではなく,ノルウェーの国民が思う幸福レベルが1位ということです。
幸福の感じ方とそのレベルは国民性に影響されるところ大であり,日本人の様に自己に厳しく,更に 遠慮がち,謙遜気味の国民は当然 スコアは相対的に低くなり,従って順位も低くなるのは想像に難くありません。
幸福は個人,男女,宗教,文化,その他 諸々の要素により,それを測る,もしくは感じる尺度が異なるので,幸福を幸福度という全世界共通の数値尺度で表わすこと自体に無理がありそうですが,この報告は この幸福度を 敢えて六つの要素で客観的に表わそうとしたものです。すなわち,各国政府は この六つの要素の評価を国民の幸福度を向上させるための参考にすればよいということです。
ーという前提でー
2012年以来 毎年発表される この幸福度における日本の順位が次のように変化したかを示します。2017年は 51位です。あくまで 国民自身がどの程度幸福に感じているかどうかの順位です。
2012年 34位
2013年 43位
2014年 ?
2015年 46位
2016年 53位
2017年 51位
この結果と上述とから,日本は先進国の中で もっとも不幸というより,幸福度に対する謙遜度のもっとも高い国と言えるのかも知れません。
又, 「日本は2016年の 53位から51位に,2位アップした。」とだけ書いているメディアが多いようですが,順位は大した意味はなく,肝心なのは スコアであって 2016年の ‘5.921’から ‘5.920’と,2017年は僅かに落ちており,日本人が感じる幸福度が上昇してないことをこそ問題として報道すべきでしょう。
全体の順位(53位まで)は次の通りです。
本リポートで幸福度を表わそうとするファクター(上図の サブ・バー)は次の通りです。
1.‘GDP per Capita’(一人当たり国内総生産)
2.‘Social Support’(社会的支援)
3.‘Healthy Life Expectancy’(健康寿命)
4.‘Freedom to Make Life Choices’(社会的自由=人生選択の自由度)5.‘Generosity’((社会の)寛容さ)
6.‘Perceptions of Corruption’(社会の腐敗度)
上図の7番目として 直観的に意味が分らない‘Dystopia (1.85) + residual’があり,日本のこの数値の小ささが顕著です。
これは,おそらく 幸福度を,選択した六つの要素で解析(回帰分析)すればスコアを説明し易く,その他の影響部分が少ないことを示すものだと考えます。言い換えれば 日本人の幸福の多様性が少ないことを示しているのかも知れません。
【参考】
What is Dystopia?
Dystopia is an imaginary country that has the world’s least-happy people. The purpose in establishing Dystopia is to have a benchmark against which all countries can be favorably compared (no country performs more poorly than Dystopia) in terms of each of the six key variables, thus allowing each sub-bar to be of positive width.
‘Dystopia’(暗黒郷は),世界で最も幸せではない人々がいる想像上の国である。
‘Dystopia’を設定する意図は,すべての国が6つの重要な変数の各々に関して有利に比較されることができる(‘Dystopia’より劣る国はない)ベンチマークとすることであり,これによって,各々のサブ・バーがプラスの幅となる。
The lowest scores observed for the six key variables, therefore, characterize Dystopia. Since life would be very unpleasant in a country with the world’s lowest incomes, lowest life expectancy, lowest generosity, most corruption, least freedom and least social support, it is referred to as “Dystopia,” in contrast to Utopia.
したがって,6つの重要な変数で見られる最も低いスコアで,‘Dystopia’が定められる。
世界の最低収入,最短の寿命,、最低の寛大さ,最大の腐敗,最少の自由と最少の社会的支持の国では,生活は極めて不快なので,ユートピアと対照的に,‘Dystopia’(暗黒郷)と呼ばれる。
What are the residuals?
The residuals, or unexplained components, differ for each country, reflecting the extent to which the six variables either over- or under-explain average 2013-2015 life evaluations.
残存,または説明できない構成要素は,各国ごとに異なり,6つの変数が 平均的 2012-2014年の生活評価を過大 あるいは 過小説明する範囲を反映する。
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