気温が高過ぎると 飛行機は飛べない。
気候変動で,かつては考えられなかった高い気温になることがあり,航空機の設計条件を見直す必要が生じるかも知れません。
航空機には安全飛行のための設定最高気温があります。
BBC News (20 June 2017) に ‘Phoenix flights cancelled because it's too hot for planes’(暑すぎて,フェニックス発航空便欠航)の見出しの記事がありました。(「不死鳥」を掛けている?)
以下 転載(拙訳御免)
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As temperatures climb in Phoenix, Arizona, more than 40 flights have been cancelled - because it is too hot for the planes to fly.
アリゾナ州フェニックスの気温が上がったため,40便以上が欠航したー理由はー 飛行機が飛ぶには暑すぎたため。
The weather forecast for the US city suggests temperatures could reach 120F (49C) on Tuesday.
この日,米国都市別天気予報の気温が 120°F (49°C) を示した。
That is higher than the operating temperature of some planes.
これは いくつかの機種の稼働温度を超えている。
American Airlines announced it was cancelling dozens of flights scheduled to take off from Sky Harbor airport during the hottest part of the day.
アメリカン・エアラインズは その日の最高気温の時間帯での スカイ・ハーバー空港離陸予定数十便の欠航を告げた。
The local Fox News affiliate in Phoenix said the cancellations mostly affected regional flights on the smaller Bombardier CRJ airliners, which have a maximum operating temperature of about 118F (48C).
フェニックスのフォックスニュース・ローカル系列会社によると,欠航は,ほとんど,約118°F(48°C) の最高稼働温度の比較的小型のボンバルディア CRJ旅客機で,ローカル便に影響した。
The all-time record for temperatures in Phoenix is just slightly higher, at 122F, which hit on 26 June 1990.
フェニックスでの過去最高気温 122°F(1990年6月26日 記録)は やや それよりも高い。
The cancelled flights were scheduled to take off between 15:00 and 18:00 local time.
欠航便は ローカル時刻 15時から18時の間に離陸予定の便だった。
Why can't planes fly?
何故,飛行機が飛べないか?
At higher temperatures, air has a lower density - it is thinner. That lower air density reduces how much lift is generated on an aircraft's wings - a core principle in aeronautics.
高温になると空気密度は小さくなるー薄くなる。この空気密度の低下により,飛行機の翼で作られる揚力は減小するー航空力学の基本原理である。
That, in turn, means the aircraft's engines need to generate more thrust to get airborne.
このことは 飛行するためには エンジンは より多くの推力を出すことが必要になることを意味する。
It's a well-known problem - a 2016 report from the International Civil Aviation Organization (ICAO) even warned that higher temperatures caused by climate change could “have severe consequences for aircraft take-off performance, where high altitudes or short runways limit the payload or even the fuel-carrying capacity”.
既に良く知られた問題で - 国際民間航空機関(ICAO)による 2016年報告は,気候変動により起こされたより高い温度は,「高い高度の,あるいは短い滑走路により ペイロードまたは燃料積載量さえ制限される航空機の離陸性能にとって厳しい結論となる」との警告さえしている。
Those problems are why many countries in the Middle East, and some high-altitude airports in South America, tend to schedule long flights for the evening or night, when it is cooler.
これらの問題は,中東の多くの国や南アメリカの高地にある空港で,気温がより低い夕方や夜に長距離便が計画される傾向がある理由である。
Bigger aircraft like Boeing 747s and Airbus models have a slightly higher operating temperature, and have not been affected by the heat in Phoenix.
ボーイング747やエアバスのような大型機の場合,稼働温度はやや高く,フェニックスでの熱の影響を受けてない。
An American Airlines statement provided to The Arizona Republic newspaper said those jets should be fine up to 126-127F (53C) - just a little higher than what is expected.
アメリカン・エアラインズは 「アリゾナ・リパブリック新聞」を通じて これらのジェット機は 126-127°F(53°C)まで問題なく,予報気温より やや高い,と告げている。
(転載了)
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2015年7月26日,調布飛行場を離陸した軽飛行機が,上昇できないまま民家に墜落,3名死亡するという事故がありました。
この時の推定原因の一つに,高気温による 「空気密度小→揚力小」がありました。(Wkipedia は このことに触れず,エンジン トラブルの可能性としか書いてない。)
又,ペイロード一杯の積載質量だったような記憶もあります。
調べるとー 機種:パイパー PA-46 で,定員(5 + 1)名に対して (4 + 1)名,目的地 伊豆大島で,燃料は 2.5 往復分(おそらく Full Capacity)を積んでいたとのことでした。
気象庁のデータを見ると(調布市のデータがなかったので隣の府中市で),この日の最高気温は 36.6℃で,結構な暑さでした。(但し,離陸は 11時頃。)
日本も そのうち 飛行機の運航に気温を考えないといけない事態になるかもしれません。
比較的 推力の小さい小型機は注意が必要のようです。
少なくとも 小型機は高気温のとき,定員/積載重量 ギリギリでの離陸は避けた方がよさそうです。
小型機に乗ったのは一度だけ,40年前に オーストラリアのポート・ケンブラ(シドニーの南 約55km)から ニューカッスル(シドニーの北 約120km)まででしたが,気温のことを知らなくても 低空をフラフラ飛ぶのは気持ちのいいものではありませんでした,特に その時,パイロットに,サービスのつもりで副操縦士席に座らされていたので。
過去,ドバイ空港発着を3回(奇数回なのは 1度は 船で出国したから)経験していますが いずれも深夜で,気温は 42℃ 前後だったことを覚えています。昼間は危険だったのです。
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