他動詞 ‘don’は ‘do+on’の短縮形で 「着用する」。
英語に関わる仕事をしてきたわけではないので,この年齢(前期高齢者)になっても,初めて見る英単語は いくらでもあり,それらは 少なくとも 高校生は知らない単語だろうと決めこみ,あまり挫けないようにしていますが,先日 ‘don’という動詞を初めて見て,こんな単純な単語を今まで何故知らなかったのだろうと不思議に思いました。
見たのは 1965年に婦人画報社から出版された,1965年の合衆国アイビーリーグ大学の学生たちの,キャンパスでの普段着を撮った写真集 ‘TAKE IVY’の英語復刻本で,2010年に 合衆国の ‘powerHouse Books’から出版されたものです。
この写真集で,ジャッケトにタイの格好の学生が数人写った写真があり,その説明がー
‘A tie for Sunday Unlike weekdays,during which Ivy Leaguers dispense with wearing a tie or a jacket,Sundays are times when they don a formal for church.’
訳すなら 「日曜日のタイ : タイ や ジャケットを着けないウィークデイと違って,日曜日は 教会に行くために アイビーリーガー達が フォーマルに ‘don’する時。」
となって ‘don’が 「着る,装う」 などの意味だろうと推測しました。
Webの辞書にはー
【2他動】 〈文〉〔服・帽子などを〕着用する,身に着ける◆【反】doff
とありました。
昭和47(1972)年の就職した年に買った,研究社の,岩崎民平編 「新簡約英和辞典」(昭和31(1956)年 第2版,昭和46(1971)年 印刷)を見ると 右のように 出ていました。
〔do + on〕の短縮形,対義語は 〔do off〕の短縮形で ‘doff’ と書いていました。
ついでに Web の‘Oxford Dictionaries’を調べるとー
verb [with object] Put on (an item of clothing)
【Origin】 Late Middle English:construction of do on.
Compare with doff.
とありました。
‘don’が最近使われ始めた単語だから,今まで見たことがなかったのではないかと疑ったのですが,反対でした。
‘Late Middle English’なので 「後期中世英語」であって,最初のWeb辞書には <文>とあるので 「文語」。
古すぎてあまり使われないから目にしなかった,ということにしておきましょう。
‘TAKE IVY’の英語版に,日本語からの翻訳の際,‘don’を使った意図は何だったのでしょう。
「着る」 に対する 「着用する」 程度の違いでしょうか?
尚,翻訳者は Miho Ayabe さん,とありました。
ところで この 動詞 ‘don’を 米国人成人の 何% が理解できるのか,何% が見たことがあるのか,何%が 使ったことがあるのか興味があります。
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