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2018年3月27日 (火)

フロリダ,架設中の歩道橋崩落事故の不思議(その2)。

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                         Fig. 1 歩道橋崩落状況

3月15日午後,フロリダで架設中の歩道橋(Pedestrian Bridge)が崩落し,8台の車が下敷きになって6人の死者が出ました。

3月17日,‘フロリダ,架設中の歩道橋崩落事故の不思議。’で一報を書きましたが,土木関係の素人が,その後の米国の報道で得た知見と,大人の常識と,付け焼き刃の知識で,この崩壊状況を更に考えてみます。

橋の正式名前は ‘The FIU Sweetwater UniversityCity pedestrian bridge’(FIU:Florida International University) で歩道橋です。

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                        Fig. 2  完成予想図

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                        Fig. 3  構造図(完成)

【構造】

  ・完成状態は Fig. 2 および Fig. 3 (何れも米国のサイトから拝借)に示すように 斜張橋(吊り橋)の形状だが,トラス構造より上部の斜張橋としての構造は 「飾り」(cosmetic appearance) で,機能的,構造的には不要。 スパンを完全に自構造で支持する コンクリート製の「トラス橋」である。
  *Fig. 3 で 右端のトラス下端が橋台に届いてないのは図の誤りで,実際は の下端と交わるべきと思う。

  ・「歩道面」と「屋根面」を結ぶ斜材(トラス)は中央一面のみ存在する。(両側にはない。)

  ・今回,崩落した架設中の構造は Fig. 3 の緑色(赤を含む)部分で,長さ:174ft.≒53m,重量:950 Short Ton≒862 Metric Ton。 他は未施工。

【崩壊前兆】

  ・全スパンを一体で持ち上げて橋台に載せた3日後の3月13日,プロジェクトの主任技師はスパンの北端(恐らく 部材)で 亀裂を発見した。(詳細位置を示す報道なし。)

  ・彼はフロリダ州交通局(Florida Department of Transportation : FDOT)の担当者にボイスメールでこれを報告した。彼は,これを 安全上,急を要する問題ではなく後で補修すればよいと捉えていた。
   FDOTの担当者は不在で,崩壊の翌日まで このボイスメールを聞いてなかった。

  ・3月15日 午前9時,大学の職員が,橋の下で信号待ちしていて 大きな ‘whip cracking sound’(鞭打ち亀裂音)を聞いた。(亀裂が進行していたと考えられる。)

  ・同時刻,設計-施工チームは 3月13日に発見された亀裂に関する,施工現場での2時間の会合をもった。
   この会合には FIUFDOTの両方の代表が出席し,FIGG(設計会社)の主任技師の結論は,橋の構造的完全性は損なわれておらず,亀裂の存在によって生じる安全上の懸念はない,だった。

  ・マイアミ・デイド郡首長 カルロス・ギメネスは,作業員が 3月15日の朝に 「ストレス・テスト」を実施したと語った。

【崩壊】

  ・午後1時47分,橋の北端の最初の斜材が崩壊して折れ曲がり,直後に構造全体が,下の道路に落下した。 監視ビデオでは,崩壊の経過は わずかなビデオフレームにしか映らなかったことが示されている。(ほぼ一瞬で崩壊)

  ・米国上院議員と FIU准教授 マルコ・ルビオは,3月15日に,エンジニアが緩んだケーブルを締め付け,作業員は,北端のコンクリート斜材の内部のスチール・ロッドに更にテンションを加えていたと,ツイートした。

  ・崩壊を調査している国家交通安全委員会(The National Transportation Safety Board)は,作業員が崩壊前に 橋に「ポスト・テンション力」(post-tensioning force)を加えたと述べている。

  ・目撃者は,崩壊の瞬間に,青い箱がクレーンのフックから緩んで落下したと話した。彼の印象では,その落下が崩壊の引き金だった。それは作業員の隣にある橋の屋根の上に落ち,屋根と柵が崩壊した。

  ・現時点では,橋の斜材が既に圧縮状態にあるときに,VSL社によるポスト・テンション操作がなぜ実行されたのか不明である。

  ・新しい土木技術者による報告によれば,彼らは橋の上部構造の亀裂を閉じるために部材に追加の圧縮をかけようとしていた可能性がある。

  ・ポスト・テンショニング作業中に,対角線部材(ポスト・テンション・ロッド用のアンカー・ナットを含む)のボトム・ジョイントが突発的に壊れ,橋が崩壊した。現在,ジョイントが壊れた原因は不明だが,ポスト・テンションが,依然として原因としての可能性は高い。

*以下は私的見解

【荷重と部材に発生する力】

  ・橋にかかる荷重はー
     a. 自重(862ton)
     b. Payload :例えば 100kg×500人 で 50ton
     c. 地震加速度(米国の規則は不明だがー) ↓↑上向き1G以上の地震加速度が適用されるか?
     d. 風(ハリケーン)↓↑上向き(吹上げ)で自重を超える力の風(橋を持ち上げる)があるか?
     e. 積雪(考え難い)

     これらを合計すると,定性的には 上向きの荷重があったとしても 下向きの荷重に比べるとかなり小さい。崩壊した時は 自重による荷重のみ。

  ・トラス部材に働く力はー
   下向きの荷重を考えると部材(斜材・トラス材)に働く力:「圧縮」,「引っ張り」は部材毎に決まる。
    「圧縮部材」:
    「引張部材」:
   
崩壊した自重のみの荷重状態では,スパン両端で 862tonの1/2,431tonを支える。
    右(北端)支持点に交わる部材は トラス と歩道面 と垂直部材
    は垂直方向荷重を伝えるには剛性(力と変形の関係)が弱く,は垂直方向の剛性はあるが,これに力を伝える屋根部材には 垂直方向荷重を伝える剛性がないので,結果的に トラスから伝わる力がほとんどで,崩壊時に に働いていたと考えられる圧縮力は,45度以上傾斜しているようなので P≒431×√2≒610(ton)

  ・コンクリートの強度とプレ・ストレス
   コンクリートの引っ張り強度は圧縮強度に対して 1/10 程度しかなく,引っ張り力が働くと考えられるコンクリート部材には 無負荷状態で圧縮力が働いている状態にしておいて 引っ張り荷重が作用しても 引っ張り応力が大きくならないように 「プレ・ストレス」を与えることがある。
   方法としては コンクリート内部に鋼材(高張力鋼)を入れて これを引っ張って両端部で留め,鋼材が戻ろうとする力によってコンクリートに圧縮応力を発生させておく。

  ・今回の事故経緯における疑問
   上記の経過の中で トラスに 「ポスト・テンション・ロッド」が通っており,これに「ポスト・テンション」を与える作業をしていた。→ 部材にとっては圧縮で 上述 610tonにプラスされる。。
   もともと ほとんど引っ張り力が働かない部材に何故 プレ・ストレスを与える必要があったのか?
   そもそも 数百トンの圧縮力がかかった状態で どのようなメカニズムで「ポスト・テンション」を与えるのか,素人には理解不能。
   部材が有効でなくなった瞬間に,歩道面 が引張り力で切れて崩壊したと考える。

トラス部材への「ポスト・テンション」の必要性が 今回の事故の最大の疑問。
加えて,事故発生 2日前に発見されていた亀裂の場所と発生原因は?

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