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2018年4月 7日 (土)

「それまでの明日」,原 尞氏の新作を借りて読む。

先月,14年ぶりに刊行された,直木賞作家・原 尞氏の ハードボイルド小説,私立探偵 沢崎シリーズ 第6作 「それまでの明日」 を 発売翌月に読みました。(明日は ‘あした’と読みます。)

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3月初めに 今回の刊行を知りましたが,繰り返して読む可能性が低い本に,\1,800 は年金生活者には負担だし,文庫本になるのを待っても 最近の文庫本は大して安くないし,あまり待ちたくないし,と考えて 市立図書館に 「購入リクエスト・カード」を出しておいたところ,4月2日に 図書館から 「入りました。」との連絡がありました。「購入リクエスト・カード」を利用したのは初めてです。うまくいきました。

図書館に行くと,「借り出しの予約者がいるので 貸出しの延長はできません。」との注意がありました。一気に読むつもりなので 2週間の期限で余裕があります。

しかし,実際は,ほぼ古希の年齢による集中力減退と目の疲れから,400頁の長編を一気とはいかず,3日に分けて読みました。

ハードボイルド小説は,書き出しが重要です。書き出しの「かっこよさ」でハードボイルドの世界に入り込めます。

そして 今作の書き出しはー

西新宿のはずれのうらぶれた通りにある<渡辺探偵事務所>を訪ねてくるのは,依頼人だけではなかった。古びたドアをノックしさえすれば,記憶を失くした射撃選手も,性転換したゴースト・ライターも,探偵志望の不良少年もおかまいなしに入ってくることができた。一億円を奪われた暴力団員も,私を殺したい悪徳警官も現れた。 もっとも,最後の警官だけは私の留守中に押し入ったので,ドアをノックしたかどうかは不明である。 ・・・

いい感じです。

物語はー
これから読もうとする方と,原尞さんに失礼なので(映画は ほどほど紹介しますが・・・ ),省略します。
いずれにしても これまでの沢崎シリーズと同様,切れのある洒落た文章と 機知に富む会話は健在です。

そして 結びはー

・・・
  強い地震だった。これまでに東京で経験したことがないような激しい揺れ方だった。・・・
かつて<渡辺探偵事務所>があった老朽ビルは,取り壊されていなかったら,きっと崩壊していたに違いないと思った。それくらい大きな地震だった。
  五十年以上も生きていると,驚くようなことはもうないだろうと考えるものだが,それは間違っていた。探偵稼業のせいで死の危険に瀕したこともあるにはあったが,地の底からの大いなる暴力が相手では減らず口を叩くことさえできなかった。かすかに震えている指に挟まっていたタバコをくわえなおして,ゆっくりと煙りを喫いこんだ。私はどうやらまだ生きているようだった。

この小説の結びで描かれた日が 「東北地方太平洋沖地震」があった 2011年3月11日(金)であることから 2010年の晩秋から初冬にかけて 発生した事件だと分りました。

Dsc_0285沢崎が50代になっていることを示すやりとりが 3,4回あります。

かつての愛車 ブルーバードは 修理会社の社長に引き取られ,本人は名前も知らない代車に乗っています。

「3月1日 刊行(予定)」 と思っていましたが,奥付には 3月15日 発行とありました。

新作が出たばかりですが,次作があるとするなら 私は 80歳を超えてから読むことになりそうです。

Dsc_0289書棚をから文庫本 2冊を見つけました。

外出時に持つ ショルダーバッグに入れておきましょう。

【追記】 2008年8月14日の弊ブログに “次の作品は?原尞さん” と題して 次作 待望を示していました。
そこには 「Wikipediaを見ると “主な作品”の最後に 「タイトル未定 (早川書房,2008)---第二期『沢崎シリーズ』」第二作」とありました。 出ました?」と書いています。
そこから 10年が経とうとしていました。

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