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2018年5月27日 (日)

日大アメフト事件, “The New York Times”の伝え方。

日大によるアメリカン・フットボール試合における反則事件はなかなか収束の目途が見えず,さまざまなコメントがありますが,‘The New York Times’は 5月22日付けの “The Football Hit Felt All Over Japan” の見出し記事を掲載しています。

(以下 翻訳転載します。)

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無防備な(defenseless)クォーターバックへの乱暴な攻撃は,2大有名大学 フットボール・チーム間の試合のファースト・ゲームの後,背後から行われた。通常,反則タックルは 単純に厳しいペナルティをもたらすのみである。
しかし,日本では,プレイやそれにつながるものが,日本人が「パワハラ」と呼ぶものや,物事を行うことを,意志に反して強制する権力者の嫌がらせなど,根強い文化的ダイナミクスに対する国民的関心(examination)を呼び起こした。

行動を説明するように尋ねることにより,クォーターバックにぶつかって,背中と膝に怪我を負わせて試合から外れさせたラインバッカーの,多くの反発(recoil)を引き起こす答え - 監督の指示でやった -を引き出した。

この悪名高い攻撃と スポーツとしての「アメフト」についての議論が,日本を騒がせ初めて約3週間が経過した。 この攻撃はビデオで撮影され,フットボールがあまり一般的ではないこの国で,繰り返し放映された。

ラインバッカーは出場停止(suspended)となり,日本大学のチームの監督は辞任し,他大学は日本大学との試合を中止し,ゲームの本質的な危険性と日本社会におけるその地位についての国民的議論が盛んに行われている。

火曜日,東京で行われた,驚くべき(stunning)全国テレビ放映された記者会見で,ラインバッカーの宮川泰介は,監督に,敵チームのクォーターバックを潰さなければベンチ行きだと指示されたと述べた。宮川は,監督のその他のコメントに加えて,クォーターバックを意図的に傷を負わせたことを明らかにした。

宮川は,短い丸刈り(buzz cut)の頭で,自身の行動を謝罪し,15秒間,深く頭を下げた。 彼は,ゲームを外された後,サイドラインのテントに入って泣いたことを思い起こした。彼は,弱いと言われた。 「お前は あまりにもナイーブだ」と,宮川は コーチに言われたと語った。 「おまえは,相手に悪いと感じているのか?」と。

宮川(20)は,1時間続く記者会見の中で,「“NO” と言えるほど強くなかった」と述べた。 彼の弁護士チームが彼の隣に付き添った。 「監督から指示を受けたとき,拒否することができたが,とにかく進行し,実行した。 そこが私の弱かった点だった。」

野球,サッカー,相撲が日本のスポーツ精神を支配している。 1930年代に,アメリカの宣教師が日本にもたらしたアメリカン・フットボールは,スポーツレーダーではほとんど見過ごされている。 しかし,今回の事件では,「パワハラ」と,日本で強く尊重される権威への服従(obedience)と チームに対する揺るぎない忠誠心にハイライトが当てられている。

東京の早稲田大学スポーツ管理学教授で,かつて大阪体育大学でフットボール・チームの監督だった原田宗彦は,今週のインタビューで 「人々は,(アメリカン・フットボールが)危険すぎると,考え始めつつある。」, 「これは非常に悪影響を及ぼす。」と語った。

このタックルは,日本で最も有名な2つの大学の,両者間で 50近くの国内タイトルを持つフットボール・プログラムでの,異常な敵意ある(rancorous)争い(spat)を巻き起こしている。また,スポーツで 「フェアプレイ」を忠実に(pious)守っている(adherence)国を揺るがし,指導者,大学関係者,政治家に試合の暴力性への疑問を投げかけた。

大学の試合を監督する協会が事件の調査を開始した。負傷したクォーターバックの父親は,息子にタックルした選手に対する訴状を,大阪府の警察に提出した。

プロリーグがなく,少しのセミプロチームしかない日本でのほとんどのフットボール試合と同様,最初の出来事はほんの一握りのファンにしか見られてなかった。 5月6日,東京の日本大学と大阪近郊の西宮市の関西学院大学が,東京郊外の調布のアミノ・バイタル・フィールドで試合をした。
練習試合(scrimmage)の ファースト・プレイで,関学のクォーターバック,奥野耕世が右に回転しながら,不完全なパスを投げた。 彼はその勢いでサイドライン方向に向かった。
高い評価を得ていた守備選手の宮川は,フィールドを横切り,頭を下げ,肩から奥野の背の狭い範囲にタックルした。奥野は頭を後ろに反らせ(snapped back),激しく地面に投げだされた。 彼は膝と背中を負傷してゲームを離れ,恢復するのに3週間と診断された。

3年生(junior)の宮川は,不必要なラフプレイに対してペナルティを受けたが,試合に留まった。 その後,彼がベンチに戻った時,コーチとチームメートから祝福されている様子がビデオに撮られていた。彼は最終的には,3度目のペナルティを受けて,退場させられた。

逆襲(recrimination)は,最終のホイッスルの後,すぐに始まった。

日本のいくつかのメディアは,匿名の,元 あるいは 現日本大学の選手の言葉を引用して,宮川が 「敵のクォーターバックを破壊しろ(destory),さもなくばベンチだ。」と言われた,と報道した。
日本大学で,長年 フォットボールの監督をしている内田正人は,潰せ(hit)と指示したことを否定し,チームに対し,激しくプレイすることを告げただけだと語った。

その後,内田はヒットを命じたことを示唆しながら,チームの行動に責任を負おうとしてないとの批判につながった。 「私のチームには150人の選手がいる」 と彼は記者団に語った。 「一人ひとりが自分の考え方を持っている」

内田氏の反応は 関西学院大関係者を激怒させた(infuriated)。チームの鳥内秀晃監督は,内田が もし,暴力的潰しを認めてなかったのなら,何故,宮川を試合に残したのかと疑問を呈した。
「私は長い間サッカーを指導してきたが,あのような危険なプレーは見たことがない」と 鳥内は先週,記者団に語った。 「あれが許されるなら,それはスポーツではない。」
土曜日には,鳥内は,クォーターバックを傷つける計画の説明を聞いて,愕然とした(appalled)と言った。

ゲームの数日後,関西学院大は日本大学に謝罪と説明を求める手紙を送った。 同時に,東京地区の関東カレッジ・サッカー協会は宮川を無期限に出場停止とし,監督の内田に警告を出した。 同協会は第三者に事件の調査を依頼した。

論争の中で,他のフットボールチームは日本大学との今後の試合を中止し,日大を「パーリア(pariah)」のようなものに変えた。 フットボール・チームを持つ他の15大学は,フェアにプレーすることを約束し,決してこのような暴力的な反則を行うことはないと言明した。

日本アメリカン・フットボール協会会長の国吉誠氏は,「選手を意図的に傷つけることは決して受け入れられない」と語った。

日本大学内でも,大学の評判が損なわれたために,事件の真相を解明しようとの呼びかけがあった。日本大学教員連盟は声明のなかで,大学は「スポーツをプレーするための健全な方法を再検討し,すべての選手たちに再度,フェアな精神の重要性を教えなければならない」と述べた。

政治家も これを重視している。 スポーツ庁の長官・鈴木大知氏は,事件の原因を調べるよう求めた。 鈴木長官は,「監督が辞任するよりも,なぜこのような危険なタックルが起きたのかを知りたい」と述べた。

クォーターバックの父である奥野康俊は,宮川氏が火曜日に,勇気をもって語ってくれたことを感謝している。 日本大学の監督たちが 息子を当初から負傷させようとしたと信じる奥野は,「彼は自分がしたことを償い(atone),更生してほしい。」と語った。
奥野耕世は,試合で脊柱と膝に靭帯の損傷を受けた。
「このような指示は出されてはならず,強制的に選手を追い詰めた方法は社会的ルールから逸脱している」と語った。

今のところ,内田監督は起こったことに無関係だと言っているが,ラインバッカーの宮川はこの事件の衝撃に関する疑問を表明している。彼は高校時代にはフットボールを楽しんでやっていたが,大学入学以後はプレッシャーで その気持ちを失っていた。

「僕はアメリカン・フットボールを続ける権利はないと思うし,そうするつもりはない」と宮川は語った。

(転載了)
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米国人の眼で(筆者は日本人?)状況を詳細に記述しています。

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