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2018年8月21日 (火)

イタリアで道路橋が崩落した。

イタリア北部ジェノバで 8月14日,高速道路の高架橋(高さ 約45m)が約200メートルにわたって崩落し,少なくとも 39人が死亡する事故がありました。

橋の名前は “Ponte Morandi (English: Morandi Bridge)”(モランディ橋)で 「A10 高速道路」の “ Viadotto PolceveraEnglish:Polcevera Viaduct)”,(ポルセヴェラ高架橋)の一部です。
ジェノバの ポルセヴェラ川を跨いで,Sampierdarena地区と Cornigliano地区を結んでいます。下をポルセヴェラ川と 鉄道が走る長いスパン部分は 橋脚(橋塔)が3本あって,約200mのスパン中央を 橋塔トップからのステイで橋桁(道路部)を支え,これらスパン間をポルセヴェラ川と 鉄道が走り,他は100m弱スパンで橋脚が配置されています。

崩落部分は下の側面図の右から3番目の橋脚を含んで約200mで 橋脚も基部の僅かを残して崩壊しています。

Ab003
どのような橋で どのような壊れ方をしたのか 調べてみました。

【仕様】
・道路部 両側 4車線
・全長 : 1,102m
・高さ : 45m(路面レベル)
・最長スパン: 210m
・竣工 : 1967年9月

B001aA002

崩落前後の状況を上の写真に示します。

A005橋桁を 橋塔からの ブレースが支持している位置で,橋桁は破断しています。

全体的にこの橋は 大部分がコンクリートで作られています。
橋桁を支える,ほぼ引っ張り力しか働かない ステイ(ブレース)まで,プリストレスしているとはいえ コンクリートには驚きです。

崩壊原因は?

橋は通常 100年間の正常稼働を考えて設計していると思いますが,竣工後 50年以上経っているので,大きな設計ミスがあるとは思われません。
50年間で 設計条件の最大に近い異常荷重,異常環境(雨,風)に曝されていると考えるのが普通です。
メインテナンス不備を主因とする経年劣化による強度低下がもっとも考えやすい原因と思います。

世界の報道機関が この崩壊原因をどのように見ているか,例えば 英国の‘INDEPENDENT’(Aug.15) では ‘Why did the Genoa bridge collapse?  Engineering experts weigh in on disaster that left 35 dead ’(何故,ジェノバの橋は崩壊したか?工学専門家が 死者35人を出した大惨事を考察) のタイトルで書いています。

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It is too soon to know why a bridge in Genoa collapsed in a horrifying disaster – but the same problems could potentially afflict other bridges, experts have warned.
なぜジェノヴァの橋が大惨事を伴って崩壊したのか まだ分からないが,同じ問題が潜在的に他の橋に存在する可能性がある,と専門家は警告している。

Respected experts are clear that it is far too early to speculate on the cause of the bridge's collapse.
著名な専門家達は,橋の崩壊の原因を推測するのは時期尚早であることは明らとしている。

But they said that a thorough investigation will be required to ensure that the full causes of the incident are known – and any similar incidents in the future are prevented.
しかし,彼らは 事件の原因の完全な解明を保証するためには 徹底的な調査が必要であり,将来,類似の事故が防止されると述べた。

“At this stage it is very difficult to make a solid judgement on the cause of this catastrophic collapse,” said Mehdi Kashani, associate professor in structural mechanics at the University of Southampton.
「この段階では,この壊滅的な崩壊の原因について確固たる判断を下すことは非常に困難だ。」とサウサンプトン大学の構造力学の准教授 メーディ・カシャニは述べている。

But Dr. Kashani said that there are range of bridges across the world that use many of the same techniques.
しかし,カシャニ博士は,同様の技術を多用した多くの橋が世界中にあると語った。          
                                                                      
“The bridge was constructed using reinforced and pre-stressed concrete about 50 years ago.  There are a large number of reinforced concrete bridges in Italy, Europe, USA, and Canada with the same age, which are suffering from corrosion of reinforcement and or pre-stressing tendon.”
「この橋は,約50年前に 鉄筋の,プリ・ストレスを与えたコンクリートを使用して建設されたものである。同様の経過年数の鉄筋コンクリートの橋がイタリア,ヨーロッパ,アメリカ,カナダには多数あり,鉄筋やプリ・ストレス用の腱の腐食が発生している。」

Further investigation will be needed to know whether that helped contribute to the bridge's collapse, or if those similar bridges could ever suffer the same fate.
それが橋の崩壊につながるのか,もしくは類似の橋が同じ運命に陥る可能性があるのかを知るためには,さらなる調査が必要になるだろう。

There are a whole host of issues that could potentially be involved – from corrosion of the reinforcement in the bridge; the loads they undergo from traffic, wind and earthquakes that can gradually put fatigue on the structure; the effects of the storm that was happening at the time of the collapse; as well as work that was reportedly ongoing on the bridge.
橋梁の補強材の腐食を主因として 潜在的に関与する可能性のある問題が多数ある。 徐々に構造物を疲労させる交通,風,地震から受ける負荷, 崩壊時に起きていた嵐の影響, 橋の上で進行中であると伝えられていた工事も同様に。

“However, there is need for further detailed investigation to fully understand the cause of failure,” he said. “The bridge engineering research community should take this seriously in their future research to improve the resilience of our infrastructure under extreme loading.”
「いずれにせよ,事故の原因を完全に理解するためには,詳細な調査が必要だ」と述べた。 「ブリッジ工学の研究コミュニティは,極端な負荷の下で インフラストラクチャの回復力を向上させることを,将来の研究で真剣に受け止めなければならない。」

While some of the materials and techniques used in the bridge's building are very common the design itself is relatively strange. That might limit the applicability of the dangers in this case to other bridges across the world, experts said.
橋の構造で使用される材料や技術の一部は非常に一般的だが,設計自体は比較的変化がある。これは,この場合の危険性が世界中の他の橋梁に適用される可能性を制限するかもしれない,と専門家は述べた。

“The bridge is a very unusual design, very similar to its much larger cousin, the Lake Maracaibo bridge in Venezuela, also designed by Riccardo Morandi and completed 6 years earlier in 1962," said Ian Firth a past president of The Institution of Structural Engineers, and a structural engineer specialising in bridges.
「この橋は,非常に珍しいデザインで,同じリカルド・モランディによって設計され,6年前の1962年に完成したベネズエラのマラカイボ湖の橋と非常に似ている。」と,元構造技術研究所の所長で,橋梁専門の構造技術者 イアン・ファースは語った。

“The A-frame towers which support the concrete-encased stay cables combine with V-shaped supports below the deck to create a stiff arrangement which is not common in cable stayed bridges. 
「コンクリートに内蔵されたステイ・ケーブルを支えるAフレームタワーは,デッキ下のV字型サポートと組み合わされて,斜張橋(Cable-stayed Bridge)では一般的ではない 剛体配置となっている。

This deals with potential unbalanced loads which arise due to the multi-span nature of the structure.
これは,構造の複数スパンの性質のために生じる潜在的な不均衡な負荷に対応する。

Some online reports have suggested that the collapse could have been caused by a strike from lightning. Such impacts can be devastating – but not enough to cause such problems by themselves, experts said.
いくつかのオンラインレポートは,崩壊は落雷によって引き起こされた可能性があると示唆している。 そのような衝撃が壊滅的なものになる可能性もあるが,それのみではこのような問題を引き起こすほどではない,と専門家は語った。

“Whilst it is perhaps not impossible to think that a lightning strike makes a contribution to such a collapse, it is probably very unlikely to happen,” said Martin Fullekrug, reader in the University of Bath’s Department of Electronic & Electrical Engineering.
バース大学電子電気工学科の准教授,Martin Fullekrug は次のように述べている。「落雷がこのような崩壊をもたらすと考えるのは絶対に無いとは言えないが,おそらく起こりそうもない。」

“Lightning could potentially contribute to a critical fatigue of material. For example, the lightning generated heat could result in evaporating water to very high pressure and produce a subsequent crack or burst of critical support material, similar to the bark of a tree disintegrating after a lightning strike.”
「落雷は材料の臨界疲労に影響を与えることはありうる。例えば,落雷で発生した熱は,水を蒸発させ 非常に高圧とし,それにつながる重要な支持材料に亀裂または破裂を生じさせる可能性があり,これは,落雷の後に崩壊する木の樹皮に類似している。」

(転載了)
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この橋の設計で分らないのは,プリ・ストレスを与えているとはいえ,ほぼ 引っ張り荷重しか働かない ステイに,引っ張りに弱く,かつ,重量があって,引張力へのパフォーマンスが悪いコンクリートを使用している所です。

それでも 50年もったことから,最初に破断した原因は腐食による強度低下と考えられ,設計にミスがあったとするなら,メインテナンス(し易さ)への配慮・計画が不足していたところでしょうか。

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