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2018年10月 1日 (月)

国連でのトランプの演説に対してー

9月25日からの国連総会における各国首脳演説でトランプ大統領の演説の内容,それに対する各国代表の失笑などの反応が面白かったようです。

簡単には,「こんな男を大統領にするなんて アメリカ(人)はどうなったのだろうか」 という各国の反応だったようです。

このトランプの国連演説に関するいくつかの報道から ‘The New YorkerSept. 25付けの記事を読んでみました。
見出しは “Trump’s Speech at the U.N. Triggers Laughter—and Disbelief”(国連でのトランプのスピーチ,笑いを引き起こし,そして 不信感)です。

下に 拙訳し,転載します。

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国連での火曜日のトランプ大統領の演説は,彼の政権が 米国の歴史の中で かつてなかったほどの成果を挙げていると自慢した(bragged)ことから,ほんの1分で 聴衆の喘ぎ(gasps)や笑い(giggles)のざわめき(ripple)が始まった。

130ヶ国以上の首脳と多数の代表団が集まった国連総会場での反応で,トランプは原稿から 外れることを余儀なくされた。
期待していた反応ではなかったが,O.K. だ。」と彼は気まずそうに笑いながら言った。

・・・

それは皮肉な瞬間だった。 トランプ氏は,自国での演説で,米国が 「世界の笑いの種」になることをしばしば嘆いている。そして,火曜日の彼はそれだった。

国連とニューヨークでの トランプの4日間は,重要な問題を議論する首脳会議で一杯だった。

しかし,今週の写真撮影や外交的なゴシップを犠牲にした質問は,彼の大統領の運命に関して山積する問題に繰り返し迫った。

質問は 多くの場合,連邦最高裁判所のブレット・カヴァナフや ロッド・ローゼンスタイン副大統領についてであって,イランや北朝鮮よりも多かった。

30分以上続いたトランプの国連演説は,ホワイトハウスと世界の間のギャップが広がっていることを反映していた。彼は,世界の舞台で,「アメリカ・ファースト」の演説を,ありきたりのフレーズと統計資料で行なった。
国際社会が創造し,維持するために70年間苦労してきた制度を,彼は軽んじた(belittled)。
政治的,安全保障的,経済的な課題を問わず,各問題は各国が単独で行う方が良いとの主張だった。

「アメリカはアメリカ人によって統治されている。 我々はグローバリズムのイデオロギーを拒否し,愛国心の原則を採用する。」とトランプは述べた。
「今日,この偉大な部屋(chamber)の皆の中で,そして世界中のすべての人が耳を傾けているように,あなたの国家への同じ強力な愛と,あなたの故郷への同じ強い忠誠心を感じている愛国心の心がある。」
ジョージ・W・ブッシュ政権の元高官であり,外交問題評議会のリチャード・ハース会長は,「トランプは愛国主義とグローバリズムを並置している(juxtapose)。」と語った。
ハースは 「それは,他の国々が守らなければならないと主張する,アメリカ第一の明白な(full-throated) 声明(articulation)だった」と語った。

「このようにして,トランプ大統領は,1976年のオスカー賞を受賞した映画 『ネットワーク』の中の精神が錯乱した(deranged)アンカーマン,国家安全保障担当補佐官(national-security adviser)のジョン・ボルトンとハワード・ビールの融合のように見られた。「
私は アメリカの主権(sovereignty)への全ての脅しを拒否し,もうこれ以上相手にするつもりはない。」と述べた。

トランプが繰り返して言った業績は,特に北朝鮮に関して,現実とかけ離れていた。

大統領は月曜日,金正恩との二度目の首脳会談が「早急に」実現することを期待していると述べた。

昨年,トランプの初めての国連演説で,彼は平壌政権を繰り返し非難し,彼の身体的特徴と,ほとんどのアメリカの都市を攻撃できる大陸間ミサイル兵器から,金を 「小さなロケットマン」(Little Rocket Man)と呼んだ。

月曜日,彼は金を 「隠しだてがなく」(open)「素晴らしい」(terrific)と賞賛し,彼は金の「勇気」を讃えた。

しかし,6月12日の「非核化」(denuclearization)のサミット以来,事実上 何も達成されていない。
両首脳は手紙を交わしているが,北朝鮮は核・化学・生物・ミサイルの4つのカテゴリーの大量破壊兵器の完全なリスト,あるいは それらを いつ,どのように処理するかの計画を提出していない。
先月,トランプは進展がないので,予定された国務長官 マイク・ポンペオの訪鮮を最終的に キャンセルしたとツイッターでつぶやいた。

トランプの国連スピーチのトーンは,話し方はときどき退屈だったが,しばしば傲慢(haughty)に聞こえた。

国連週間中に,巨大な安全組織による大規模な交通制限がされたにもかかわらず,理由の説明なしで 彼は国連に遅れて来た。
国連は,2人目の演説者だったトランプの到着が遅れたため,3人目の演説者だった,エクアドル大統領 レニン・モレノ・ガルセス(車椅子を使用している)を 先に回した。

そして,大統領の演説には,本質的な矛盾(inherent contradictions)があった。

「この会議室のすべての国が,自国の慣習,信念,伝統を追求する権利を私は尊重する。」と,トランプは,総会を見下ろしてそびえ立つ緑色の高貴な蛇紋岩(serpentinite)の演壇(rostrum)から言った。

「米国は,あなた方が,どのように生きるか,働くか,祈るかに口を出さない。我々は,ただ,代わりに,あなた方が,我々の主権を尊重することをお願いする。」
しかし,彼はその後で,「ベネズエラでの民主主義復興を呼びかけるために我々に加わってほしい」 さらに 「宗教的で公正な運命を取り戻すために奮闘するイランの人々を支援してほしい」と 190を超える国連加盟国に呼びかけた。

特筆すべきは,トランプは,ロシアからドイツに至るまで論争の的になっているパイプラインを言及しているが,2016年の米国選挙への介入,他の西側の民主主義における様々な投票を操作する試み, シリア内戦への介入,英国での致命的な化学兵器の使用などのロシアの干渉には言及しなかったことである。
大統領の諜報と防衛チームは,ロシアを,米国の民主主義にとって最も深刻な脅威と位置づけているが,トランプにとって 明らかに国連で批判するほど重要ではなかった。
毎年恒例の各国のリーダーの昼食時,トランプは,国連開会時に欠席したプーチン大統領の代わりの セルゲイ・ラブロフ外相に挨拶しなかった。
「アメリカは,自分たちと価値観を共有している国々と協力すると,トランプは言う。」と,新刊 「ジャングルは成長を続ける:アメリカと私たちの危うい世界」(The Jungle Grows Back: America and Our Imperiled World)の著者 ロバート・ケーガンとブルッキング研究所のフェローが私に言った。
「しかし,残念ながら,民主的な世界は 彼が世界と価値観を共有していないことを知っている。彼が共有している価値は,ヨーロッパ,ロシア,イスラエル,そして 中東の独裁者の右翼国家主義者の価値である。」

外交援助に関する込み入った(perplexing) コメントで,米国は対外援助に寛大であると述べたが,援助削減については自国の行政が実際に自慢していたにもかかわらず,彼は「彼らは ほとんど何も私たちに与えない」と訴えた。

このコメントに対して  「世界は驚きと不安で見ているに違いない。世界で最も豊かで最も強力な国が,他国の対応について不平を言っている。」とケーガンは考えている。

トランプの国連への出席は,同盟国との外交的孤立(diplomatic standoffs)やライバル国との緊張を深める時になった。
月曜日,英国,中国,フランス,ドイツ,ロシアなど2016年のイラン核合意(Iran nuclear deal)に参加した5つの主要大国は,5月のトランプの合意からの撤退決定にもかかわらず,協定締結意向を再確認した。

北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉しようとするトランプの試みも問題になっている。

火曜日,ロバート・ライトハイザー米貿易代表部(USTR)代表は,米国とカナダの交渉担当者が,9月30日に締結する新協定締結期限に間に合わなくなっていることを明らかにした。 カナダはもっとも重要な貿易相手国で米国と最長の国境を共有している。

ライバル国の中では,トランプは何億ドルもの商品に対する新たな関税をかけて中国との摩擦を引き起こしている。

国連で,トランプは習 近平を良い友人として称賛したが,貿易不均衡(trade imbalance)に対して北京を罵倒した(lambasted)。 「それら(友好)の日は終わった」とトランプ氏は語った。
「我々は もはやそのような不正(abuse)ー(不公平?)を容認しない。 我々は,労働者が被害者になること,企業が不正行為をすること,富が略奪され(plundered),移転することを許さない。」と語った。
しかし,同時に,ワシントンは,中国の制裁措置に頼って,北朝鮮を圧迫して,トランプの大胆な対外政策構想が成功することを保証している。
昨年,トランプの国連演説は,彼のキャンペーン・レトリックに対する不安(trepidation)にもかかわらず,彼を聞くことの好奇心,陰謀,そして外交的な忍耐の組み合わせで歓迎された。
今年は,世界で最も強力な国の指導者と,国際的なステージでの多くの同盟国(peers)との間に 広がる乖離(disconnect)の兆しが見えた。
(転載了)
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演説時の各国代表の呆れ顔が印象的でした。
この演説を観た/聴いた,心ある,あるいは,知性ある米国人の心情・羞恥を察します。
そもそも自国での国際会議の,決められた演説開始時刻に30分遅れてくるという幼稚さ,横柄さ,話の矛盾,歴史・国際情勢 その他に対する無知・無教養,下品,挙げれば限がなく,彼が言ったこと,彼を実体どおりに形容する言葉が巷に溢れ,何冊も彼の姿を書く本が出版されるのも分ります。

側近スタッフの,それなりの知性と教養と経験がある人々が彼を見離さない,見限らない理由が不明です。時間の問題?弾劾は?
「殿,ご乱心でござる!」と 誰が言うのでしょうか?
いずれにせよー
In less than two years, my administration has accomplished more than almost any administration in the history of our country.
ー を 国内は勿論,全世界に対して 冗談ではなく,本気で言ってのける(そして誰もが冗談と思う)神経は ただ事ではありません。

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