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2019年1月24日 (木)

小学校での「色覚検査」の中止 13年間,そして再開?

2003年(平成15年)3月に中止(削除)されていた学校保健法施行規則・定期診断の必須項目であった 「色覚検査」が,2016年4月,13年ぶりに再開されているようです。

中止になったことも,再開されたことも最近,TV番組で観るまで知りませんでした。

2003年,削除されたときの理由を示す文書にはー
色覚異常についての知見の集積により,色覚検査で異常と判別される者であっても,大半は支障なく学校生活を送ることが可能であることが明らかになっていること,これまでにも色覚異常を有する児童への配慮を指導していることを考慮し,色覚の検査を必須項目から削除した。」とあるそうです。

そして 2016年,再開した理由となる文部科学省の通達はー
児童生徒が自身の色覚の特性を知らないまま卒業を迎え,就職に当たって初めて色覚による就業規則に対して色覚異常及び色覚の検査に関する基本事項についての周知が十分に行われていないのではないかという指摘もある。・・・

中止した理由としての 「大半は支障なく学校生活を送ることが可能・・・ 」は ピントはずれと思われます。色覚異常の自覚なく 卒業後の進路を決めてしまい,専門教育を受けて 就職段階で初めて発覚・認識して,選択学科などで準備していた職種に就くことが閉ざされることが最大の問題あり,そんなことは中止段階から自明と思われます。
学校生活のみ考慮して中止したとは・・・。

TV番組では 自身の色覚異常を知らないまま 航空関係(整備士)の仕事を希望して 入社試験(検査)で 不合格になった例が紹介されていました。
それまで準備していた進路を変更せざるを得ないことになっていました。

かつては 「色覚異常」を 「色盲」あるいは 「色弱」といい,その検査を 「色神検査」と言っていました。
50年前,私の周りでは その判定を受けている者は 高校での理系のコースを初めから避けていました。それでも 「色覚異常」で制限される職種は限られています。

去年 ‘AERA dot.’(2018.7.23付け)に 「必要か差別か? 学校での 『色覚検査』復活の謎に迫る」 というタイトルの記事がありました。

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・かつては毎年,1994年以降は小学4年生を対象に行われていた石原(検査)表による検査は,2002年の学校保健安全法施行規則一部改正で,健康診断の必須項目から削除された。
・ところがここ数年,にわかに再開機運が高まり,今や実施しない学校のほうが少数派になっている。

・「キッカケは文部科学省が各都道府県教委の教育長に宛てた通知です。今の色覚検査は学校医による健康診断とは別に、教員の仕事にされがち。特段の研修もないので、後のフォローをと言われても……」

・「通知」は14年4月30日に、文科省スポーツ・青少年局長名で出された

 色覚検査の再必須化,ではない。にもかかわらず実施を奨励する奇怪な文書。そして翌々6月、スポーツ・青少年局の学校健康教育課が、都道府県教委の学校保健主管課への「事務連絡」に、保護者の希望を募る申込書のヒナ型が掲載されたURLを明記した──。

 かくて導かれたのが現状だ。文科省に尋ねると,この間に部局名が変わった初等中等教育局健康教育・食育課の西尾佐枝子係長が,「実施しなさいとは言っていません。やるかやらないかは,各教育委員会と学校の判断です」。

憤るのは 「日本色覚差別撤廃の会」の荒伸直会長(64)だ。同会の高柳泰世顧問(86,本郷眼科・神経内科院長)も,「学校での健康診断には,事後のフォローが伴わなければいけません。それがない典型が色覚検査です」。

 撤廃の会は94年,色覚異常者に対する偏見や社会的差別の解消を目指して設立された,主に当事者の団体。16年前に学校健康診断のメニューから外れたのも,運動の “成果”だった。

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「復活の謎」がよく分りません。私にとっては,むしろ 2003年の 「撤廃」の方が謎です。

「色覚異常者に対する偏見や社会的差別の解消を目指す」 ことは正しい目的と思いますが,その手段としての 「検査の撤廃」は理解不能です。「フォローがないから撤廃」は筋違いでしょう。フォローが必要と考えるなら フォローする手段を提案すればよいこと。

色覚異常を明確にする検査と 色覚異常への偏見,差別とは別問題で,自身の色覚異常を知らないまま職業選択時に不合格となる悲劇は避けることを考慮すべきでしょう。

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