« 法廷通訳 | トップページ | “Setouchi Islands” が N.Y.T.の “Place to Go in 2019”。 »

2019年1月16日 (水)

米国における銃に関する七つの事実

米国では たびたび銃乱射事件が起こり,その度に銃規制に関する法律を厳しくしようとする声が上がりますが,反対の勢力があって進展しません。

Pew Research Center’の ‘FACTANK’,Dec.28, '18 付けで, “7 facts about guns in the U.S.”(合衆国における銃に関する七つの事実)のタイトルで,米国の銃社会と国民意識の実態に関する調査結果が発表されました。
興味深い内容なので,翻訳・転載します。

*************************************

Cover
銃は米国社会に深く浸透している(ingrained)。米国憲法修正第2条は,米国人に武器を所有する権利を与え,米国成人の約10人に3人が個人的に銃を所有している。これらの銃の所有者のほとんどは,銃器を所有する権利は個人の自由の意志にとって不可欠であると言う。

同時に,大都市での殺人から銃乱射(mass shooting)まで,銃による暴力により,米国人の銃器へのアクセスを制限するという提案をめぐって連邦議会や州議会(legislatures)での議論に拍車をかけている。
殺人と自殺を合計すると,2017年に米国で銃に関連した事件・事故で 4万人近くが死亡した。これはこの数十年で最高の年間数である。

以下は,最近のピュー・リサーチセンターの調査や他のデータソースから引き出された,米国人の銃に対する実態と,銃に対する姿勢についての7つの重要な事実である。

01_gun_owning1. 米国人成人の 10人に3人(30%)が 自分の銃を持っており,加えて11%が 銃を持っている人と一緒に生活していると,2017年3月と4月に ピュー・リサーチセンターが実施した調査で分かった。米国人は自身の銃所有の有無に拘らず,広範囲に銃器に曝されている:米国人の約半分(48%)が銃がある家で育ち,10人中6人(59%)が銃を持っている友人を持ち,10人中7人(72%)が,銃を持ったことがない人の55%を含んで,銃を撃ったことがある。

銃を持っている人の中で,2/3(66%)が,1丁以上の銃を持っており,29%は 5丁以上持っている。銃所有者の大部分(72%)が拳銃を持っており,62%がライフルを,54%がショットガンを持っている。銃所有者の 約3/4(73%)は 自身が銃を持たないことは想像できないと言う。

2. この調査によれば,銃所有者の所有トップ理由は自衛である。銃所有者の2/3(67%)が銃所有の理由として これを挙げている。それより少ない理由としては 狩猟(38%),スポーツ(30%),コレクション(13%),そして仕事(8%)が主だったものである。男女のほぼ同率(それぞれ 65%,71%)が主な理由として 自衛のためとしているが,自衛のみのためとしているは女性 27% に対して 男性 8% である。主な銃所有理由として 男性が女性より率が高いのは 狩猟(43%:31%),スポーツ(34%:23%)である。

銃所有者が 都市,郊外,田舎のどこに住んでいようが,米国人の銃所有の理由は自衛がもっとも多い。しかし,田舎の銃所有者は その他の理由として狩猟が主な理由とするのが48% で,郊外の 34%,都市の27% に比べて多い。

03_should_be_strict3. 米国人の大多数は 銃関連法を厳しくすべきと言っている。2018年9月と10月実施の調査によれば,米国成人の10人中6人近く(57%)が銃関連法を厳しくすべきと言っているのに対し,現状でほぼ良いとする人は 31%,緩和すべきと言う人は 11%である。そして,これらの考えは 支持政党により 明確に異なっており,民主党支持者の 10人中8人(80%)が もっと厳しくすべきと言い,共和党 および その支持者では 28%が もっと厳しくすべきとしている。
銃関連法が現状が適切とする 共和党員と民主党員は それぞれ 52% と 15%,もっと緩和すべきとするのは 20% と 4% である。

同じ調査で,銃管理 もしくは銃の権利の保護がより重要かどうかは 政党支持により大きく分けられる。共和党支持者の 約3/4(76%)は 銃所有管理よりも米国人の銃所有の権利を守ることが重要だと言い,民主党支持者の同じ考えは 19% に過ぎない。この差は 57ポイントで,2008年の 29ポイントから増加している。

4. 多くの銃政策の提案は 政治的に対立しているが,2018年秋の調査によれば,共和党と民主党が同意しているものもいくつかある。共和党と民主党の10人中9人(89%)は 精神疾患者(people with mental illnesses)に対しては銃の購買を制限すべきと言っている。又,両党のほぼ同数(民主党員の86%,共和党員の83%)が,連邦政府の飛行禁止リスト(federal no-fly lists)または監視リストに載っている人々は銃の購入を禁止されるべきだと述べている。更に,民主党員(91%)と共和党員(79%)の大多数は,個人銃販売と銃器ショーの背景のチェックを支持している。

他の提案には明確に党派的な亀裂がある。
共和党員は,民主党員よりも,教師や学校職員が学校で銃を携行することを許可し(69% 対 22%),人々が武器を隠してより多くの他の場所で携行することを許可する(68% vs 26%)ことに賛成している。民主党員は共和党員よりも,攻撃型武器(assault-style weapons)の禁止(81%対50%)と大容量マガジン(high-capacity magazines)の禁止(81%対51%)に賛意を示す傾向がある。

党派性に加えて,銃の所有はアメリカの銃政策提案に対する見方にも影響を与える。
たとえば,銃を所有していない共和党員は,共和党員の銃の所有者よりも,攻撃型武器の禁止(65% 対 31%)や大容量マガジンの禁止(63% 対 35%)を好む傾向がある。民主党員の中では,隠して銃を携帯することの拡大を支持するのは,銃の所有者が 銃を所有していない人の 2倍以上である(50% 対 21%)。

05_public_split5. 合法的な銃の所有権を制限することが,大量射撃の減少につながるかどうかで,米国人の考えは分かれる。米国の,銃関連法をめぐる議論は,銃乱射事件事件の後に,しばしば起こる。しかし、2018年秋の世論調査によると,米国人の考えは,法改正が銃乱射事件の減少につながるかどうかについては分かれている。成人の半数近く(47%)が,法律で銃を入手することを困難にすれば銃乱射事件が減ると答えているが,差がないと答えている人も同率(46%)いる。ごく少数(6%)は銃の取得を法律で困難にすると 銃乱射事件が増えると答えている。

米国人はまた,銃を所有しているアメリカ人が犯罪に,より広範に及ぼすであろう潜在的な影響についての関連質問で意見が分かれる。

米国の成人の37%が,より多くの米国人が銃を所有すればもっと犯罪が増えるだろうと答えているのに対し,33%は差がないと答え,29%が犯罪が少なくなると答えている。

6. 多くの米国人は 知っている人が撃たれたことがあると言う。2017年の調査によれば,かなり(44%)の米国人が,事故 あるいは意図的に拘らず個人的に,知っている人が撃たれたことがあると言う。白人の43%,ヒスパニックの42%に比べて 黒人の多く(57%)はそう言う。銃所有者は銃を持ってない人より多く(51% 対 40%),知っている人が撃たれたと言う。。

これとは別に,約1/4(23%)の米国人が,誰かが銃を使用して彼らまたは家族の誰かを脅かしたことがあると言っている。ここでも人種差があり,白人の20% に対し,黒人の約1/3(32%)がそう言っている。ヒスパニックの約1/4(24%)は,彼らまたは彼らの家族に これが起こったと言っている。

7. 2017年は,疾病管理予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention)のデータによれば 過去 数十年に比べて米国でもっとも銃による死者が出た。2017年に銃関連の負傷で死亡した 約4万人の米国人は,2012年から19% 増加し,1990年代半ば以来最高の年間総計を記録した。5年にわたる銃による死者の増加は銃を含む自殺の15%の増加と銃器を含む殺人の25%の増加が含まれていた。CDCのデータには,意図しない銃による死亡,警察などによるものなど,他のカテゴリも含まれている。)

07_gun_deaths
全体的な人口の変化を考慮に入れると,2017年には10万人ごとに銃器関連の死亡が12人あり,5年前と比べて14%の増加となった。

しかし,最近の増加があるとはいえ,銃関連の死亡率は1990年代初頭から半ばにかけてかなり高かった。例えば1993年には,10万人あたり15.6人の銃による死亡があった。

(転載了)
*************************************

何の対策もとられておらず,今後も 銃乱射事件は発生し続けると思われます。
発生しない,あるいは減少する理由は 何もありません。

銃器所有,自衛の権利が 銃による死者の数に影響しているのは明らかで,全体的には自衛になってないことが 個人として,納得できないのでしょう。
ここで 銃の数と銃による死者の数にどの程度の関係があるかを,英文 WikipediaList of countries by firearm-related death rate” に示していました。
下表は,1年間に人口10万人当たり 何人が銃が原因で死んだかを国別のランキング 15位までを示しています。(調査年は 同じではない。)
これによれば 1位は ホンジュラスで 60人/10万人・年 で 米国は 10位で 約12人です。
日本は 71位,0.06人です。

Death_per_population

上のリストを 国民 100人当たりの銃の数の多い順に並び替えたのが 下表です。

Guns_per_100
米国が群を抜いて多く 120.5丁/100人 です。
因みに 日本は 0.6丁/100人(警察,自衛隊など?)
死者数の多い ホンジュラスは 11.24丁/100人 です。

善意に解釈すれば 米国は 銃の数の割合にしては 銃による死者は少ない,とみるべきでしょうか? ところがー

In_highincome_countries左表に示す,先進国における 銃に関係する,2010年の人口 10万人当たりの死者(殺人,自殺)数を見ると,やはり 米国の異常さは明瞭です。


|

« 法廷通訳 | トップページ | “Setouchi Islands” が N.Y.T.の “Place to Go in 2019”。 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 法廷通訳 | トップページ | “Setouchi Islands” が N.Y.T.の “Place to Go in 2019”。 »