GQ 「ハリントン・ジャケット,スターに学ぶ着こなしの美学」
‘GQ Magazine’英国・電子版の Dec.18,'18付けに GQ Hype “The Way They Wore: Steve McQueen's Harrington Jacket” (彼らの着こなし方:スティーヴ・マックイーンのハリントン・ジャケット)と題して Baracuta の G9 ジャケットに関する記事がありました。
下記,翻訳転載します。
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メンズ・ウェアの最も大胆な(heroic),歴史的瞬間のいくつかからインスピレーションを得た新しいコラムである。
映画男優やロックスターに愛されるハリントン・ジャケットは,今までで作られた,最も確認可能な(identifiable)メンズウェアのひとつである。
‘2057’(TV ドラマ・シリーズ)では,電子タバコの蒸気吸引による精子数と Y染色体の急激な減少(plummeting)のために,男性という種は絶滅していた。
この,男のいなくなった時代には - 「絶滅した男の博物館」が作られているかもしれない。
そして,この博物館には,男性に関する,最良の,あるいは最悪の衣料やその他の物が陳列されるだろう。
トロージャン・コンドーム(Trojan condoms),控え目な(humble)ネクタイ,信号機の形をした高価な宝石で飾られたカフスボタンなど,ランダムな品物の中に,ハリントン・ジャケットがあるにちがいない。デザイナーのジェイムズとアイザックのミラー兄弟(James & Issac Miller)がバラクータと呼ばれるラベルのためのシンプルでエレガントなデザインを 1937年にマンチェスターのどこかで 思い付いて以来,男性に最も人気のあるアウターウェアとなった。
ハリントンは,最も男性的な男性の何人かによって着用されて 世間の注目を集めてきた。
アーノルド・パーマーはこれを着てプレイし,『理由なき反抗』(‘Rebel Without a Cause’,1955)で 「ジム・スターク」役のジェームス・ディーンはチェリーレッド・バージョンを着た。
エルヴィスは 『闇に響く声』(‘King Creole’,1958)でベージュ・バージョンを着た。
後に スティーヴ・マックイーンは,『華麗なる賭け』(‘Thomas Crown Affair’,1968)で演じた美術品泥棒役で,ブルーのハリントンをジップアップした姿を披露した。
彼らはカウンターカルチャーの旗手,ロック・スターや反抗的スクリーン・スターの,権威に屈することのない面々であって,オン・オフの両面で,質素(no-nonsense)で,飾り気のない(zero-frills) マチスモ(男らしさ)の男たちにアピールした。
事実,マックイーンのような男性達が,70年代の英国のスキンヘッドの連中が好んだのと全く同じ理由でハリントンを好んだ。
ハリントンは実用的,かつ快適であり,汎用性があって,軽量で,そして押しも押されもせぬ(stone cold),威勢が良いほど(chest-thumpingly)クラシックだった。バラクータは防水加工のポリエステル・コットンの混紡で作り,雨水がウエストバンドを越えて流れるのを防ぐため,背中にベントが設けられ,ズボンが痛むのを防いだ。
今日では,事実上 多くのブランドが,革,デニム,化学繊維 などあらゆる種類の素材で ハリントン・ジャケットを作っているが,デザインは ほとんどオリジナルを踏襲している。
人目を引くように(in their pomp),ハリントンを着ていたロックスターの二人,ブラーのデーモン・アルバーン(Damon Albarn)やリバティーンズのピート・ドハーティ(Peter Doherty)でさえ,これまでで最も象徴的で,最もさりげない(effortlessly)スタイリッシュなジャケットの1つであるというイメージを混乱させる(muddy)ことはできなかった。
もし,あなたが ハリントン・ジャッケットを持ってないと言うなら,はて,あなたはどんな種類の男なんだろう?(If you don't own one, well, what sort of a man are you?)
(転載了)
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Baracuta G9 を着ている男優として,例えば ー
Jason Statham,Daniel Craig,Martin Freeman がいます。
私は ‘Tan’ と ‘Dark Navy’を持っています。
‘Harrington Jacket’は,米国ABCネットワークで 1964年~1969年に放送された 「ペイトンプレイス物語」(‘Peyton Place’)で,ライアン・オニール演じる登場人物名 ‘Rodney Harrington’が由来の通称です。すなわち,1964年以前に ‘Harrington Jacket’ と呼ばれることはありませんでした。
今では 本家 Baracuta も ‘Harrington Jacket’と,そのホームページに書いていることがあります。
又,スウィングトップ または スイングトップ は,かつての VAN Jacket の故石津謙介社長が 命名した和製英語であって 世界では通用しません。
この記事で気になることがあります。
「防水加工のポリエステル・コットンの混紡で作り・・・」とありますが,オリジナルは コットン 100% で,ポリエステル混紡になったのは 経営がイタリアに移った,ごく最近の2013年 以降 ー ということです。
2016年に発表された ‘G9 ORIGINAL’では ‘the external shell in 100% water-repellent cotton’とありますが,これは 特別バージョンです。
100% cotton を 懐かしむ声に応えたのでしょうか?
上左は 2011年に,直接 英国 Baracuta から個人輸入した ‘G9 Jacket,Slim Fit,Dark Navy’です。
上右は 2012年に,サイズの関係から 国内のセレクトショップで購入した ‘G9 Jacket,Regular Fit, Tan’です。
いずれも 2013年にイタリアに経営が移る前の製品で,100% cotton です。日本で購入した ‘Tan’には 日本語のタグが付いています。
尚,現在の ‘Harrington Jacket’の素材はー
Outer Shell : 50% COTTON 50% POLYESTER,
Lining : 80% COTTON 20% POLYESTER
です。
私が持ってる Baracuta のジャケットは G9 の他に2種類,下左の ‘G19’と 下右の ‘G35,Windcheater’です。
‘G19’は 15年ほど前の,日本の代理店が製作した可能性が高いもので,‘G35’は英国から個人輸入したもので いずれも時限販売された製品と思われます。
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