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2019年2月25日 (月)

米国人の進化論と創造論の現状(1/2)

米国では,21世紀になって やっと 「進化論」を信じる人の数が 「創造論」のそれを抜いたと言われています。
すなわち 20世紀まで,人間は神が造ったと信じる人が 米国人の半分以上いたということです。
「進化論」か 「創造論」かの論争には,「神」あるいは「崇高な存在」を信じるか否かに関係しており,単純な質問では これらに対する米国人の考えの実態を把握するのは難しいようです。

Feb.2 '19付け ‘Pew Research Center’のサイトに, “The Evolution of Pew Research Center’s Survey Questions About the Origins and Development of Life on Earth” (ピュー・リサーチ・センターによる,地球上での生命の起源と進化についてのアンケート調査,進化論)と題する報告がありました。

米国人の信仰心と進化論の関係を知るのに興味深い報告です。

以下,翻訳,転載します。(長いので 2日に分けます。)

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生物は,ずっと現在の形で存在してきたのか,それとも進化(evolve)したのか? そして進化(evolution)があったならば,神の手(divine hand)が働いていたのか?

進化に関する世論を調べることは,調査研究者にとって決して簡単なことではなかった。

このテーマに関する米国人の見解は,宗教的信念(religious conviction)と科学的知識の非常に高度な領域(realm)に触れるので,調査における質問文は非常に重要になる。

このため,近年,ピュー・リサーチ・センターは進化について尋ねることを,さまざまな方法で実験し,これらの違いが一般の回答に影響を及ぼすかどうかを研究してきた。そして 影響があるようなので,センターは改訂された表現に向かって動いている。

最初に,調査の歴史を少し言えば :10年半の間,センターは米国人に彼らが人類の起源について信じるものを,大抵は 2段階のプロセスで尋ねてきた。

最初の質問は,チャールズ・ダーウィンの進化論に沿って,人間や他の生物が時間とともに進化したと思うか,あるいは初めから,人間は創世記の創造物語(the Book of Genesis’ creation story)に示されるまま現在の形で存在していたと信じるのか問うものだった。

進化論の考えを受け入れると言った人たちには,2番目の質問がされた:進化は自然淘汰のような自然なプロセスによって起こったか,それとも神によって導かれたか,もしくは神が許したプロセスによって起こったと考えるか。

しかし,最近,センターは,回答者を 2つの異なる方法のうちの1つの進化について 無作為に質問を割り当てる調査を実施した。
回答者の半数は,上記のように 2段階のプロセスでの進化について質問された。

回答者の残りの半数は,進化に関する見解について 一つの質問を受け,3つの回答選択肢を与えられた:
「人間は自然淘汰のようなプロセスで,長い時間をかけて(evolved over time)進化した。このプロセスには 神あるいは崇高な力は何の役割も果たしてない。」
「人間は,神によって導かれる,もしくは許されるプロセスによって,長い時間をかけて進化してきた。」
「人間は 時の始まるときから 現在の形で存在した。」

データは,後者のグループ (3つの回答選択肢の単一の質問を受けた人々)の回答が,前者のグループの回答に比べて,進化が起こった可能性が より高いことを示している。

全体として,単一質問グループの10人中8人は,人間は時間の経過とともに進化したと答えている。(そして,わずか 18% の人が 現在の形で存在し続けていると答えている)。 他方,これまでの 2段階アプローチを受けた人の 2/3 だけが 人間は進化したと言う。(そして 31% が創造論の見解を示している)。

もっと簡単に言えば,進化論を拒絶し 創造論の見解を表明する米国人の割合の推定値は,回答者が,神が人間の進化に ある役割を果たしたという回答選択肢を与えられると,すぐに,かなり低下する(米国 成人の 31% から 18% に)。

異なる質問の言い回しによる影響は,白人の福音派プロテスタント信者(evangelical Protestants) と黒人のプロテスタントの間で特に顕著(pronounced)である。

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実験による発見は,進化について尋ねる 複数の方法をテストすることが必要かつ重要であることを示している。

一部の人々にとって,人間の生命の起源と発展についての見解は 宗教的信念と深く結びついている。

このテーマに関する質問を設定する際の ピュー・リサーチ・センターの目標は,回答者に 進化論の科学理論と 地球上での生命の創造と発展における神の役割の両方についての考えを分け合えるようにすること ー  科学と宗教のどちらかを選ぶことを強制しないこと - だった。

確かに,データは 多くの米国人が地球上の生命が時間の経過とともに進化し,さらに,神または崇高な存在(supreme being)が進化の過程で何らかの役割を演じたと信じていることを示している。

新しい実験の結果は,人間は時間をかけて進化したと信じている人がいるが,何らかの理由で,我々の このテーマについて尋ねる伝統的な方法では,そうは言わなかった人々がいることを示している。

おそらく ,進化を神と直接に結びつける機会なしには,一部の宗教的回答者は進化論を信じることを表明することが,彼らを文化的分裂の宗教的ではない側面で居心地を悪くするのかも知れない。

調査の結果はまた,回答者がこれらのテーマについての見解にニュアンスを登録することを可能にする調査質問を考案することが非常に重要であり,非常に挑戦的であることを示している。

この最新の実験の前に,センターは進化について尋ねるために 2段階プロセスのさまざまなバージョンをテストした。 一連のテストでは,調査のコンテキスト(つまり,進化の質問の直前にある質問)を変えた。

別の一連のテストでは,質問が 「人間と他の生物」または 「動物と他の生物」の進化について質問するかどうかを変えた。

以下は、センターが進化についての尋ねた方の簡単な履歴である。

神への信仰に関する質問の効果テスト

ピュー・リサーチ・センターが,2005年に最初に進化について尋ねたとき,進化の質問は神への信仰に関する 2つの質問で始まった。

回答者は,神を信じるのか,より崇高な力(higher power) もしくは普遍的精神(universal spirit)(しかし神ではない)を信じるのか,あるいは神でも崇高な力でもなく普遍的精神を信じるかどうかを尋ねられた。

神かそれ以上の崇高な力を信じると言った人たちは,この存在(entity)が 「地球上の生命の創造に責任がある」 と信じるかどうかを尋ねられた。

その後,すべての回答者に次の質問をした。それには,今後10年間で進化の問題の中心的な言葉となる言葉が含まれていた。
「人や他の生物は時間とともに進化してきたと考える人がいる。他に,人間や他の生き物は,時の始まりから 現在の形で存在していたと考える人がいる。 どちらがあなたの見解に最も近いか?」

回答者が,人間や他の生物は時間とともに進化したと述べた場合,彼らは別の質問をされた。
「あなたは人間や他の生物は自然淘汰などの自然のプロセスによって進化したと思うか,それとも,神が,人間や他の生命を今日存在する形で創造することを目的として生物の進化を導いたと思うか?」

この質問の後者の選択は,進化論争における中間点としての多くの見解,進化論と神の両方を含む世界観を提供し,それはある程度 「インテリジェント・デザイン」 と呼ばれるものと一致する。

進化論についての調査モジュールを,なぜ神への信仰についての質問から始めるのだろうか?

調査担当者たちは,進化論についての疑問が宗教,文化,政治についての論争の的になっている議論に巻き込まれて,進化論についてのみ単純に尋ねることが 誤った結果につながるかもしれないことを心配した。

それにもかかわらず,進化が起こったことと,神がその中である役割を果たしたことの両方を信じる宗教的な人々は,神が存在するという信念を登録する方法として,進化論を否定しているからという理由ではなく,単に創造論者の選択肢を選ぶかも知れない。

神が存在し,地球上での生命の創造において役割を果たしたと信じると条件づける機会を最初に与えられることなしで,何人かの回答者は長い間に人は進化してきたと信じると言うことが,社会的に望ましくないと考えるかも知れない。

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全体的に見て,2005年の調査では,米国の成人の約半数は人間は時間とともに進化したと述べ,進化は自然のプロセスによるものであると答えた人は26%,崇高な存在によって導かれて進化したと答えた人は18% だった。
10人中4人は,人間は 初めから現在の形で存在していると答え,10% の人が確信が持てない,あるいは 答えられないと述べた。

翌年,センターは再び進化に関する人々の見解を調査した。 2006年の調査は,神への信仰について尋ねることが,進化についての次の質問に対する回答者の答えに影響を与えるという前提の実験的なテストを含んだ。

調査の回答者の半数は進化論の質問の前に,神への信仰(the belief-in-God)の質問を受けるように無作為に割り当てられ,残りの半数の回答者は神への信仰に関する質問を受けなかった。

データを分析したところ,回答者は最初に神への信仰について尋ねられたかどうかにかかわらず,進化の質問シリーズに同様に回答したことが示された。

実験的なテストの結果,神への信仰について尋ねても進化論についての質問への答え方には影響がないことがわかったため,2006年以降に行われたピュー・リサーチ・センターの調査では,神への信仰を調べる前置き的な質問は省かれた。

(‘米国人の進化論と創造論の現状(2/2)’に続く。)

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