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2019年3月28日 (木)

初めて知った,「副振動」は「あびき」。

3月21日 夜,「長崎市中心部で道路冠水,原因は 『副振動』」と報じられました。
浅学にして 『副振動』 という言葉を初めて聞きました。

Wikipedia には 次のように解説されています。
副振動(secondary undulation)とは潮位の変化のうち潮汐や高潮、津波などによって発生する以外のものを指す言葉である。数分から数十分程度の周期の水面振動で湾や海峡においてはごく一般的に見られる現象。潮汐によって発生する潮位の変化を主振動と考えて、それに対する用語である。・・・ 気象現象が原因となっている副振動波は、気象津波とも呼ばれる。原因がはっきりとわからない潮位の異常を指す異常潮の一種にも分類される。異常潮にはもう1つ、数日程度持続する異常潮位というものがある。

福岡管区気象台のホームページにはー
副振動とは,日々くり返す満潮・干潮の潮位変化を主振動としてそれ以外の潮位の振動に対して名づけられたものであり,海峡や湾などで観測される,周期数分から数10分程度の海面の昇降現象をいいます。
主な発生原因は、低気圧等の気象擾乱(じょうらん)に起因する海洋の擾乱などが長波となって沿岸域に伝わり,湾内等に入ることにより引き起こされます。振動の周期が湾等の固有周期に近いものであれば,共鳴を起こして潮位の変化が著しく大きくなる場合があり,過去には係留していた船舶の流失や低地での浸水被害が発生しています。
九州西岸では特に大きな副振動が発生しやすく,『あびき』とも呼ばれています。
と書いています。

因みに 日本語の「振動」は 「周期(=1/振動数)と振幅をもった揺れ動く運動」で 周期の大小に拘らず,動く物体に拘らず,その他の条件に拘らず,かなり広く使われます。
「振動」を英語に訳せと言われれば,まず  ‘vibration’ を思いつきますが,和英辞典で 「振動」を引けば 10個は下らない英単語が出ます。
それらの 厳密な違いは分りませんが,ここでの「副振動」の「振動」は ‘undulation’ です。

1979
上図は 気象庁長崎検潮所(長崎市松ヶ枝町)で観測された過去最大の副振動(1979年(昭和54年)3月31日発生)の例です。
大きな振動(主振動=潮汐干満)に 副振動が乗っています。
この副振動は、最大全(複)振幅は278cm、周期は約35分でした。 
この時は 幸いなことに 満潮時に重ならなかったのですが,もし重なったら,満潮時の潮位+約140cm(単振幅)となるところでした。

そして 今回の副振動は,ー
2019_03_21
上図(速報)に示すように,3月21日20時38分に最大値を記録し,副振動としては 周期:約30分,全(複)振幅:105cm で,最大振幅が ほぼ満潮時に重なっており,ほぼ高潮警報基準潮位に達したようです。
「副振動」自身の振幅としては 1979年が最大でしたが,満潮と重畳したことによる潮位としては,今回が最高潮位となったようです。

この副振動を絶対に防がなければならないとするなら,対策方法は 港湾の固有周期を変える,そのためには 例えば 「港湾に可動式の『仕切り壁/仕切り底』設備を設置,共振(共鳴)の前兆があれば稼動させる」 が考えられますが,副振動がそれほど大きな被害を出したケースがない(?)ので,そんな大げさな設備はほぼ経済的に無駄になるでしょう。

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