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2019年3月23日 (土)

World Happiness Report 2019,日本 58位報道の間違い。

Cover3月20日,国連による 「世界幸福度報告」(World Happiness Report 2019)が発表されました。
その前書きは 次の通りです。
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これは第7回 世界幸福報告書である。 第1回は、「幸福と幸福:新たな経済パラダイムの定義」(“Wellbeing and Happiness: Defining a New Economic Paradigm”)に関する国連ハイレベル会議(UN High level meeting)を支援するために2012年4月に発表された。
そのレポートは 国民の幸福度に関して利用できる世界的なデータを提示した。そして,人々の生活の質がいろいろな主観的な幸福程度によって筋道正しく,確実に,そして,有効に評価可能なことを示し,「幸福度」として 以降のレポートで参考にすることにした。
各報告書には,科学的な幸福をより深く掘り下げる特別なトピックス,および特定の国や地域での幸せについての最新の評価と一連の委託された章が含まれている。
多くの場合,中心的なテーマがあり, 今年は,幸福度と地域社会に焦点を当てている :過去12年間で幸福度がどのように変化してきたか,そして情報技術,ガバナンス,社会規範がどのように地域社会に影響を与えるか。
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今年の日本の幸福度は 世界 156ヶ国中 58位のランキングでした。

これを日本の多くのメディアが報道していますが,多くが誤解を生じさせる報道(もしくは誤解した上での報道)が見られました。

例えばー
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NHK NEWS WEB’ (3/21)は「『幸福度』日本は58位に後退  『自由度』『寛大さ』評価低く」 の見出しでー
「世界の国や地域の『幸福度』をランキングにした国連の報告書がまとまり,日本は去年より4つ順位を下げて58位でした。G7=主要7か国の中で最も低く,台湾や韓国を下回りました。
国連は7年前から,1人当たりのGDP=国内総生産や健康に生きられる年数,社会の自由度などを数値化し,世界の国や地域の『幸福度』をランキングにしています。
・・・
世界の国や地域の『幸福度』をランキングにした調査は国連が7年前から発表しています。
『幸福度』は、▽1人当たりのGDP=国内総生産、▽健康に生きられる年数、▽社会の自由度、▽他者への寛大さ、▽社会的支援、▽政府やビジネスにおける腐敗のなさ、などを数値化したもので、国連は、過去33年間のデータをもとに150以上の国や地域ごとにランキングしています。
・・・ 」
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毎日新聞 電子版」(3/22)には  「2019年の世界幸福度、フィンランドが2年連続1位 日本58位」の見出しでー

「1人当たりの国内総生産(GDP)や社会支援、健康寿命、社会的自由、他者への寛容性、汚職のなさなどを基に156ヶ国の順位を決定したもの。」


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ーと報道しており,国の幸福度を,あたかも その国の諸データから数値化してランキングしているかのような書き方ですが,これは正しくありません。
正しくはー
ウィキペディア 「世界幸福度報告」に書かれています。
世界幸福度報告(英語: World Happiness Report)とは、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポートである。この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である(データはギャラップ社によるもの)。報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している。
データでは150以上の国や地域を対象としている。それぞれの国の幸福度は0~10の値からなる各個人の回答の数値の平均値である。
説明変数は (1)人口あたりGDP(対数)、(2)社会的支援(困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)、(5)寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)、(6)腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)の6つであり、回帰分析で得られるこれらの説明変数の幸福度に対する寄与が与えられている。 ・・・ 
すなわち,幸福度は 各国民自身が 10点満点で考えた自己申告(主観的)スコアであり,6つのデータは そのスコアを(科学的に)説明するための値です。
つまり,そのスコアになるように 6つのファクターの値を回帰分析で求めているのです。

朝日新聞は 正しく報道していましたが,多くの報道が 間違っていました。
この間違いが,意図的に日本と日本人を貶めるものでなければいいのですが,それにしても 間違い方が幼稚です。

朝日新聞の記事では 「 ・・・ 各国・地域の各3千人程度が16~18年に,生活の満足度を「0~10」で点数化。その数値で順位をつけ,国連の関連団体が1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命などの6項目について分析した。 ・・・ 報告の編集者のジョン・ヘリウェル氏によると,東南アジア諸国では、幸福度を中央値付近の『5』と答える割合が高く,このことが,日本の点数が低い原因にもつながった可能性があるという。」と書いています。

Happiness-score-of-japan今年を含んで過去5年間の 日本の幸福度と世界ランキングを右表に示します。

日本のスコアは 6弱で 5.8 ~ 6.0 で,ほぼ一定ですが,毎年 微減しています。
問題にするとすれば ここであり,この変化が有意と判断されるならば 原因を考えるべきです。
世界でのランキングは それほど意味があるとは思えません。
幸福の捉え方に国民性,民族性があります。
幸福度を 「10点満点で何点か?」と尋ねられて 10点や 9点と答える日本人がそれほどいるとは思えません。
中庸の 「5点」と答える人が多く,せいぜい「不幸ではないから 6点」と答えがちなのは想像に難くありません。「足るを知る」です。
「自分は幸福だ,幸福だ。」と 無邪気に言う日本人は むしろ異端です。

先進国(G-7)で最下位なのは 日本人の国民性の表出とみるのが 妥当と思われます。
この辺りの感覚は,おそらく報告書をまとめているアナリスト達は分ってないでしょうから それなりの見方が必要です。
「58位で 韓国や台湾より 下位」と わざわざ言う必要はありません。
何より,韓国と台湾に失礼です。
結局のところ,この報告で 日本に関して明確になることは,日本人が 「慎み深さ」,「謙遜度」で 世界ランキング 1位 くらいのことでしょうか - 。
藤原正彦さんの 「国家の品格」によればー
「大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルは,大東亜戦争の帰趨のはっきりした昭和18年に,パリでこう言いました。
『日本人は貧しい。しかし,高貴だ。世界でどうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら,それは日本人だ』」

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