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2019年4月29日 (月)

米国での死刑制度の存在と死刑執行の実態

G7諸国で死刑制度が残っているのは 日本と米国だけで,しばしば 人権問題として取り上げられます。
日本としての 一つの反論方法は 「米国も廃止してない。」ですが,米国での死刑執行の実態はどうなっているのか,参考になる報告がありました。

因みに 各国が死刑を廃止(全廃)した年は次の通りです。

イギリス:1998年,フランス:1981年,ドイツ:1949年,イタリア:2007年(制度的には 1948年),カナダ:1976年

Pew Research Center’の ‘Factank’,Mar.14,'19 付けに “California is one of 11 states that have the death penalty but haven’t used it in more than a decade” (「カリフォルニア州は 死刑制度がありながら 10年以上 死刑執行されてない11州のうちの一つ」) の見出しの報告がありました。

以下 翻訳転載します。

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カリフォルニア州知事 ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)は今週,カリフォルニア州での死刑執行に対するモラトリアムを発表した。これは国内最大の死刑囚(death row) の737人に影響を与えることになる。

この決定は,方針の大幅な変更ではあるが,実際にはそうではない。カリフォルニア州は死刑制度 (capital punishment on the books)があって,10年以上死刑を執行してない 11州のうちの1州である。

001
(管理者注:上図は ー
     ・死刑制度あり : 30州 + 軍,連邦
     ・5年未満に死刑執行あり : 13州
     ・5年以上死刑執行なし :   6州
    ・10年以上死刑執行なし: 11州 + 軍,連邦
   を示している。)

米国には 全体として30州 と連邦政府および 軍が死刑制度を承認しているが,死刑情報センター(the Death Penalty Information Center)によれば,20の州およびコロンビア特別区から死刑の批判を受けてきた。

しかし,死刑執行を許可している州の3分の1以上の州は,連邦政府や米軍と共に,少なくとも10年以内,あるいは場合によってはそれよりもはるかに長い期間,死刑執行していない。

カリフォルニア州での最後の処刑は2006年に行われた。 その他,カンザス州:1965年,ワイオミング州:1992年,コロラド州とオレゴン州:どちらも1997年,ペンシルベニア州:1999年, モンタナ州,ネバダ州,ノースカロライナ州:すべて2006年,ケンタッキー州:2008年  が最後の死刑執行年である。

連邦政府による最後の処刑は 2003年に行われた。軍は処刑を実行する権限を持っているが,1961年以来行われていない。

死刑制度がありながら,少なくとも この10年 死刑執行していない11州と連邦政府の死刑囚の数には 大きな違いがある。
カリフォルニア州には 700人以上の死刑囚がいるが,ニューハンプシャー州には1人しかいない。(今月,ニューハンプシャー州議会下院は,死刑を廃止して仮釈放せずに終身刑に置き換えることを圧倒的多数で(overwhelmingly決定したが,法案が法律になるかどうかは明らかではない。州知事のクリス・サヌヌは去年,同様の試みを再投票にした。)
全国的には,死刑囚の数は,新たに死刑判決が科されたり,処刑が行われたり,囚人が他の原因で死ぬか,又は,その他の方法で死刑免除などがあるため,ほぼ毎日変動する。
002(管理者注:右図は 2000年から2018年にかけての 死刑囚の数の変化。フロリダ州,テキサス州,アラバマ州,ペンシルベニア州に比べ,カリフォルニア州の増加が顕著。)
全州の死刑囚の数を追跡する NAACP(National Association for the Advancement of Colored People, 全米有色人種地位向上協会),法的防衛教育基金(Legal Defense and Educational Fund)によると,カリフォルニア州の死亡者数は2006年1月に最後の死刑執行を実行して以来,100人近く,すなわち14% 増加した。(全州の最新の入手可能なデータは2018年10月現在のものである。)
この増加は,知事の正式なモラトリアムに先立つ法的および政治的紛争の中で処刑自体が近年保留されていたとしても,カリフォルニア州の陪審が被告に有罪判決を下したことを反映している。
州の刑務局(corrections department)のデータによると,カリフォルニア州で死刑が長年延期されたことによる明らかな影響の一つは,死刑囚の死亡原因の1位:病死・自然死,2位:自殺で,刑の執行による死が これらに次いで3番目であることである。
1978年以来死亡したカリフォルニア州の死刑囚 135人のうち,処刑による死亡は 15人である。
連邦政府の死刑囚も,前回の執行以来,大幅に増加した。 現在,死刑を宣告された連邦死刑囚は 2003年1月の26人から増え,62人になっている(連邦政府の直近の処刑の直前)。

カリフォルニア州および連邦レベルでの死刑囚の増加は,全国的な傾向と対照的である。 NAACPの統計によると,全国的に,死刑囚の数は 2000年から2018年の間に,3,682人から2,721人へと 26% 減少した。

この減少に関する説明として,さまざまな要因がある。一つには、死刑情報センター(the Death Penalty Information Center)が編集したデータベースによると,2,000年から2,008年の間に,テキサス州だけでの執行359件を含んで,892件の処刑が執行された。

他の多くの死刑囚が他の原因で死亡した。 81人は,2,000年から2,008年の間に,無罪判決(acquittal),起訴取り消し,減刑に等により死刑囚から除外された。そして死刑判決を受けた新たな被告の数は,2,000年の 223人から昨年のわずか 42人までに急激に減少した。

死刑囚でありながら,10年以上執行が猶予されているいくつかの州では,法的および政治的要因が大きな役割を果たしてきた。

カリフォルニア州では,2,006年に裁判所が州の死刑の注射手段を却下した後,州は何年も後まで代替方法を提案しなかった。
2016年に,カリフォルニア州の有権者は死刑プロセスのスピードアップを目的とした住民投票を承認したが,ニューサム知事は今週,自分が州知事である間は州で処刑は行われないと述べた。

死刑執行が制度上残っている州で,カリフォルニア州は州知事が死刑執行の一時停止を宣言した唯一の州ではない。 たとえば,オレゴン州とペンシルベニア州知事も,州での処刑を延期している。

ピュー・リサーチ・センターの調査によると,死刑に対する全国的な支持は 2018年に急増した。 米国の成人の ぎりぎり過半数(54%)が,殺人の有罪判決を受けた者に対する死刑を支持していると回答したのに対し,反対したのは39% だった。

しかし,死刑制度への支持は,1990年代や2000年代の大半を通してずっと低いままである。

(転載了)
*************************************

州によって 「死刑判決の有無/多寡」,「死刑執行の猶予」にかなりの差があるようです。

日本においては,冤罪(のおそれ)が死刑反対,あるいは執行の延ばしの理由なら,裁判の厳密さ(疑わしきは罰せず)を守ることが必要でしょう。

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