« 見出しに見る「勘違い」(その471) | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その472) »

2019年5月29日 (水)

衛星写真の明かりから推定した北朝鮮,国民1人当たりGDPは 1,400ドル。

‘The Economist’ の May 4.2019付けに, “Satellite data shed new light on North Korea’s opaque economy” (人工衛星データは 北朝鮮の不透明な経済に新たな光を当てた)の見出しの記事がありました。

サブタイトルは “The country’s nocturnal luminosity fell by 40% from 2013-15” 「この国の夜間の(nocturnal)光度(luminosity)は,2013-15年から 40% 減少した。」です。

下記に 翻訳転載します。

*********************************

Korean-peninsula-nocturnal-luminosity

夜,宇宙から見ると,北朝鮮は,最近発表されたブラックホールの最初のイメージのように見える: 何ものも逃げることができない,韓国、中国 そして ロシアの輝きによって輪をかけられた底知れぬ深い穴(abyss)のように。

しかし、隠者王国(the Hermit Kingdom)は,周回衛星が検出できるわずかな光を放射している。 そして夜間の明るさは,その国に関する信頼できる数少ない情報源の1つである。 これは,北朝鮮の経済状態が 以前に考えられていたよりも悪く、夜間の明かりは経済活動の強力な反映(proxy)である。 IMFの新しい論文によると、夜間の明かりは,1人当たりGDPの変動の44%を説明していおり,これは,身長と手の大きさの間にあるような密接な相関関係を持つ。実績記録が乏しい,または操作されている国(場所)では,夜間の明かりは 代替の出力尺度を提供する。

ある研究では,明るさが同じような国の中では、独裁主義国(autocracies)のGDPの伸びは民主主義国より1530% 上回っていることがわかっている。

北朝鮮ほど,稀な良い経済データがある国は他にない。最も詳細な数字は韓国の中央銀行から得られており,さまざまな商品の生産量に関する数字から導き出されている。

発展途上のアジア諸国における生活費に合わせて調整した北朝鮮の国民一人当たりGDPの直近の見積もりによれば,アメリカ国内での 2,500ドルの商品やサービス購入分に相当する。しかし,夜間の光で描かれた絵は,さらに薄暗い(grimmer)。

2013年に,ある研究グループが中国の農村部での光度とGDPを比較し,光から経済生産高を推定する式を得た。

新しい研究者のチーム ワールド・データ・ラボ(World Data Lab)による論文では,この公式を北朝鮮に適用している。 これによれば,アメリカでの年間1,400ドル相当の生活水準が導かれ,北朝鮮を世界の最貧国 10ヶ国の1つとしている。

データはまた経済が異常に不安定であったことを示唆している。 2013年から2015年にかけて,明度は40%低下した。それは首都平壌の19% を含むGDP12%の減少を意味する。 しかし2016年以来,再び明るくなっている。

国際的な制裁措置がこの暗さを生み出している可能性は低い。 明るさが増した 2016-17年に制裁は厳しくなった。 石炭のような北朝鮮の輸出価格の下落が,一因となったのかもしれない。

しかし、主原因はおそらく天候と思われる。北朝鮮は水力発電に大きく依存しており,2015年に干ばつに見舞われた。大韓民国銀行はまた,2015年に電気、ガスおよび水の生産量が 13% 減少したとも考えている。

光度が示すほど経済は縮小していない可能性もある。停電による不況(recessions)は,過度に光度を減らす可能性がある。

多くの北朝鮮人は ソーラーパネルを所有しており,その電力による昼間の活動は,夜の照明には反映されない。そして,政治的な選択である国家の建築物の照明が,首都の輝きの大部分を占めている。 ブラックホール内の物理学と同様に,北朝鮮の不気味なシルエットの中でどのような経済法則が適用されているのかは誰にもわからない。

それにもかかわらず,明るさが40%低下すると深刻な不況を示す。そして今年,政府は,熱波,洪水,干ばつが深刻な食料不足を引き起こしたことを公に認めている。政権は,自然の怒り(the wrath of nature)よりも、貿易制裁を乗り切る(weather)用意ができているようだ。

(出典:ワールド・データ・ラボ,ノミス財団,ウィーン経済ビジネス大学,および国際応用システム分析研究所。 NOAA NCEI地球観測グループ 「経済成長を照らす」、Yingyao HuおよびJiaxiong Yao著、IMFワーキングペーパー、20194月)

(転載了)
******************************

平壌に 僅かに明かりが確認できますが,極めて狭い範囲です。

過去の同様な報告に対して,「北朝鮮の夜景は真っ暗だなどと繰り返し批判している」とした上で、「社会の本質は照明の明るさで示されるものではない」と北朝鮮は反論していました。

それでも 国民1人当たり GDP は韓国の 約34,500ドルに対して  北朝鮮 1,400ドルで,約1/25 しかありません。
南北が同じ国になるのは これだけ考えても簡単なことではありません。

|

« 見出しに見る「勘違い」(その471) | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その472) »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 見出しに見る「勘違い」(その471) | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その472) »