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2019年6月23日 (日)

「落とした財布は 多額のお金が入っているほど戻る」という研究の,日本人からすれば驚愕の調査方法。

The Washington Post’ に June 20, 2019付けで  “People are surprisingly honest about returning lost money” (無くしたお金の返却に関して 人は驚くほど正直) と言う見出しの記事がありました。

サブタイトルが “Study spanning 40 countries delivers some good news if you lose your wallet” (40ヶ国におよぶ調査は 財布を落とした時の良いニュースをもたらした)

以下に 翻訳転載します。

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2015年,スイスの大学院生がチューリッヒ空港からスーツケースを持って出発した。スーツケースは 空の財布,多額の現金,400本のスペアキーでいっぱいだった。 空港当局は彼を呼び止めて質問した。科学実験のためだ,と彼は説明した。

彼は2つの重要な疑問に取り組む行動研究者チームの一員だった:世界中の人々は紛失した財布(lost wallets)を返すだろうか? そして,財布の中の現金は元のままだろうか?

チームのメンバーは,17,000以上の財布を運ぶ怪しい(suspicious)手荷物を持って 40ヶ国 355都市を訪れた。

美術館,銀行,警察署などの施設のスタッフは,落し物と考えられる財布を示されたとき,知らぬうちに市民の正直さに関する世界的なフィールド実験の一部となった。

木曜日に発表されたScience の新しい研究によると,国に関係なく,人々は 財布の中身がより多くの金額のとき,財布を届けようとする傾向があった。

これは,潜在的な支払い額(the potential payout)が大きいほど,人々は不正直になる可能性が高いと予測する長年の経済モデルに相反する(butts against)ものである。

研究室で正直さを研究してきたボストン大学の心理学者ニーナ・マザール(Nina Mazar)は,この研究は,人々は 圧倒的に自分自身を良い人だと見なし,そのイメージを維持しようとすることを示していると語った。

新しい研究は,日常生活の中で正直さをテストすることによって 彼女の過去の研究を超えた一歩を踏み出す。

実験ごとに,若いヨーロッパ人の旅行者は,買い物リスト,鍵,および地元の言語で書かれた,複写した名刺が入った財布を持って 銀行または他の施設に足を踏み入れた。

旅行者は財布を銀行の窓口係(teller)に渡し,急いでいるからと踵を返す前に 「入り口近くの道でこれを拾った。誰かが落としたものと思える。よろしくお願いします(“Can you take care of it?”)」と伝える。

場合によっては,窓口係は財布にお金が入っていないことを知るだろう。他のケースでは,現地通貨で15ドルだった。
いくつかの裕福な国では,いくつかの財布は空ではなく,15ドルまたはほぼ100ドルを入れていた。 これらの実験の旅行者は,もちろん,研究アシスタントだった。

人々が,お金(特にたくさんのお金)が入った財布を返す可能性が高いという事実は研究者を驚かせた。 彼らが調査した300人のトップ・アカデミック・エコノミストも驚いた。彼らは人々が財布をお金と一緒にネコババ(keep)する可能性が高いだろうと予測していた。

ジョージタウン大学の心理学者で研究に関与していなかったアビゲイル・マーシュ(Abigail Marsh)氏は、次のように述べています。「ある行動が驚くべきとき、それはあなたがこれが社会にとって何を意味するのかを解釈することについて慎重になりたい時です、」
「しかし,この調査で私が気に入っているのは,ほとんどの人が,ほとんどの場合,正しいことをやろうとしていることです。」

(転載了)
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報告書における調査対象国の 財布内に現金有無による届け出の違い実績を下図に示します。
(中国で落としたら まず 諦めるしかありません。国による差は “honesty” の差? 民度の差?)
現金が入っている場合の届け出率 上位 5ヶ国は,デンマーク,スウェーデン,ニュージーランド,スイス,ノールウェー で何の違和感もなく,想像どおりです。民度の高さは 間違いなく裕福さにほぼ比例します。但し,昔,日本に来たヨーロッパ人が 「日本人は貧しいが精神は高潔である。」と言ったように例外はあります。

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この調査結果に 驚いている世界の人々や研究者に驚きました。

研究は 財布の中身の金額の多寡と返却の関係を重要な結果としていますが,私には それ以前の問題でした。

研究の調査結果の見出しを見た時,私も 驚きました。それは 通行人が道で拾った財布をどうするか」という調査結果だと思ったからです。

それが何と,美術館,銀行,警察署などの施設のスタッフが,その施設内カウンターで 落し物として財布を受け取って,それをネコババするかどうか」の調査結果でした。
であれば,上図の結果は はるかに悪くなったでしょう。
もし,日本で実施すれば 「金額と返却の関係はない国がある」という結論になったと思います。

スタッフに落し物として渡す時の言葉は  “Can you take care of it?” で,厳密に訳せば 「これを 処理願います。」でしょうが,日本語では 「落し物のようなので,よろしくお願いします。」が普通でしょう。
この 「よろしくお願いします。」が重要です。外国人には理解できないのでしょう。

それにしても いくら費用をかけたか知りませんが,この研究内容のレベルは如何なものでしょう。
いや,日本人は 世界の ‘honesty’ が この程度であることを知る必要があるのかも知れません。
日本人にとっては,海外の,それなりの施設(公共)のスタッフでも 信用してはしてはいけないという研究でした。残念!!

それにしても 警察署までを調査対象にするとはー。
世界の人々と 同じ土俵で議論できないテーマが存在することは 間違いありません。

尚,原文における,実験で財布を預けた場所は次の通りですが,場所による返却率の違いは報告されていません。
おそらく,警察も裁判所もホテルも有意な差がなかったのでしょう。

(ⅰ) banks
(ⅱ) theaters,museums and other cultural establishments
(ⅲ) post offices
(ⅳ) hotels
(ⅴ) police stations,court of law and public offices

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