« ‘calculus’ は 「数学」? | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その491) »

2019年7月12日 (金)

14人の死者を出した ロシア潜水艇とは何で,何をしていたかを知りたくてー

7月1日に ロシアの潜水艇で火災が発生し,14人の死者が出た,というニュースが流れていました。
それだけで その潜水艇が何用のものなのか,何をしていたのかの情報を聞き漏らしました。もしくは 流れませんでした。

興味があって,ネットで海外メディアをいくつか見て,ここでは ‘The Daily Beast’(USA)の July 4,2019付け, “What Was That Secret Russian Sub Doing Before It Caught Fire?” (秘密のロシア潜水艇は 火災発生前 何をしていたのか?)の見出しの記事を読んでみました。

下記,翻訳転載します。

**********************************

「最高のエリート・キャプテンの通常でない(extraordinary)乗組員」を含む14人が 潜水艇「ロシャリク」(Losharik)- 20,000フィート(6,000m)の深海まで潜水可能 -に乗船していて死亡した。

月曜日(71日),秘密の(secretive)ロシアの調査潜水艇(research submarine)で火災が発生し,14人が死亡したことで,ロシアの新しい海底兵器(undersea weaponry)開発への取り組みが遅れる可能性がある。

ロシアの北極海沿岸にあるセベロモルスク(Severomorsk)の母港の近くで,炎が 原子力 プロジェクト 1083 「ロシャリク」潜水艇を貫いた(roared through)。

事故で亡くなった乗組員の中には少なくとも 7人の上級士官がおり,そのうちの2人は,合衆国の「名誉賞」(Medal of Honor)に相当する「ロシア英雄賞」(the Hero of Russia award)を受賞していた。

プーチン大統領は,「ロシャリク」の火災を「大きな損失だ。」だと説明した。「これは普通の船ではない,知っていると思うが。」とプーチンは記者団に語った。

漁師たちはムルマンスク(Murmansk)の報道機関 ‘SeverPost’ に語った。彼らは「ロシャリク」がバレンツ海(Barents Sea)のキルディン島(Kildin Island)付近で,現地時間 月曜の午後930分頃 浮上しているのを見た。
「すべて海面から出ていた,すべてだ。」と1人の漁師は言った。
「私はこれまでにそのようなことを見たことがない」と漁師は付け加えた。 「デッキを急いで走っている人がいた。」

「火は潜水艦の乗組員にとって最大の悪夢だ。」と,独立系の軍事アナリスト,アレクサンダー・ゴルツ氏は Daily Beast に語った。「何でも火事を引き起こす可能性がある。 ショート・サーキット,誰かの過失 - とにかく何でも。」

ロシャリク」の火災は,日本海で試運転中のロシア海軍の攻撃潜水艦ネルパ(Nerpa)で消火システムが機能不全に陥って20人が窒息した(asphyxiating2008年以来,ロシアで最悪の潜水艦事故となった。

2000年の8年前,ミサイル潜水艦クルスク(Kursku)は爆発を起こし,バレンツ海に沈んで,118人が死亡し,クルスクの沈没とプーチン大統領の対応の遅れは,ロシアで大きななスキャンダルになった。

ネルパとクルスクは軍事作戦前線の潜水艦隊だった。

それとは対照的に,「ロシャリク」は,クレムリンの深海調査総局(Directorate of Deepwater Research)に所属する深海潜水調査船である。
ロシャリク」の全長約200フィート(60m)の船体は,極端な深さの高圧から船を保護する7つのチタン製コンパートメントで構成されている。

Losharik
Losharik01

潜水艦の専門家であり,米国の政府高官への海軍顧問であるノーマン・ポルマー(Norman Polmar)は,「ロシャリク」が20,000フィートまで潜水可能と推定した。

アメリカ海軍のバージニア級を含む潜水艦隊は,通常,600もしくは700フィート以下の深さまで潜水することはできない。

2003年の進水以来,「ロシャリク」は国家的に重要ないくつかの危険な任務を行ってきた。

2012年には,北極海海底で他船と共に,2マイルの深さまで掘削し,土壌サンプルを採集し,ロシアの大陸棚の外側の境界を特定した。

本船のその他の任務の多くは謎に包まれているが,新しいセンサーや武器の試験を含んでいる可能性がある。「これは非常に有用な潜水艇である。」とポルマーは語った。

ロシャリク」のような調査潜水艇はロシアの戦略計画にとって,ほぼ間違いなく(arguably)これまで以上に重要である。

何年もの間,ロシア海軍は,主に冷戦時代の ビンテージ水上艦を改装する(refurbishing)ことによって,世界で最も強力な艦隊の1つとしての地位に固執した。
しかし,それらの船とその支援インフラは維持が困難になっている。

2018年10月,当時ロシアの唯一の空母であった「クズネツォフ提督」(Admiral Kuznetsov)が入渠していた,建造から38年経っていた 浮きドック「PD-50」で火災が発生した。
PD-50」は沈没し,空母はダメージを受け,2人の労働者が死亡した。

PD-50」に代わる安くて簡単な方法がないので,クレムリンは冷戦時代のビンテージ船のより広い間引きの一環として,老朽化して信頼性のない「提督クズネツォフ」の廃艦(decommissioning)を考えている。

古い水上艦と置き換えるために,モスクワは潜水艦の建造者としての歴史的な強さに頼っている。

近年のプーチン政権は,新しい潜水艦の製造を加速させる一方で,艦艇用のハイテクな新しい武器も開発している。

ロシアは,およそ50隻の新型潜水艦を維持する計画を持ち,これはアメリカ海軍が保有する潜水艦隊の実力にほぼ匹敵する。

ロシアが建造した潜水艦には,全長574フィートの「モスクワ」が含まれる。これは,科学調査船であり,スパイ船であり,部隊輸送船であり,ミニ潜水艇と無人潜水艇のための「母船」である。

ロシアはまた,広大な敵の海岸を汚染する(contaminate)ことができる放射能弾頭を搭載した海底無人艇「Status-6」を開発している。

火災が発生したときに「ロシャリク」が何をしていたのかは不明である。
The Daily Beast’ がEメールで送った質問に ロシア国防省は答えなかった。

ワシントンD.C. にあるウィルソンセンターのロシア専門家,マイケル・コフマン(Michael Kofman)は,この火災はおそらく「何かの新しい技術のデモがうまくいかなかった(gone awry)ことが原因だろう。」と述べた。

「死傷者リストには,通常 潜水艦に1人の船長が,7最初にランク付けされていることに気付くと思う。」とコフマン氏は述べた。

「これは,最高のエリート・キャプテンからなる並外れたクルーだった。」とゴルツはデイリービーストに語った。

「その船で彼らを一緒にした者は誰であったとしても,これらの船長達に,海洋学研究における専門知識と経験を必要とする複雑な任務を与えていたと考えられる。」

水曜日に ロシアの港町,ムルマンスクとセベロモスクの正統派教会は,火災の犠牲者のために慰霊祭を開いた。

おそらくクルスク沈没のような別のスキャンダルを恐れて,プーチン大統領はすぐにロシャリク事件に対応した。

火曜日に,彼は計画されたイベントをキャンセルし,そして火災について議論するために セルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相を召喚した。

ショイグは,損傷と死者数はもっと深刻なものになっていた可能性があると主張した。

国防相は記者団に,乗組員は「ロシャリク」に乗船していた民間人の命を英雄的に救い,炎が広がるのを防ぐためにハッチを閉めたと語った。

ロシャリク」が,どれだけの損害を被ったか,そしてクレムリンが船を復旧させることができるかどうか,そして,それにどれだけの時間がかかるかは不明である。

ロシアのペルミ大学の政治科学の教授であるパベル・ルージン(Pavel Luzin)によると,少なくともこの火災はロシアの海底への野心の障害(stymied)になった。
「間違いなく,ロシアは戦略的作戦を維持することを目的とした最先端の海軍能力のうちの1つを一時的に失った。」

(転載了)
*****************************

結局,具体的な調査内容・行動は不明のままですが,‘secret mission’ に従事中だったことは間違いないようです。
6,000m潜水可能な深海調査船としては,7つのチタン製耐圧殻の球体を前後に並べて連接し,潜水艦型の圧力を受けない構造で覆っているという ユニークな形状の潜水艇でした。
  又,図では 船底にいくつかのギアが付いています。
これは 母船(潜水艦)に搭載する際に使用するものか,あるいは,平坦な海底に接地して這うように進む際に使うものかーなどと想像します。

|

« ‘calculus’ は 「数学」? | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その491) »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ‘calculus’ は 「数学」? | トップページ | 見出しに見る「勘違い」(その491) »