米国における銃による死者に関する統計
米国での銃乱射事件は,有効な対策がないまま,発生し続けています。
‘Pew Research Center’ の ‘FACTANK’ ,August 16,2019付けで, “What the data says about gun deaths in the U.S.” (米国の銃による死亡に関するデータが示すもの)のタイトルの記事がありました。
下記,拙訳して転載します。
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テキサス州エルパソとオハイオ州デイトンで発生した最近の大規模な銃乱射事件(mass shooting)と,シカゴでの銃乱射事件(spate of shooting)は,米国での致命的な(deadly)銃による暴力(gun violence)に再び注目を集めました(have brought renewed attention)。
ドナルド・トランプ大統領とキャピトルヒルの議員達が政策対応を考えている(contemplate)ので,ここでは,米国疾病対策予防センター(CDC:the Centers for Disease Control and Prevention),FBI,およびその他の情報源からのデータに基づく回答を含んで,米国における銃による死亡(gun death)に関する10の一般的な質問を示す。
また,最近の総まとめ(roundup)を読んで,米国における銃の暴力と銃の政策に関する主要な世論調査結果を知ることができる。
How many people die from gun-related injuries in the U.S. each year?
米国では毎年,銃に関連した負傷で何人が死亡しているか?
CDCによると,完全なデータが入手できる最新の年である2017年に,米国で銃に関連した負傷により39,773人が死亡した。
この数字には,銃殺人と銃の自殺と共にCDCが追跡する3つの,あまり一般的ではないタイプが、含まれる- 意図的ではない,法執行機関が関与している,または状況を判断できない死。
銃撃による負傷が主要な原因ではない死は除外する。 (CDC 死亡統計は,死亡証明書(death certificates)に含まれる情報に基づいている。)
What share of U.S. gun deaths are murders and what share are suicides?
米国の銃による死亡の,殺人と自殺の割合は?
銃に関連した殺人事件よりも注意を引かない傾向があるが,自殺は長い間,米国の銃による死亡の大部分を占めてきた。
2017年には,CDCによると,米国で銃に関連する死者10人に6人が自殺(23,854人)であり,37%の14,542人が殺人だった。
残りは 「意図的ではない」(486人),「法執行機関に関与」(553人),または「不確定な状況」(338人)である。
What share of all murders and suicides in the U.S. involve a gun?
米国でのすべての殺人と自殺の割合は銃に関係しているか?
2017年の全米殺人事件の4分の3(19,510人中14,542人)が銃器を使用していた。その年の全自殺の約半分(51%)– 47,173人中23,854人に銃が関与していた。
How has the number of U.S. gun deaths changed over time?
米国の銃による死亡者数は時間の経過とともにどのように変化したか?
2017年の39,773件の銃による死亡者数は,CDCがオンラインデータを取得した最初の年である,少なくとも1968年以来,最も多くなった。
これは,1993年の前のピーク年に記録された39,595人の銃による死亡よりわずかに多かった。
銃殺人と自殺者の両方が近年増加している:銃殺人の数は2014年から2017年の間に32%増加し,銃の自殺者の数は2006年から2017年の間で毎年増加した(全体で41%増加)。
Gun suicides reached their highest recorded level in 2017.
銃の自殺は,2017年に最高記録レベルに達した。
しかし,銃殺人の数は,1993年に18,253人の銃殺人のピークをはるかに下回ったままだったが,,米国の全体的な暴力犯罪レベルが現在よりもはるかに高かった
米国の銃による死亡率は時間とともにどのように変化したか?
2017年に米国で銃による死亡者の合計が最も多くなっているが,この統計では,人口の増加を考慮していない。
人口当たりでは,2017年には100,000人あたり12人の銃死者が発生した。これは この20年以上で最も高い率だが,CDCのオンライン・データベースでは1974年の100,000人あたり16.3人が銃死者数の最高である。
米国の銃殺人と銃の自殺率は両方とも,1970年代半ばよりも今日は低い。
2017年には10万人あたり 4.6人の銃殺人で,1974年に記録された100,000人あたり7.2人をはるかに下回っている。
そして,銃の自殺率 2017年の100,000人あたり6.9人は,1977年に測定した100,000人あたり7.7人を下回っていた。
Which states have the highest and lowest gun death rates in the U.S.?
米国で銃の死亡率が最も高い州と最も低い州はどこか?
銃による死亡者の割合は州によって大きく異なる。
2017年に,銃に関連した死亡率が最も高い州(殺人,自殺,およびCDCによって追跡される他のすべてのカテゴリをカウント)は,アラスカ(10万人あたり24.5人),アラバマ(22.9人),モンタナ(22.5人),ルイジアナ(21.7人 ),ミズーリ州とミシシッピ州(両方21.5人),およびアーカンソー州(20.3人)。
人数の少ない州は,ニュージャージー(100,000人あたり5.3人),コネチカット(5.1人),ロードアイランド(3.9人),ニューヨークとマサチューセッツ(両方3.7人),ハワイ(2.5人)だった。
How does the gun death rate in the U.S. compare with other countries?
米国の銃による死亡率は他の国と比較してどうか?
米国の銃による死亡率は,他のほとんどの国,特に先進国よりもはるかに高い。
しかし,ワシントン大学の健康指標と評価研究所(the Institute for Health Metrics and Evaluation)の研究者による195の国と地域の研究によると,いくつかの中南米諸国の死亡率を まだはるかに下回っている。
米国の銃による死亡率は,CDCとはやや異なる方法を使用している調査の最新の年である2016年の100,000人あたり10.6人だった。 これは、カナダ(100,000人あたり2.1人)やオーストラリア(1.0人)などの諸国や,フランス(2.7人),ドイツ(0.9人),スペイン(0.6人)などのヨーロッパ諸国よりもはるかに高くなっている。 しかし,米国の死亡率は,エルサルバドル(100,000人あたり39.2人),ベネズエラ(38.7人),グアテマラ(32.3人),コロンビア(25.9人),ホンジュラス(22.5人)よりもはるかに低かったことが,調査で判明した。 全体として,米国は銃による死亡率で20位にランクされている。
How many people are killed in mass shootings in the U.S. every year?
アメリカでは毎年 何人が銃乱射(mass shooting)で殺されているか?
これは,“mass shooting”という用語の単一の合意された定義がないため,答えるのが難しい質問である。
定義は,犠牲者の数や射撃の状況などの要因によって異なる。
FBIは,「アクティブな射撃手事件(active shooter incidents)」に関するデータを収集している。これは,「人口密集地域(populated area)での殺害または殺害の試みに積極的に関与している1人以上の個人」と定義されている。
FBIの定義を使用すると,2018年に,射撃者を除く85人がこのような事件で死亡した
米国の銃による暴力事件のオンライン・データベースである “Gun Violence Archive” は,銃乱射事件を,射撃者を除く4人以上が負傷 あるいは 殺された事件と定義している。
この定義を使用すると,2018年にこれらの事件で373人が死亡した。
使用されている定義に関係なく,米国での集団射撃事件の死亡者は,毎年全国的に発生するすべての銃殺人のごく一部を占めている。
How has the number of mass shootings in the U.S. changed over time?
米国での銃乱射の数は,時間の経過とともにどのように変化してきたか?
正確な数の銃乱射による死亡者数を明確にするのが困難になるという定義上の問題は,時間をかけて米国の銃乱射の頻度を決定しようとするときに発生する。
The unpredictability of these incidents also complicates matters: As Rand Corp. noted in a 2018 research brief, “Chance variability in the annual number of mass shooting incidents makes it challenging to discern a clear trend, and trend estimates will be sensitive to outliers and to the time frame chosen for analysis.”
これらの事件の予測不能性(unpredictability)も問題を複雑にする。ランド社(Rand Corp.) が2018年の調査概要で述べたように,「大規模な銃撃事件の年間数の偶然性の変わりやすさは,はっきりした傾向を認めることを難しくし,そして,傾向予想は 部外者と分析のために選ばれる時間枠まで敏感だ。」
FBIは,2000年から2013年の間に 能動的射撃事件の増加を見出している。
事件の平均件数は,研究の最初の7年間の年間6.4から,次の7年間の年間平均16.4に増加した。
その後の研究では,FBIは2014年と2015年に年間20件の能動的射撃事件(active shooter incidents)を記録し,その後 2016年に20件,2017年に30件,2018年に27件を記録した。
Which types of firearms are most commonly used in gun murders in the U.S.?
アメリカの銃殺人で最も一般的に使用されている銃器のタイプは?
FBIによると,2017年には,10,982件の米国の銃殺人とデータが入手可能な非過失過失致死者の大半(64%)に拳銃(handgun)が関与していた。「突撃銃(assault weapons」と呼ばれることもある多くの銃を含むカテゴリは,4% に関与していた。
散弾銃は2%に関与していた。残りの銃殺人と非過失致死者(30%)には,「他の銃または記載されていないタイプ」として分類された銃器が含まれていた。
FBIの統計は,毎年米国内のすべての銃殺人に関する詳細を把握しているわけではないことに注意することが重要である。
FBIのデータは州および地方の警察署から提出された情報に基づいており,すべての機関が毎年参加または完全な情報を提供しているわけではない。2017年に,FBIにデータを提出している法執行機関(law enforcement agencies)は,10のうち9である。
(転載了)
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「銃乱射事件は 銃があることが原因ではなく 銃を保有している人間に原因がある」と トランプさんは言っているようで,銃の販売を規制するような方針でしょうが,結局のところ 銃の数を減らすことしか効果的な対策はないでしょう。
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