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2019年9月10日 (火)

韓国の自動車運搬船が転覆,原因は?

 Golden-ray米ジョージア州の大西洋沿岸の港近くで,現代自動車グループの物流会社 『現代グロービス』所属の自動車専用運搬船(PCC:Pure Car Carrier)が傾き,韓国人船員4人が機関室に閉じ込められる事故が発生した。
 ・・・ 9月8日(現地時間)午前2時ごろ,米ジョージア州ブランズウィック港から1.6キロメートル離れた海上で,現代グロービス所属の自動車運搬船「ゴールデンレイ号」が左に80度ほど傾いた。事故が起きた海域は水深が11メートル前後だ。
 ・・・
 2017年に建造されたマーシャル諸島船籍のゴールデンレイ号は現代グロービス所属の自動車運搬船で,総トン数7万1178トン,全長199.9メートル,全幅35.4メートルで,自動車約7400台を積載することができる。事故当時は複数の車種の車約4000台を載せて中東地域に移動中だった。現代グロービス側は『ブランズウィック港の内港から外港へと現地の水先案内人によって運航中に船体が横に傾いた』と話している。との報道がありました。

原因は まだ明らかにされていません,9日時点で 4人が機関室に閉じ込められているとのことです。

自動車運搬船の転覆事故と言えば 2006年,アリューシャン列島付近で転覆した(傾斜 60度),マツダ製4,703台(MAZDA3(日本名アクセラ)・CX-7):4,703台,いすゞ エルフ:110台積載の,商船三井の自動車運搬船「クーガー・エース」の転覆事故を思い出します。

Cooger-ace

Cooger-ace-01

自動車(専用)運搬船は 積荷(自動車)の重量の割にヴォリュームが大きく,喫水線上の構造が高い(満載状態で,喫水線からトップ・デッキまでの高さが 通常の貨物船の喫水線から上甲板までの深さの 2~3倍あって,風や波の影響を受けやすい,かつ重心が高い,従って転覆しやすい(?)形状をした船と言えます。

「クーガー・エース」の転覆原因は 「事故発生時に本船はバラスト水の調整作業中だったが,その過程で誤ってバラストタンク内の海水を排出し過ぎたため復原力が不足した状態となり,折からの強いうねりにあおられ一気に横転したものとされた。Wikipedia に示されています。 

バラスト水は 通常,貨物を降ろして軽くなった船体を沈め,復元性を保つため,貨物を降ろした港で積み,次の貨物を積む港で排水します。
すなわち 海水が その中にある海生生物などと共に国境を越えて運ばれ排水されるので 生態系に影響を及ぼす恐れがあります。
生態系の破壊とは言えませんが 東京湾の「ホンビノス貝」は その卵(?)がバラスト水に混ざって アメリカ近海から運ばれたと考えられています。

現在は,国際条約である「バラスト水管理条約*」が, 2004年2月、国際海事機関(IMO)で採択され,2016年9月8日にフィンランドが批准したことで,発効要件である批准国30国以上,かつ商船船腹35%以上を満足して その1年後,2017年9月8日に発効され,バラスト水を勝手に排水することができなくなっています。
   *正式名称:「船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約」(International Convention for the Control and Management of Ships' Ballast Water and Sediments, 2004

そのため,現在の船舶には 「バラスト水処理装置」が搭載され,機械的,物理的 あるいは 化学的に生物を処理したバラスト水を排水します。
この装置が無い場合,バラスト水を 入港国に入らない外洋で積み替える必要があります。これは 決められた海域で 例えばバラスト・ポンプで海水をバラスト・タンクに押し込み,積んできたバラスト水をオーバーフローさせて置換したり(オーバーフロー方式,タンク容量の3倍の量を注水),タンク毎に順番に空にして注水する方法(シーケンシャル方式)で行います。

米国は 早くからバラスト水汚染に厳しく,米国に入港する船のバラスト水を積み替える要求をしていました。

「クーガー・エース」の場合,米国海域に入る前のアルーシャン列島で,「シーケンシャル方式」でバラスト水の置換を行っていたと思われ,この際,シーケンスを誤って,重心位置が高くなり,不安定状態になった可能性があります。

この事故は 米国の電子版ニュースでも報じられ,その記事に対して 「マツダの新車が中古車の値段で買えるぞ! Zoom-Zoom」というコメントが付けられていたのを覚えています。

実際,無傷の車が多数あったようですが,縁起が悪いと 全て廃車にされたとのことです。

今回の韓国船「ゴールデンレイ」の場合,荒天の話はなく,かと言って,いくら韓国の船とは言え,2014年に大事故を起こして沈没したフェリー「セウォル号」のように 積載車のラッシング不充分(荷崩れ),何よりも 転覆して当然の重心で運航していたということはないでしょうね。
出港して直ぐの事故のようなので,不安定状態の重心で舵を切って転覆(セウォル号と同じ)の可能性は否定できないでしょう。

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