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2020年4月15日 (水)

2019年 軍事費,米国が差を広げる。

英国の Think TankIISS (The International Institute for Strategic Studies国際戦略研究所)のMilitary Balance BlogFeb.14, 2020けで 元防衛経済学および調達研究員 (Former Research Fellow for Defence Economics and Procurement)による “Global defence spending: the United States widens the gap” (世界の防衛費支出:米国が格差を拡大)が発表されていました。

下記,拙訳して 転載します。

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2019年,米国は,圧倒的に世界最大の防衛費支出国であり続け,2番目に大きい支出国である中国との間のギャップを広げた。武器調達(weapons procurement)と研究開発(R&D)だけの米国の投資(investments)は,中国の総防衛予算よりも大きかった。又,武器調達と研究開発への米国の防衛投資(defence investments)は,欧州諸国の合計の約4倍だった。

IISSのデータは,2019年は,米国,中国,サウジアラビア,ロシア,インドが世界の防衛支出のトップとしての地位を維持したことを示している。実際,トップ15内での唯一の動きは,イタリアとオーストラリアの入れ替えで,イタリアが12位,オーストラリアが13位だった(Fig.1 参照)。トップ15に変化が見られないことは、米国が支出の優位性(spending dominance)を再表現したという興味深い根本的な(underlying)傾向を反映している。2019年の世界の国防費は,2018年の数値と比較して実質で4.0%増加したが,米国の支出は6.6%増加した。
中国の支出も2018年のデータと比較して6.6%増加したが,2国の防衛支出の軌道(trajectory)は分かれている。米国の予算増は10年間で最大であり,トランプ米大統領が就任して以来,支出は毎年(year-on-year) 増加している。中国でも依然として支出が増加しているが,北京の相対的な景気減速に伴い,成長のペースは鈍化している(decelerating in line)。

この軌跡の相違(divergence)は,2010年以降縮小していた2国間の支出ギャップが2018年以降再び増加したことを意味する(Fig.2 参照)。しかし,2021年度の防衛支出の増加に限度を設けるワシントンの計画を踏まえると,この傾向が続くかどうかはまだ分からない。

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Fig.1 国防費:2019年の上位15(米$bn)

データを調べると,米国政府が世界的な防衛費支出の優位性を再主張している(reassertig)一方で,同盟国の防衛予算への財政援助を削減している。これは,外国軍事資金プログラム(Foreign Military Financing programmes)と欧州抑止イニシアチブ(the European Deterrence Initiative)への削減で最も顕著に例示されている(exemplified)。

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Fig.2 中国と米国:国防費の違い,2010–19

Trends in defence-investment spending
防衛投資支出の傾向

中国と米国は研究開発(RD)と調達(「防衛投資」(defence investments))にかなりの金額を費やしているが,おそらく当然のことながら,防衛に割り当てる金額の格差を考えると,米国は中国の3倍(米国 :2,100億ドルと中国:744億ドル(現在のドル)使っている。これは,2019年に,米国の国防投資(defence investments)だけで中国の総国防予算(total defence budget)を上回っていたことを意味する。一方,2020年のロシアの国防命令(Defence Order)は1,500兆ルーブル(217億米ドル)と発表された。これにより,ロシアは防衛投資支出において世界で3番目の地位を占めることになるが,その支出は米国の支出のほぼ10分の1である。

IISS Military Balance +オンラインデータベースへの防衛投資に関するデータは,米国がNATO同盟国よりも防衛予算のかなり高い比率を調達と研究開発に費やしたことも示している。欧州諸国は総支出の一部としての防衛費の割合を増やしている。利用可能なデータがある国では,資金は2018年の19.8から2019年の23.1に上昇した -が,同等のカテゴリーはで米国は 29% に達した。したがって、米国の防衛投資は、欧州諸国の合計の約4倍の価値に達していた。他の地域と同様に,ヨーロッパの小さな国では,総予算に対する投資の割合はかなり高いように見えるが,これは、限られた期間内で,1つの主要な買収(acquisition)により調達費用が大幅に増えることがあるためである。

中国は防衛投資への全体的な支出の面で米国に後れを取っているが,アジア地域を圧倒している。単独では,中国は2019年のアジアの国防投資のほぼ60%を占めた。地域の状況とすると,中国の投資の規模は,その数を含めると,2019年のアジアの総予算における防衛投資の平均シェアが30.9%に達したということになる。中国を除くと,この数字は23.4%に戻り,おおむねヨーロッパの数字と一致している。さらに、この比率は時間の経過に対してかなり一貫しており,アジアが「武力競争」(arms race)に参加するだろうという考えには落とし穴があった。これが事実である場合,装置の購入にますます重点が置かれるのを観察することになろう。それでも,韓国(2018年に31%2019年に32%),日本(2018年に17%2019年に22%),オーストラリア(2018年に20%2019年に24%)など,中国からの脅威の認識が高まっている一部の国では防衛投資が増加した。

全体として,世界の他の地域が国防費で成長しているにもかかわらず,米国は依然として他の国々(ライバルと同盟国の両方)ではるかに国防費で上回り,ペースを加速して大幅に前進している。関連して,米国の防衛調達と研究開発への大規模な投資は,世界の他の地域と比較して,依然として技術的および軍事的能力の進歩を提示している。

Methodology note
方法論ノート

IISS Military Balance +データベースは,アジア,ヨーロッパ,ラテンアメリカ,北米の4つの地域の防衛投資に関するデータを提供する。すべての国がこのカテゴリの支出に何を含める必要があるかについて同じように理解しているわけではないため,信頼できるだけでなく,国を超えて比較可能なデータを長期間にわたって取得することは困難である。たとえば,Military Balance +では,「防衛投資」は防衛調達と研究開発費を集計するが,一部の国では機器のメンテナンス用にも使う。公式データを公開していない国では,二次情報源を使用して推定値を生成する必要がある。

(転載了)
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米国の軍事費の大きさに驚きます。同盟国の援助を減少させようとする方針にも納得できます。
このデータにおける 米国と中国の物価の差が考慮されているかどうか,やや疑問です。

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