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2020年4月 4日 (土)

ダッフル・コートの “Gloverall” の名前は ‘glove’ と ‘overall’ から ー

Gentleman’s Gazette’ のサイトに “Duffle Coat History, Details & Buying Guide” (ダッフル・コートの歴史,ディーテイル,購入ガイド)のタイトル記事がありました。2017年に掲載されたものですが,「ダッフル・コート」に関する豊富な記述は他では見たことがないレベルの内容です。

拙訳して転載します。

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今回は ダッフル・コートを詳しく見ていく。その歴史,詳細,着方,最高のダッフルコートの購入方法の概要を説明する。

Duffle Coat History
ダッフル・コートの歴史

トレンチ・コートと同じように,今日のダッフル・コートにはさまざまなバリエーションがあり,すべてが気持ち良く着用できるが,起源と,特徴的なフードとトグル・ボタンがどのような経緯で現在の形になったかを知ることは興味深い。特に,ダッフル・コートは,今日のクラシックな紳士のワードローブで,フードを備えた唯一のコートである。同様のフードは,キリスト教の初期の修道士(monk)の習慣に由来するメンズウェアで,長い間使用されていたが,今日知られているフード付きダッフル・コートは19世紀に遡る。

Belgian Origins of the Term ‘Duffel’
ベルギー語起源の「ダッフル」という言葉

ダッフルの起源に関する最も一般的な通説は,このコートがベルギーの遺産(heritage)であるということである。ベルギーのアントワープにあるダッフルの町は,15世紀に,布地をヨーロッパ全体に輸出した布地の町として知られていた。「ダッフル」生地自体は黒く粗いウール生地で,ダッフル・コートは実際に その名にちなんで名付けられた。ただし,ダッフル・コート自体は,ダッフルの町では製造されておらず,ダッフル・ファブリックからも製造されていない。

Anglo-Saxon Heritage
アングロ・サクソン遺産

多くの人が,我々が今日知っているダッフル・コートを作るためにベルギー語を借りたと主張するが,イギリス軍,特にサー・バーナード “モンティ” モンゴメリーと, SASを創設したサー・デビッド・スターリングがこの衣服を第二次世界大戦中に普及させたのに間違いない。このトグル・ファスニングのオーバーコートの英国起源は1887年まで遡ることができる。当時,英国のアウターウェアの御用達業者(purveyor)であるジョン・パートリッジは,ダッフルコートのデザインと販売を開始した。当時の外観は,今日のとはまったく異なっていたが,すでに特徴的な木製のトグルが採用されていた。コートは短く,非常にゆったりとしたカットで,わずかに角度のついたトグルの前開きを止めていて,ビンテージのバイク・ジャケットに似ている。

数年後、英国海軍は耐摩耗性のある水兵用コートを探していて,英国海軍本部(the British Admiralty)はダッフル・コートを採用した。これは大成功となって、その後世界中の軍艦で着られるようになった。

Polish Ancestors
ポーランドの原型

ジョン・パートリッジが英国のダッフル・コートをデザインしたにもかかわらず,彼は明らかにポーランドの「フロック」コートに触発された。それは 1820年頃に最初に導入され,1850年代にヨーロッパ大陸で人気を博した。現代のダッフル・コートと同様に,フードと水平のトグル止め(toggle closure)で仕立てられた。もちろん,当時のポケットはコートの一部ではなく,英国海軍のかさばるカットよりもぴったりと着用されていたが,それでも大きな類似点がある。トグル止めは,過去200年間,メンズウェアでめったに使用されてなかった。

The Peak
絶頂期

ダッフル・コートは,おそらく1950年代から1960年代に いくつかの理由により 大きな人気を博した。まず第一に,陸軍元帥(Field Marshal)モンゴメリーが,第二次世界大戦中に特徴的な外観の定着を促し,ダッフルは今日では英国のモンティとしても知られている。そのため,彼が蝋人形にさえされたのは当然のことで,もちろん,モンティのコートを着ている。また,デビッド・スターリング大佐は このコートがとても好きで,砂漠でも着ていた!
戦後,軍は余剰のダッフル・コートを一般に放出し,芸術家,学生,知識人はそれらを着用した。ジャン・コクトーは彼自身のバージョンを白で大衆化した。結果として,母親は子供たちに着せ,レインコートはダッフル・カットを採用し,オランダの男性ファッション誌 SIRは 「モンティ・コートよ永遠に」(The Monty-Coat Forever)というタイトルの記事を掲載した。

書籍 “Men's Fashion History” の著者であるファリド・シェノウヌ(Farid Chenoune)は,元海軍のセーター,大学のマフラー,コーデュロイのズボンと一緒に着用されることが多かったと述べているが,私はその時代に見た多くの写真に基づいて,あらゆる種類の服装,スーツ,さらにはタキシードまでに合わせて着られたと断言できる。ダッフル・コートが人気のピークに達した後,再び同じレベルの人気に近づくことはなかった。今日,多くの場合,本物とはほど遠いオリジナルのファッション解釈のモデルであるにしても,あなたは街で 依然ダッフル・コートを見ることができる。

Duffle Coat Details & Characteristics
ダッフル・コートのディーテイルと特徴

20世紀以来,ダッフル・コートは厚手の粗いウールの生地(heavy, coarse woolen fabric)で作られている。フード付きの余裕のある(roomy)ボックスカット,正方形のショルダーヨーク,大きな貼り付け(patch)ポケット,麻ロープと木製のトグルク止めが特徴である。

The Fabric
生地

The Original
オリジナル

前述のように,このコートの名前は,間接的にではあるが,ベルギーの都市ダッフルと,そこで生産された粗くて重いリネンとウールの生地から付けられた。サイドノートとして,これはオリジナルのダッフル・バッグに使用される生地でもある。コートにはその名前が付いているが,ダッフル・コートの生産には実際に その生地は使用されてない。代わりに,同様に重い,1平方ヤードあたり34oz1平方メートルあたり1050グラム)の,ツイル構造(サージに似た)の両面ボイル・ウール布を使用した。1900年の時点で,英国海軍本部はウールを含むすべての布地が 英国製であることを要求していたため,国産の布のみを使用していた。

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軍用ダッフル・コートの元の色はキャメル・ベージュだったが,20世紀初頭にはカーキ色と茶色が使用された。しかし,ネイビーは30年代まで使われなかった。50年代には,ネイビー・ブルーやその他の色が一般に普及し,今日では,赤,レーシング・グリーン,オリーブ・グリーン,グレー,淡黄褐色(faun),黄色,白色など,ほぼすべての色を見ることができる。モンティの写真を見ると,コートにはカセンティーノ(Casentino)の布に似た厚いケバ(nap)があることがわかる。これは,新しいダッフル・コートでもあるようで,ウール素材の経年によってもたらされるものと考えられる。

Loden
ローデン

1950年,英国人のハロルド・モリス(Harald Morris)と彼の妻フレダ(Freda)は,すでにブルーカラー労働者のために手袋とつなぎ(オーバーオール)を作っていたが,海軍から いくらかのダッフル・コートとともに,余っていたダッフル・コートの生地を購入し,労働者のためにそれらを再製作した。しかし,需要が急減する(plummet)と,彼らは消費者市場に再び焦点を当て,大きな成功を収めて,“Gloverall” としてよく知られるようになった。この名前は,手袋(glove)とオーバーオール(overall)が融合(amalgamation)したものである。元の生地の代わりに,34ozのチロリアン・ローデン生地(Tyrolean Loden fabric)を使用した。ローデンは,織られたベースを後でフェルトに成型し,耐摩耗性があって撥水仕上げの布なので,屋外で使用するのに最適な生地である。

Other Fabrics

その他の生地

50年代および60年代に人気が高まったため,ダッフル・コートにはさまざまな生地が使用された。当時,合成繊維は最先端であったため,ナイロン・ウールや 伝統的なラクダの毛,ツイード,ギャバジン,さらにはポプリンに加えたローデン・ブレンドが見つかる。

Details

The Cut

海軍のダッフルコートの初期には,衣服はかなり質素(spartan)だった。古い写真を見ると,これらのコートのサイズがどれほど巨大(overwhelming)だったかがわかる。特に,小さな水兵は,このような巨大な衣服で少し見えなくなったようだった。導入の時点で,乗組員はまだリグを登らなければならなかったので,コートの中で動けるようにする必要があって広くカットした。しかし,同時に,非常に多くの開いた穴で体を暖かく保つことは困難だったので,一部の水兵はダッフル・コートをロープで体に縛ったり,顔にフィットするようにフードの内側にコードを追加してタイトにしたりすることができた。担当の提督がコートに関するフィードバックを受け取った後,いくつかの設計変更が行われた。ダッフルはより細くカットされ,正面に沿って真っ直ぐな縫い目が大きく重なり合った。肩は布の別の層で補強され,調整用のスタッドがフードに取り付けられ,水兵はそれによってフードの大きさを選ぶことができた。 全体として,今日の形に近づいた。コートの長さに関して,元のダッフル・コートはかなり短く,ピーコートとほぼ同じ長さだった。 第二次世界大戦中,長さは膝の長さ以上に伸び,今日ではほとんどのコートがその中間のどこかにあることがわかる。

Cord & Toggle
コードとトグル

トグルは おそらく ダッフル・コートの最も特徴的デザインである。もともと,麻のコードは木製のトグルと組み合わせて使用されていた。グローバーオールは,1954年にそれらをより洗練された外観の角のトグルと革のコードに置き換えた。今日,ほとんどのトグルはプラスチックで作られている。当初,イギリス海軍は3つのトグルを好んでいたが,後に4つ目のトグルが追加された。 純粋主義者は4つで行きたいかも知れないが,結局のところ,それは問題ではない。トグルはボタンよりも手袋で閉じる時に簡単だということをよく読む。 私の経験では,逆のことが当てはまり,トグルは独特の外観のためにある。

Collar Bar
カラー・バー

トレンチコートと同様に,ダッフル・コートには襟の下にバーがあり,2つのボタンで閉じられているため,首が風雨から保護される。

Shoulder Pads
ショルダー・パッド

肩には布の二重で貼られ,これは水をはじくのに役立ち,肩で物を運ぶことによる肩の早期摩耗を防ぐ。。

Patch Pockets
パッチ・ポケット

ダッフル・コートには,外側に2つの目立つパッチポケットがある。 オリジナルの海軍ダッフル・コートはおそらくフラップはなかったが,フラップのあるものがある。

Lining
ライニング

古いダッフルには裏地がなかったが,1954年に,Gloverallはチェックの裏地をコートに追加し,最近ではいくつかの会社が裏地にユニオンジャックを使用しているようである。 純粋主義者は Monty のように裏地なしとすべきとし,裏地をスキップする。興味深いことに,オリジナルのモンティ・コートは,コートの内側に太もも用ストラップが付いていて,足にコートを留めることができた。(管理者注:現在も Montyには ‘Leg Strap’ がある。)

When to Wear & How to Combine a Duffle Coat
いつ,どのようにダッフル・コートと組み合わせるか

伝統的に,ダッフル・コートは制服の上に着用されていたが,今日でも,他のオーバーコートよりも少しゆとりがある。50年代にはさまざまなスーツやスポーツコートの衣装と組み合わされたが,極細のウースデッドよりも,ツイード,ソーンプルーフ,サクソニーなどのカジュアルな服装により適している。言うまでもなく,ジャン・コクトーのように,このコートを普遍的なオーバーコートとみなさない限り,タキシードと合わせないでほしい。

また,ジーンズ,チノパン,コーデュロイ,テニスセーター,その他の厚手のニットウェアともよく合う。履物に関しては,ブーツまたはブローグが,プレーン・トウのオックスフォードよりも合っており,多くの人々はそれをスニーカーと組み合わせている。赤や黄色などの濃い色のダッフル・コートを購入する場合は,既に大胆な色を使っているので,残りの服のトーンを下げるようにするのがいい。全体的に,私はカジュアルなすべてのものにそれを勧めるが,ビジネスや夜に関連するものには不適切だと考える。

Where & How to Buy Duffle Coats?
どこで,どのようにダッフル・コートを買うか?

その存在の上に,何百万ものダッフル・コートが生産されてきた。そして,まだ多くのメーカーがダッフル・コートまたはその独自のスピンを提供している。あなたにとって,それは,ビンテージ,新しいデザイン,そしてオーダーメイド(bespoke)の間で幅広い選択肢があることを意味する。しかし同時に,これは多くの選択肢がありすぎることを意味する。次のセクションでは,あなたにぴったりのダッフル・コートを見つける手助けをしたい。

Used & Vintage Duffle Coats
ユーズド と ビンテージのダッフル・コート

様々な状態の 本物の第二次世界大戦時のダッフル・コートを見つけるのは難しい。時々£10100eBayに現れるが,英国からの発送はかなり高価である。もちろん,ロンドンのビンテージ・メンズウェアのような地元の店でダッフル・コートを見つけることもできるが,これは例外である。ありがたいことに,より広い選択により,サイジングに関するオンラインショッピングのリスクが軽減される。また,次から次に 多くのビンテージのウェブ・サイトを試すことができる。しかし,かつて作られた最小のサイズが “1”だったことを 常に覚えておいてほしい。250ポンド,62” の男が それに合わせようとしているのを見たことがある。あなたが本当に本物が欲しい場合にのみ,第二次世界大戦モノにアプローチすべきである。さもなければ,大きすぎることもある。

New Duffle Coats
新しいダッフル・コート

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新しいダッフルコートに関しては,メーカーの選択肢はほぼ無限にあるが,実際に提供できるものばかりではない。大戦モデルに 生地とディテールに関して最も近い模倣は,モンティ(Monty)と呼ばれるGloverallの製品で,現在の価格は £325である。彼らはそれがオリジナルであると主張しているが,彼らが90%のウールと10%PA(ポリアミド - ナイロン)ブレンドを使用しているという事実は,それが本物とは違っていることを証明している。生地はイタリア製であり,かつての 34ozの重さではない。Gloverall社は,海軍のダッフルコート採用開始(inception)から1951年まで設立されてなかったにもかかわらず,モンティを「オリジナル」のダッフルコートとして販売したいようだ。このマーケティング違反(transgression)を見逃して,10%ナイロンと一緒に生活できる場合,それはオリジナルに最も近いものであり,本物のコートよりもフィットするサイズで提供される。

オリジナルのコートを作っていると主張しているもう1つのメーカーは,オリジナル・モンゴメリー(Original Montgomery)で,元帥が英国に与えた影響をもう一度示している。彼らのウェブサイトによると,彼らは1890年代から英国海軍のダッフル・コートを製造しており,今でも英国で彼らの代表的な(signature)製品を製造している。彼らの製品はより安く(約£170),その見返りに30%のポリエステルが得られる。 私の場合,それだけで買わない理由になるが,あなたの予算が限られているなら,値段に合ったものと言える。

100% ローデン・ダッフル・コートを提供するもう1つのメーカーは,オーストリアのシュナイダーズ・ザルツブルク(Schneiders Salzburg)である。米国では容易に入手できないが,ヨーロッパでは,男性服飾品店(haberdasheries)で広く入手可能である。フラップ付きのダッフル・コートがほしい場合,LL Beanはウールの18oz スバージョンを提供している。ドイツに住んでいる場合,このクラシックな製品をさまざまな色で長年にわたって提供してきた,ハンブルクの ‘Ladage & Oelke’ を検討すべきだろう。

絶対的な真正性(authenticity)に関心がない場合は,ダッフル・コートのデザインをアレンジしたメーカーが多数ある。それらには,実際には昔,本物を扱っていた「アーノルド・ブルック」(Harnold Brook)が含まれているが,最近イタリアの会社に引き継がれたようである。

Headporter Plus’ のような日本企業は,そのバージョンを提供している。ファッションを先取りしている,コム・デ・ギャルソン(Comme des Garcons)は現在,渡辺淳弥によるバーシティ・ダッフル・コートを約1000ユーロで販売している。個人的には,緑,赤,黄色などの鮮やかな色の,より古典的なカットに固執しているが,それぞれ独自のカットである。

Bespoke
別誂え

最後に大事なことを言い忘れていたが,あなたには 常にオーダー・メイドをするオプションがある。すべてのオーダーメイドのテーラーがあなたに作ることができるはずだが,多くは特定の詳細に精通していない可能性があり,研究の時間が不足しているため,彼らはプロジェクトを辞退する可能性がある。サヴィル・ロウ(Savile Row)でも,ダッフル。コートは標準ではなく,リチャード・アンダーソンがさまざまな色の21oz ウール・メルトン・クロスから作られたダッフル・コートのカスタム・プログラムを開発したようである。もちろん,オーダー・メイドの衣服は,既成の(off the rack)標準的なダッフル・コートよりもかなり高価になるが,フィット感も優れているはずで,好みの生地で独自の衣服を作ることができる-多分,あなたは特別な34oz ローデン生地や本物のダッフルでさえ見つけることができる -それが「何か」だろうか?

多くのクラッシックなファッションのものと同様に,ダッフル・コートなどの衣服は,長年着用することを予見できれば,投資する価値はある。

(転載了)
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Gloverall” は 元々 「作業用手袋 “Glove” 」と 作業用つなぎ 「“Overall” 」を作っていた会社が 二つの名前を合わせて社名にしたとのことでした。

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