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2020年4月 2日 (木)

“Clarks” の “Desert Boot” に その価値はあるのか?

GENTLEMAN’S GAZETTE’ サイト,June 1,2018付けに “Is It Worth It: Iconic Clarks Desert Boot” (クラークスの「デザート・ブーツ」)に その価値はあるのか)のタイトル記事がありました。

クラークスの「デザート・ブーツ」を 50年近く,絶えることなく履き続けてきた身としては 見逃すわけにはいきません。

下記,拙訳・転載します。

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このガイドでは、クラークスのデザート・ブーツに関し,その歴史,スタイルや構造,さまざまな素材,そしてお金に見合う価値があるかどうかについて議論する。

The History of Clarks Desert Boots
クラークスのデザート・ブーツの歴史

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1941年,創業者 ジェームズ・クラーク(James Clark)の孫のネイサン・クラーク(Nathan Clark)は,タイ北部,ミャンマーのビルマに派遣された。
(管理者 注:「タイ北部のミャンマーのビルマ」の記述は原文通り。正しい表現か,やや気になる。)彼が出発する前,家族は新しい靴モデルや彼らの会社にとって有益になる可能性があるものに目を光らせておくよう要求していた。

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渡航中 ネイサンは,役人が着用していたクレープ・ソールを備えた非常に単純な(simplistic)チャッカ・ブーツ(chukka boots)を見つけた。彼が尋ねて,それらのほとんどがエジプトのカイロのバザール(bazaar)からのものだと知った。彼はそのシンプルなブーツにすぐに魅了され,その革新的な新しいソールは伝統的な紳士靴にはなかったので,会社にとって素晴らしいアイデアになると確信した。

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彼は会社が採用することを期待してスケッチを家に送った。デザート・ブーツは,スエードのアッパーとクレープのソール(crepe soles)がエレガントな紳士ではなく,下層階級に結びつくであるという意味で幾分 革命的だった。ネイサンは実に熱心だったが,役員会は決して売れないと考えていた。

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ネイサンは彼のアイデアを固め,自信を持って,1949年に海を渡ってシカゴのシューズ・ショーにデザート・ブーツを展示した。そこで彼は,影響力のある雑誌編集者や一般の人々に見せることができ,彼らの気に入られた。それは,その時までは見られなかった,よりカジュアルなブーツの新しい形だった。すべての肯定的なフィードバックと励ましで,彼は英国に戻り,米国に限って販売する最初のデザート・ブーツを生産した。

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1950年,オリジナルのブーツは上の写真とほぼ同様だった。それは彼が,現在も存在するスエード・レザー専門の英国のなめし工場(tannery)のチャールズ・F・ステッド(Charles F Stead)から手に入れた砂色のスエード(sand colored suede)だった。彼はエジプトの砂によく似ていたので、砂の色を選び,デザート・ブーツという名前は本当に理にかなっており,同時にデザート・ブーツは砂漠の起源を意味していた。

米国で,これは成功したブーツとなり,その結果,英国でも販売されることになった。デザート・ブーツは60年代と70年代にポップ・カルチャーで人気を博し,スティーブ・マックイーンやボブ・ディランなどの有名な映画スターなどに着用され,ビートルズでさえも着用していた。オリジナルのデザート・ブーツは英国の革を素材として英国で作られていたが,現在はイタリアで作られている少しを除いて,ほとんどがアジアで作られている。そうは言っても,デザート・ブーツは,クラークスのラインアップ全体で最も象徴的で,最も売れている靴である。

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Are Clarks Desert Boots Worth It?
クラークスのデザート・ブーツは価値があるか?

まず,今日の市場には 3つのバージョンが存在する。皮肉なことに,それらはすべて “original” とよばれている。最初に,130ドルの,クレープ・ソールを備えたスエード・レザーのオリジナルがある。これは,アッパーにワックス・レザーを使用する他のオリジナルのスエード・ブーツと同じように,ベトナムで作られている。素晴らしいプルアップ効果(pull-up effect)があるが,オリジナルではない。
(管理者 注:‘oil pull-up leather’ は,‘oil leather’ よりもさらに多くオイルを染み込ませた革で,指で押したり曲げたりすると,オイルが繊維の間を移動して表面の色が変わる。これを “oilpull-up effect”と言う。) 私の意見では,190ドルで,クレープ・ソールとオリジナルのブーツを作ったのと同じ皮なめし工場であるCharles F Steadの,英国のスエード・レザーを使用したイタリア製のオリジナルのクラークスのデザート・ブーツを手に入れることができる。

$190 Clarks Desert Boot vs $130 Version
190ドル クラークスのデザート・ブーツ 対 130ドル バージョン

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おそらく,高価なバージョンは,より耐久性があり(hard-wearing)豪華である。革は非常に素晴らしく,柔らかくしなやかなスエード革で,内側にはテクスチャーのようなスコッチ・グレイン(scotch grain)を見つけることができると言わざるを得ない。スエードは普通に見る革を裏返しにしたものである。一方,安価なバージョンは両面がスエードのような質感になっている。つまり,革の滑らかな外側が研磨されており,全体として 190ドルのブーツは明らかに優れた革を持っている。

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Leather Differences
革の違い

チャールズ・F・ステッドの革を使った他の靴を持っていたが,とても丈夫で とてもいい革だった。 クラークスのブーツは,柔らかくしすぎないように良い仕事をしていると思う。私はアレン・エドモンズ(Allen Edmonds)のステッド・レザー(stead leather)を使用したブーツを持っている。これは非常に柔らかく履き心地がいいのだが,同時に形を保てない。もちろん、製造国は異なる。
ベトナムは英国とイタリアの伝統を好むと同時に,人件費ははるかに安く,消費者としてのあなたに引き継がれる(pass on to)。

Made in Vietnam vs Made in Italy
ベトナム製 対 イタリア製

結局のところ,彼らは 新しいスキルを学ぶことに熱心なベトナムの熟練労働者を抱えており,正しく教えられれば,少なくとも英国やイタリアで見られるものと同等の一貫した品質の製品を作ることができる。

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Construction – Very Similar
構造は 極めて同等

構造の面では,高価なブーツと安価なブーツは同じである。両方とも,ある種のステッチがあり,どちらも異なっているが,クレープ・ソールである:イタリア製のものは,クレープ・ソールの靴によく見られるテクスチャー加工されたクレープ・ソールだが,安価な 130ドル バージョンは,より滑らかなクレープ・ソールであり,間違いなく異なるクレープ・ソールである。

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個人的には,私は 190ドルのものを好む。しかし,イタリア製とベトナム製の違いはまったく分からない。
が,前述のように,革はかなり異なっている。ステッド・レザーは間違いなく最高であり,したがって、より高価な靴に使用されている。クラークスのデザート・ブーツのワックス・レザーはスエード・ブーツよりもかなり硬く,オリジナルはスエードだったので,個人的には常にスエードのデザート・ブーツを着用し,ワックス・レザーのブーツからは遠ざかっている。とはいえ,ワックス・レザーは見事なつや(patina)を生み出し,プルアップ効果があり,その上にあなたがつけるであろうあらゆる種類の傷が残る。

それらが好みであれば,間違いなく購入を検討する価値がある。

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Sewn Welt
ソーンウェルト(縁かがり)

ウェルトに関しては,イタリアのバージョンの方が,安価なバージョンよりもステッチ密度が高くなっている。(管理者 注:ウェルト(welt)とは,靴の周りを縁取るようにアッパーとアウトソール(本底)に縫い付ける,細い帯状の革のこと。)通常,グッドイヤー・ウェルト・シューズ(Goodyear welted shoe)では,ステッチ密度が高いほど品質が高くなるが,デザート・ブーツの場合,グッドイヤー・ウェルトではないため,日常生活では重要ではないと思う。

Both versions have two rows of eyelets
どちらも 靴ひものアイレットは2

安価なバージョンには金属リベット(鳩目)があり,イタリア・バージョンにはリベットがない。イタリア・バージョンの靴ひもはワックスド・コットンであるが,他方は普通のコットンまたはポリコットンで,わずかな違いがあることがわかる。ネイサン・クラークのオリジナル・デザート・ブーツは,ブーツにオレンジ色のコントラスト・ステッチが施されてる違いがあった。私が持っているブーツはどれも,実際にそのステッチを持っているものはなく,何故 それをオリジナルと呼ぶのか分からない。

明らかに,最新のスタイルを参照する必要がある。靴の内側には,前に説明したような裏地がなく,後部にわずかにパッドが入ったインソールがある。興味深いことに,イタリア製は そのことが強調されているのに対し,ベトナム製は強調されてない。

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Fit, Walkability, & Comfort
フィット,歩きやすさ,快適さ

私はそれらがすべて非常によく似ていると思う。全体的に大きな違いはない。

Sizing
サイジング

クラークスは,実寸通り(true-to-size)で,少し小さめと思う。私はUS 11又はUK 10を持っているが,時にはUK 10.5を着用しているので,それを覚えておいてほしい,そうでなければ,非常に平均的なフィット感を持っていると思う。踵が少し広くなっているが,私の踵は非常に細い。グッドイヤー・ウェルテッド・ドレスシューズを普段履いている場合,クラークスはかなり柔らかく感じる。あなたがスニーカー(trainers)を履きつけているなら,デザート・ブーツに慣れる必要があると思う。

The Final Verdict
最終判定

190ドルのバージョンは間違いなく品質面で勝っていると思う。 より良い革,より良いステッチ,より良いディテール,より良い靴ひも,そして間違いなくより良い革を使っている。価値の面では,これらのわずかな違いが 60ドルの差に値しないため,ベトナム製バージョンが勝っていると思う。この価格の差は,130ドルの低価格のほぼ50%に相当する。

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Are Clarks Desert Boots Worth It In General?
クラークスのデザート・ブーツは それだけの価値があるのか?

イエス。あなたのワードローブが一般的にカジュアルな方向に傾いている場合,これらのブーツのクレープ・ソールはカジュアルな外出にのみ適しているため,価値がある。また,冬用のブーツではないので,寒い季節にはまったく適していない。裏地がなく,革が1層しかないため,足がすぐに凍る。

あなたがデザート・ブーツの控えめな単純すぎるデザインを評価し,多くのデニム・ジーンズ(多分チノも)を履くなら。クラークスのデザート・ブーツは 価値があると思う。そして,あなたが,スーツ,あるいはドレス・パンツや他の種類のスラックスを履くならば,単純に形式に関して衝突するので デザート・ブーツはあなたのワードローブに明らかに適していない。

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What Color & Style Combination Should You Go For?
どの色とスタイルの組み合わせを選ぶべきか?

さて,オリジナルはクレープ・ソール付きのサンド・カラーのスエード・ブーツである。真正性(authenticity)に興味があるなら,それが,まず買うべきバージョンだと思う。もちろん,その明るい色調の革は汚れやすく,摩耗の兆候が非常に早く表れるので,必要に応じて暗い色おスエードとするのもいい。

個人的には,私は茶系の色に固執する。もう少し派手(flamboyant)になりたい場合は,青や他の大胆な色を使用できるが,最終的には,非常に特定のパンツや上着でしか着用できないため,ワードローブの柔軟性と多様性の点でかなり制限される。

クラークスのデザート・ブーツは,ドレスアップしたい場合は総合的に価値がないと思う。その場合,革のソールを使用すると、より良い靴音がし,シンプルにエレガントになる。個人的には,私はクラークスのデザート・ブーツの大ファンではない。非常に円熟した退屈さがあり(round boring),少し不格好(clunky)と思っている。

だから私にとっては,より好きな他のチャッカ・ブーツを持っているという単純な理由で,クラークスのデザート・ブーツは投資に値するとは思わない。チャッカ・ブーツをまったく持っていなかったとしたら,優れた革にと言う理由で イタリア製の190ドルのバージョンを選ぶと思う。

Where To Buy Clarks Desert Boots?
どこで クラークスのデザート・ブーツを買うべきか?

アマゾンのような場所を含む多くの小売店でそれらを見つけることができるが,最大の品ぞろえ(そして時にはより高い価格)については,クラークスのウェブサイトをチェックしてください。

(転載了)
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私が持っているのはベトナム製です。イタリア製を見たことはありません。
因みに 靴ひもの穴には 鳩目金具が付いいます。(上右)
ところが “Desert London” (上左)には 鳩目金具が付いていません。

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上は 2009年に,オリジナル発売 60周年記念として,1949年の製造に使われたスェードと オレンジ色のステッチ糸を復元して発売された “Desert Boot” です。オレンジ色のステッチは 1949年のシカゴのシューズ・ショーに展示された製品には間違いなくあったようです。大事に履いています。

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