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2020年5月10日 (日)

COVID-19 の政府債務への影響が気になってー

‘Pew Research Center’ の ‘FACTTANK’ ,Apr. 29, 2020付けで Coronavirus downturn likely to add to high government debt in some countries” (コロナウイルスによる経済低迷により,一部の国では政府債務が増加する可能性)という記事がありました。

経済の低迷によるGDPの減少,国民・企業への救済金支出の相乗影響により 政府債務の対GDP比率の増大の可能性を述べています。

以下,拙訳・転載します。

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公衆衛生への影響に加えて,コロナウイルスのパンデミックは,世界中の政府債務(government debt)の増加につながる可能性がある。米国,ヨーロッパ,その他の国の政府が被害を抑えるための緊急救援措置に数兆ドルを費やしているにもかかわらず,世界経済は今年3% 縮小すると予測され,税収の減少をもたらす可能性がある。

一部の政府にとって,COVID-19救済で発生した債務は,パンデミックが到来する前の,既に赤字の元帳にかなりの赤字が加わることになる。201910月に国際通貨基金(IMF)が発表したデータによると,世界の最大の経済国の一部を含む数十ヶ国で,危機に至る以前の政府債務が国内総生産の大部分を占めたり,それを超えることもある。(この分析は,政府内債務を含む「政府債務総額」(gross government debt)に焦点を当てている。企業や個人が保有する民間債務は除外されている。)

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パンデミック発生前に政府債務がGDPを上回っていた,またはほぼ上回っていたのは日本だけではない。

2018年,各国の債務は イタリア:GDP132%,米国:104%,フランス:98%,カナダ:90%,イギリス:87% だった。日本とともに,これらの国はすべて,世界の主要な経済国のためのフォーラムであるG7の一部である。残りのG7であるドイツは,2018年の債務がGDP62% に留まった。

2018年に債務がGDPの比較的大きなシェアを占めた他の大国には,スペイン(97%),ブラジル(88%),アルゼンチン(86%)がある。

米国に次ぐ世界第2位の経済大国である中国では,2018年の債務がGDPの約半分(51%)を占めていた。中国は417日,GDP2020年の第1四半期に数十年ぶりに減少し,2019年の第1四半期から6.8%減少したと報告した。

Public debt was high by historical standards before COVID-19 outbreak
COVID-19の発生以前,公的債務は歴史的な基準でも高かった                      

IMFによる201912月の分析によると,コロナウイルスが発生する前,ほとんどの国の政府債務は歴史的な基準で高水準にあった。IMFが「先進国」としている国のほぼ90%で,債務対GDP比は,2007年後半に始まり2009年半ばまで続いた最新の世界的不況時よりも近年高くなっている。

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ほとんどのG7国では,大不況後の数年間で債務がGDPの一部として増加した。たとえば米国では,2006年には債務がGDP64%だったが,2012年以降はGDP100%を超えている。コロナウイルスが深刻な打撃を与えたイタリアでは,政府債務は2006年の最後の不況に至るまで,GDPよりもわずかに高いだけだった(103%)。2013年までに,イタリアの債務はGDP129%にまで増加していた。

IMF12月の分析によると,「低所得の途上国」(1人あたりの所得が一定の基準を下回る国と定義)でも公的債務が増加している。423日,国連の貿易開発委員会(trade and development panel)は途上国における「迫り来る債務災害」(looming debt disaster)について警告し,1兆ドルの債務救済(debt relief)を含む措置を求めた。

Does high government debt matter?
高い政府債務は問題になるか?

 専門家は,政府の債務が多すぎることについては異なる見解を示しており,債務対GDP比だけでは,国のリスクレベルを決定しない。たとえば,日本と米国は,世界の政府債務対GDP比が最も高い国であるが,信用格付け機関は両国に概して高い評価を与えている。これらの評価は,国の能力や債務を返済する意思など,政府債務以外の要因を反映している。

米国では,最近制定された2兆ドルの救済計画が,特にGDPの縮小に伴い,債務を大幅に押し上げると予想されている。2020年の第1四半期,米国経済は4.8%縮小した。これは,金融不況(the Great Recession)以来最大の落ち込みであり,第2四半期にはさらに下落が予想される。議会予算局(the Congressional Budget Office)は428日に,政策の変更なしに,連邦政府の債務対GDP比率は2021会計年度末までに最高レベルに上昇する可能性があると予測した。

同時に,救済計画はさらに悪い経済状況を食い止めるために役立つ可能性が高く,金利が低いため,借入はそれ以外の場合よりも安い。

4月のピュー・リサーチ・センターの調査では,米国の成人の88%が経済援助計画は「正しいこと」であると回答し,大多数が 大企業(77%),企業(71%),失業者(68%),州および地方自治体(67%)を助けるのに大いに役立つと述べている。

一方,連邦債務の合計(the total federal debt)が24兆ドルを超えても,政府債務を差し迫った問題と見なしている米国人はほとんどいない。今年初めと昨年のギャラップ調査では,米国の成人のほんの一部(4月の調査では1%)のみが,今日,国が直面している最も重要な問題として,連邦予算の赤字と連邦債務を特定した。また,ピュー・リサーチ・センターの調査によると,連邦予算の赤字を削減することが大統領と議会にとって最優先事項であるとする米国の成人の割合は2013年以降減少している。(センターの調査では,債務ではなく、財政赤字について尋ねている。)

(転載了)
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日本は 元々 債務GDP比率が大きいので,影響率は小さい,というのは楽観的すぎる?

海外保有者が7.6% という少なさが日本の国債の特徴で大きいながら問題にならない理由の一つと言われています。

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