“Cause” と “Reason” の違い
45年以上前の会社員時代,海外に引き渡した製品の「損傷解析」を行って,その報告書に ‘reasons of the damage’ と書いて 上司に 「“damage” に “reason” はない, “cause” だ。」と直された記憶が今も残っています。
そのとき以来,“reason” と “cause”,日本語で 単純には「理由」と「原因」の使い分けには注意を払ってきました。
自分なりに使い分けのルールを持っているつもりですが,かと言って,厳密に “reason” と “cause” の違いを述べよ,と問われて 理論的に説明する自信はありません。
‘Difference Between.net’ の “Difference Between Cause and Reason” で確認してみるとー
以下,拙訳・転載します。
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“cause” と “reason” は非常に類似した単語であり,多くの場合,同義語として使用され,両方に名詞と動詞の形がある。
“cause” はラテン語の “causa” に由来し,“reason” または “sake” に変換されるため,これは理解できる。
同様に,“reason” は,“cause” または “understanding” を意味するラテン語 “rationem” まで遡ることができる。したがって,“cause” と “reason” は通常, “why” の質問に答えるときに使用される。
ただし,厳密な文法学者は,これら2つは異なる単語であり,常に同じ意味で(interchangeably)使用する必要はないと言っている。
一般に,“cause”(原因)は結果を生み出し,“reason”(理由)は決定または意見を支える。以下の概念は,そのような違いをさらに掘り下げる。
What is Cause?
“cause” は,何か(something)を起こす何か(something)として主に理解されている。
たとえば,「あなたは,あなた自身の苦しみの “cause” である」という仏の引用は,個人自身が自分自身の悲惨(misery)につながることをすることを意味する。
名詞としては,行為,人,物,または状態を生じさせる任意の要素である。
一般的な同義語には,“origin”,“source”,および “root” がある。それに関連して,動詞としての通常の同義語には,「導き(lead),生み出す(produce),促す(prompt)」などがある。
たとえば,「ロビン・フッドが高貴な大義(noble cause)のために富裕層から奪う」という文言は,ロビン・フッドの行動が名誉ある目標(honourable goal)によって動機付けられている(motivated)ことを示している。この定義は,個人が擁護または闘うことをいとわない重要な取り組みを指す。
その同義語には「信念(conviction),信念(belief),理想(ideal)」などがある。
What is Reason?
“reason” はしばしば特定の行為の正当化(justification)として理解される。
たとえば,誰かが「あなたの行動の正当な “reason”(理由) を教えてください」と言ったとき,それはその行為を正当化するためにきちんとした説明が与えられなければならないことを示す。
その同義語には「基礎(basis),根拠(rationale),および原因(cause)」などがある。
別の定義は,理解,意見の形成,思考などの精神能力(mental abilities)に焦点を当てている。
ヴォルテールの「信仰は,それが信じる理由(reason)の力を超えているとき,信じることにある」とは,信仰を持つことは,人間の知的能力によって通常理解できることを超えていることを反映している。
その同義語は「常識(common sense),賢さ(sagacity),賢明な判断(wise judgement)」などである。
さらに,ニーチェの「愛には常にいくらかの狂気(madness)がある。しかし,狂気には常に何らかの “reason”(理由)もある。」とは,愛は狂気の中に存在するので,正気は愛に含まれることを意味する。
その同義語には「知恵(wits)と心(mind)」などがある。
動詞として,“reason” は論理的に議論することを意味する。
たとえば,「私は彼女と議論(reason)しようとしたが,それは無駄だった」。その同義語には「“convince”(確信させる,納得させる,説得する),“persuade”(説得する,口説く)」などがある。
さらに,“reason out”(論理的に熟考する)とは,パズルやわかりにくい概念を解明する(figuring out)ことがふさわしい(pertain)。 たとえば,「科学者たちはミッシング・リンクをついに解明した(reasoned out)」。
Difference between Cause and Reason
“Cause” と “Reason” の違い
1. Application in the Field of Philosophy
(哲学の分野での応用)
“cause” という言葉と比較して,“reason” という用語は,動物のより低い形態と比較して人間の心の知的能力に関係しているため,哲学に独特の関連性(relevance)がある。この定義は,判断や概念などのプロセスと “reason” を結び付ける。
一方,“cause” はそのような精神プロセスに関連するものではない。
2. Variety of Meanings for Cause and Reason
(原因と理由の意味の多様性)
“reason” は正当化,理解,または常識を指し,“cause” は起源(origin)または原則(principle)に関係し,“reason” には “cause” よりもさまざまな定義がある。
たとえば、「彼の “reason” (判断力)は多くの “reason”(根拠) を示す例外的な推論(reasoning)の証拠」と「貧困が彼の人生の信念(cause)を引き起こした(caused)」と比較することができる。
3. Relevance with Experiments
(実験との関連性)
“cause” は,“reason” と比較して,実験手順にはるかに関連している。
科学的方法は通常,“cause” と因果関係を評価するため、通常,特定の状況または行為につながる要因にリンクされている。
たとえば,研究者は 「病気の “reason”(理由)」ではなく,「この研究は,病気の最も可能性の高い “cause”(原因)を特定することを目的としている」と述べるのが妥当であろう。
4. Intelligence
(知性)
“cause”(原因)と比較すると,“reason”(理由)は知性の概念と密接に関連している。
たとえば,18世紀の知的運動を特徴とする啓蒙時代(Enlightenment Period)は,「理性の時代」(Age of Reason)としても知られている。
5. Purpose
(目的)
“cause”(原因)は明確な結果(effect)を作り出すことを意味するので,一般的に“cause” には道具的目的がある。
一方,“reason”(理性) には,意思決定,説明の提示,現実との同期などの認知プロセス(cognitive processes)が含まれるため,精神的な目的がある。
6. Preposition
(前置詞)
通常,“cause” は “of” という前置詞が続き,“reason” の前には “for” という前置詞が付く。例えば,「彼の病気の原因(The cause of his illness)はストレスである」と 「彼が去る理由である(reason for leaving)」。
7. Idioms
(イディオム)
“cause”(原因)は “make common cause“(提携する)というイディオムで採用されている。
“reason”「理由」は,「bring to reason(理性を持って)」,「by reason of(理由により)」,「within reason(理にかなった),(stand to reason,「理念に立脚して」),「with reason,(理由があって)」というイディオムで活用されている。
CauseとReason 総括
・“cause” も “reason”も “why” の質問の答えに使われる。
・“cause” は,「何か」を起こす「何か」として主に理解されている。
・“cause” は,本質的にサポートされている原則(principle)または目的(aim)でもある。
・“reason” はしばしば特定の行為の正当化として理解される。
・“reason” の他の定義は,正気(sanity),正当化(justification),および議論(argument)に関係している。
・“cause” と比較して,“reason” という用語は哲学に独自の関連性がある。
・“reason” には “cause” に比べ 多様な定義がある,
・“cause” は,“reason” と比較して,実験手順にはるかに多く関連している。
・“cause” と比較すると,“reason” は知性の概念と密接に関連している。
・“cause” には手段的な目的があるが,“reason” には精神的または哲学的目的がある。
・“cause” には前置詞 “of” が続き,“reason” の後には “for”が続く。
・“reason” には “cause” よりも多くのイディオムがある。
(転載了)
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日本語の「原因」と「理由」に比べて, “cause”,“reason” を厳密に使うのは難しそうです。
とりあえずは 「原因」,「理由」の意味を理解しているなら, “cause”=「原因」,“reason”=「理由」と訳して問題なさそうな気がします。
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