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2020年7月25日 (土)

欧米人から見た日本人 「何故 それほど回復力があるのか?」

BBC.com’ の ‘Travel’ のサイト(1 July 2020付け)に “Why are the Japanese so resilient” (何故 日本人は,それほど回復力があるのか?)の見出し記事がありました。

resilient 《形》1. 弾力(性)のある,弾力的な 2. 回復[復元]力のある,立ち直りが早い 3. 回復力[機能]のある[を持つ] 4. 張りのある 5. 歯応えのある 6. 快活な)

下記,拙訳・転載します。
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定期的に自然災害に襲われて(pummelled),日本はしばしば逆境(adversity)から立ち直らなければならなかった。しかし,これにより,不屈の精神(fortitude)と復元力(resilience)の文化的特徴を育んでいると主張する人もいる。

東京から北へ130キロの高崎にある少林山達磨寺では,積み重ねられた何百ものずんぐりした人形に迎えられる。それぞれの人形は,ほとんどが赤く塗られており,大きな黒い目で,大きな髭を蓄えた顔をしており,厳しい決意の表情で凍っている。これらは,中国の禅仏教の創始者である菩提達磨をモデルにした「だるま」で,日本で最も人気のあるお守り(good-luck charm)である。高崎の農家は約200年前に 内部が空洞の(hollow)の張り子人形を作り始め,この地域は現在も全国の家庭で見られる「だるま」の大多数が作られ 販売されている。

お寺を訪れる人は,二つの目が空白の自分のだるまを買うことができる。購入者は,その左目の瞳孔(pupil)に願いを込めて色を塗る。願いが叶った後,購入者はもう一つの眼に色を付ける。年末が近づくと,訪問者はだるまを寺院に寄付し,新しいものを購入して別の願い事をしたり,目標を達成するための取り組みを新たにする。少林山達磨寺の人形の山は,その目的を果たしたものであり,新年の式典で焼かれる。

しかしだるまは,単に縁起の良いお守りではなく,より深い意味がある。

各だるまは基部に錘が付いており,左右に揺らすことができるが,転倒することはない。限界に近づきがちな国の粘り強さ(perseverance)の象徴である。

定期的に自然災害および人為的災害に襲われ,日本はしばしば逆境から立ち直らなければならなかった。

過去100年の間に,日本は1923年,東京を更地化した関東大震災に耐えた。1945年の広島と長崎をめぐる2つの核爆弾,ちょうど2か月後の東京の地下鉄サリンガス攻撃が続いた1995年の神戸地震,そして2011年の東北地方における地震,津波,核メルトダウンの三重衝撃に襲われた。昨年の10月,台風ハギビス(Hagibis)が広範囲にわたる破壊と死をもたらした。 しかし,逆境は不屈の精神と復元力の文化的特徴を育んできたと主張する人もいる。

「倒れると常に起き上がるだるまのように」と,日本で育ち,ニューヨーク市の日本協会の会長兼CEOを務めるジョシュア.W.ウォーカー博士は,「日本は復元力のモデルである。」と述べている。

「だるま」は,何度倒されても必ず立ち直らなければならないことを思い出させてくれる。このイデオロギーと「ダルマ」自体に強く関連しているのは,日本のことわざ「七転び八起き」で,これは  “seven times down, eight times upと訳される。 がんばる(to endure)の精神もそうだが,若いころから日本人の子供たちに教え込まれている特質(trait)である。

日本で長い時間を過ごすと,日常のスピーチに存在する “resilience” と “stoicism” の言葉に気付くだろう。「しょうがない」または正式には「しかたがない」(it can’t be helped)などの単語は – 「ガンバル」の命令形である「ガンバッテ」(do your best)と名詞「ガマン」(perseverance)とともに,しばしば会話に現れ,反映する粘り強さが高く評価され,称えるべき特性であるという事実を反映している。

2011年の東北地方太平洋沖地震と津波の後,人々が店の外に秩序だった列を作り,略奪など発生せず,「がまん」spirit による行動をとり,海外のメディアは示された穏やかさ(calm)と礼儀正しさ(civility)に感動した。ロサンゼルスタイムズの20113月の見出しは,「日本人の自制(restraint)は,テスト済みの回復力の文化に染み込んでいる」と述べている。「がんばろう東北」(「がんばる」,簡単には “let’s hang in thereの意味の包括的形式。)を勧めるスローガンは,公共の場所の看板やウェブに溢れていた。しかし、この復元力の精神には,批判がないわけではない。2011年4月のザ・エコノミストの「Silenced by gaman」というタイトルの記事は,「より良いものを期待するのではなく,頭を下げた忍耐のスマック」という勧めと,「さらに我慢する必要があるように思えるため,東北の人々はこの言葉に憤慨し始めている」と伝えた。
ジャパン・タイムズの記事は,「ガマン」は災害の受動的な耐性をもたらすと主張し,「万能薬(panacea)であり,人々がより多くのことをすることを必要(absolving)とする」と主張した。他のメディアは,「shoganai」の「腹立たしい」(exasperating)運命論(fatalizm)を批判した。

しかし,タイム誌は,「『ショーガナイ』というフレーズで暗示される運命は,人生の気まぐれ(vagaries)に対する無力さだけでなく,制御できないものを克服するための冷静な決意も意味する」と解説している。

それを克服する以上に,ウォーカー博士は日本が逆境(adversity)を曲げると信じている。 それは厳しい苦難に耐えるのみではなく,立ち直り,より強くなる。たとえば,1923年の地震の後,そして1945年のアメリカ空軍による爆撃の後に,東京の再建は、それを近代的な都市に変えた。広島は再建されただけでなく,1949年の建設法が「真の永続的な平和の誠実な追求」(sincere pursuit of genuine and lasting peace)と呼んだものを象徴する平和記念都市(Peace Memorial City)として完全に再考されました(reimagined)。そして今,神戸地震は日本の市民参加のターニング・ポイントと考えられており,災害後のボランティア活動の現在の傾向につながっている。
東北の三重災害の後,東北地方の福島県周辺で再建プロジェクトや原子力代替案を追求するプロジェクトが発生し,現在この地域で観光客が増加していることから,訪問者はこれを直接目にすることができる。

過去数年間,福島県は「希望の観光」(hope tourism)の概念を推進してきた。これにより,訪問者は被災地域の現状を確認し、将来の形成に関わる地元の人々に会うことができる。旅行会社ワンダートランク&カンパニーを通じて「ホープツアー」を企画している岡本岳大氏は,希望観光は「ダークツーリズム」の反意語だと説明している。福島では,「旅行者は地震や原発事故だけでなく,復興や逆境の克服からも学ぶことができる」と語った。

参加者は,福島第一原子力発電所の近くの道路や東京電力の廃炉アーカイブセンター(the TEPCO Decommissioning Archive Center)など,被災地や関連サイトを訪れ,現在の廃炉の取り組みについて学ぶと岡本氏は説明している。岡本氏が私に言ったハイライトは,地元の人々と話し,ワークショップをしていることである。「参加者は私たちの未来について考え始める。エネルギー,地域社会,過度に消費者の文化に関わる問題である。」
2011年の災害後,岡本氏は日本中で再生可能エネルギーに向かう傾向があったと言った。原子力エネルギーを再評価する草の根運動が災害の余波(aftermath)に結集され(mobilised),この国の数十年で見たいくつかの最大の抗議につながった。「すべての原子力発電所が停止され,太陽光発電への投資が増加した」と彼は説明した。

「残念ながら」と反核運動を振り返って岡本は言った,「日本のエネルギー政策全体を変えることはできなかった」。20158月,4年間休止した後,九州の川内原子力発電所が,原子炉を再始動した日本の原子力発電所の最初のものだった。しかし,福島では2040年までに100%再生可能エネルギーで地域に電力を供給することを地方自治体が目指している。

岡本氏は,この地域の明るい未来の「種」を全般的に見ている。東北の長く隔絶された沿岸地域と,東北の中心部と東京を結ぶ新しい高速道路を指している。 また,地震と津波の影響を受けた4つの県を経由して日本の訪れることがめったにない,東北の海岸沿いを走る全長1,000kmの新しい道、みちのく沿岸歩道(Michinoku Coastal Trail)だ。

彼はまた,「希望の観光」(hope tourism)を災害の影響を心に留めておくための方法だと考えている。「日本人にとって,事故の記憶は時が経つにつれて消えていく。だから,我々は旅行中に,現地の人々との会話を通じて 災害に思い出させ,問題を再考したいと考えている。」
岡本氏は,日本の災害の多くの経験は,国民を「非常に忍耐強く,団結」させたと言うが,同時に「我々は忘れっぽく,同じ間違いを犯しやすい。」

しかし,ウォーカー博士は,世界が今まで以上に日本の態度から学ぶことができるという点で,より楽観的に見ている。「人生の必然性(life inevitability)には,人生の輪の中の個人よりも大きな災害と勝利が含まれるという哲学的な理解が『日本には』ある」と彼は言った,「これは私たちが世界における自分自身を見つけた今の時代に特に関連し,有用な考え方(mindset)である。」

東京2020オリンピックの聖火リレーは,3月下旬に福島で始まる予定だった。この炎は,9年前の出来事からその月までの地域の回復を象徴していたことだろう。しかし,大会の延期により,聖火リレーは中止された。2021年にオリンピックが開催される場合,その注目(emphasis)はより最近の世界的な災害であるコロナウイルスのパンデミックからの回復に移行することになりそうだ。

放射線への恐怖が徐々に薄れ始めるにつれ,目に見えない恐怖(dread)が次々と起こっている。私たちの多くは耐えるしかなく,おそらく直後(aftermath)のより良い世界を望んでいる状況である。
逆境は人生の避けられない部分であることを思い出させてくれる。世界の多くが屋内に引き籠っているとき,高崎では「だるま」の山が相変わらずストイックに座っている。これは強力なシンボルである:うずくまった小さな人形が伝統的に赤く塗られるのは,日本の江戸時代に天然痘ウイルスに対するお守り(talismans)として使われたからである。

(転載了)
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日本には 「七転び八起」のだるまがあるのです。

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