Brooks Brothers の破産,その経緯・原因は?日本での営業は?
サラリーマン時代の35歳(1985年頃)から55歳の頃まで,スーツと ドレス・シャツのほぼ100%は Brooks Brothersの製品を愛用し,スーツは春秋用と冬用を ほぼ毎シーズン購入していました。
その Brooks Brothers 破産申請のニュースを昨日 7月8日,知りました。
“Brooks Brothers” の破産申請に関して ‘Bloomberg’(July 9, 2020付け)の記事を読んでみます。
下記,拙訳・転載します。
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“Brooks Brothers Goes Bust With Business Clothes Losing Favor”
ブルックス・ブラザーズ,ビジネス・スーツの利益を失って倒産
ブルックス・ブラザーズ・グループ(Brooks Brothers Group Inc.)は,パンデミックによる衣料品の販売への影響と巨額の債務により倒産を申請した。2世紀の歴史を持つ,このアパレル企業は,コロナウイルスの発生中のロックダウンが 保守的な(old-line)の小売業者の悩み(woes)に加わり,最新の倒産(succumb)となった。ウイルスの流行以来,“Neiman Marcus Group Inc.”,“J.Crew Group Inc.”,および “John Varvatos Enterprises Inc.”
は 既に それぞれ破産を申請している。
デラウェア地区での第11章の破産申請により,ブルックス・ブラザーズは事業を好転させ,債務を返済する計画を立てている間も営業を続けることができる。声明によれば,同社は裁判所の書類に少なくとも5億ドルの資産(assets)と負債を記載し,‘Joseph Abboud’ と ‘Anne Klein’ ブランドの所有者である ‘WHP Global’からの7,500万ドルの破産ローンを併記した。
パンデミックは,オフィスビルが閉鎖され,人々が自宅で仕事をすることによりビジネスウェアの需要を害し,ブルックス・ブラザーズに大きな打撃を与えた。ブルームバーグが以前に報じたところによると,ブルックス・ブラザーズは昨年以来,約250の米国の店舗の多くが販売の落ち込みに苦しんでいたことから,身売りを試みてきた。声明によると,買い手を見つけるための努力は,破産中もオークションを続行し,ブルックス・ブラザーズはこのプロセスが数か月で完了する(wrap up)と予想している。
裁判所の文書によると,ブルックス・ブラザーズは,パンデミック中にほとんどの従業員を自宅待機させる(furloughing)前,約4,025人を雇用していた。 水曜日(7月8日)の時点で,同社の従業員のうち約1,125人は自宅待機させてない。
Dressing Presidents
大統領の衣装
1818年に,マンハッタンのチェリー通りとキャサリン通りの角に最初の店を構えたブルックス・ブラザーズのシンプルでクラシックなスーツは,ウォール・ストリートの必需品(staple)となった。 自身を最古の米国の衣料品小売業者と呼んでいるブルックス・ブラザーズは,エイブラハム・リンカーンを含む米国の大統領の服を作り,現在,男性,女性,子供服を販売している。
店舗は,1979年の,東京の旗艦店(flagship)設置を皮切りに国際的な展開を開始し,米国外に250以上の店舗をオープンさせた。これらの店舗は,消費者がカジュアルな服装やオンライン購入にシフトするにつれて重荷(burden)になっていた。
同社は,約3,500万ドルの未処理ギフトカードの履行と,顧客ロイヤルティ・プログラムと返品および交換ポリシーを継続させることに関し,裁判所の承認を求めている。
(転載了)
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新型コロナウイルス流行による長期の一斉店舗休業が 破産の引き金になったようですが,すでに かなりの負債があって 遅かれ早かれ 何らかの問題が露呈していたのかも知れません。
決して 200年の歴史に胡坐をかいていたわけではないでしょうが,21世紀になってからの社会の変化に伴う衣料品の需要傾向の変化への対応遅れ,あるいは 不適応が大きな原因のようです。
需要傾向の変化としては スーツの需要縮小(オフィス・ウエアのカジュアル化),カジュアル・ウエアの廉価化 および オンライン購入増加 などが考えられます。
私が Brooks Brothers から足が遠のいていったきっかけは,リタイア後の衣料費削減はもちろんですが,2,000年代に,スーツ,ジャケットの製品ラインに,それまでの Brooks Brothers のメインだった,所謂,アメリカン・トラディッシュナル(‘三つボタン 中一つ掛け’,‘ウェスト・ダーツなし’,‘ナチュラル・ショルダー’,‘センター・ベント’,‘1/4 インチ ステッチ’など )の サック・モデルが 突然少なくなった,あるいは 探さないと見つからないようになったからでした。
これは 2001年に経営がイタリア人実業家 クラウディオ・デル・ヴェッキオ 氏に移った頃からで,原因は彼にあると ずっと思ってきましたが,時代の趨勢に遅れないようにとの動きだったのかも知れません。この商品ラインの変更による被害が大きかったのか,予想された被害を小さく抑えることができたのか不明です。
詳細は分かりませんが,日本の Brooks Brothers(日本企業の出資 40%) は経営継続の方針のようです。
Brooks Brothers Japan のサイトには下記の「お知らせ」が 7月9日付で掲載されました。
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【株式会社ブルックス ブラザーズ ジャパン】営業について
一部報道されているとおり,7月8日(現地時間)に米国にて,ブルックス ブラザーズ グループ インクは,米連邦破産法第11条の適用を申請したことを発表いたしました。しかしながら,株式会社ブルックス ブラザーズ ジャパンは,ブルックス ブラザーズ グループ インクと株式会社ダイドーリミテッド社との合弁会社であり,単独の法人として運営されておりますため,直接的な影響を受けることはございません。
日本国内のブルックス ブラザーズ店舗や,オンラインショップについては,通常どおり営業を続けております。
また9月4日オープン予定の新店舗,「ブルックス ブラザーズ 表参道」も予定通りオープンいたします。
商品展開についても,当面の間は従来通りのラインナップでお客様へご提供が可能であると見込んでおります。
当社の会員制度「ブルックス ブラザーズ メンバーシップ」にご登録いただいているお客様につきましては,今までどおりポイントや特典をご利用いただけます。
お客様には大変ご心配をおかけしておりますことを心よりお詫び申し上げますとともに、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
<ブルックス ブラザーズ会長兼CEOのクラウディオ・デル・ヴェッキオよりのメッセージ>
「200年以上にわたり,ブルックス ブラザーズは,堅実に事業を展開し,進化し続けるファッショントレンド,変動する経済サイクル,さらには世界大戦を生き抜いてきました。私たちの長い歴史は,ブランドの強さと,1818年以来守ってきた,お客様に革新的で,上質で,パーソナルなサービス,そして最高の価値をお届けするという私たちの使命の証です。」
「私たちの優先事項は,当社の伝統と将来に対するビジョンを充分に理解するとともに,当社の中心的な価値と文化を大切にしてくれる,新しいオーナーによって,この重要な局面を乗り越えることです。新型コロナウイルス感染症が流行する前から,当社は,急速に変化しつつある小売業界を取り巻く環境の中,事業売却も含め,会社の将来の成功を導くためのいくつかの戦略的な施策を検討していました。業界を取り巻く状況は,コロナの流行により一層厳しいものになりました。効率的な事業売却を進めるために,事業保全を図ることは,他のいかなる選択肢よりも会社の将来のための最善の策です。」
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