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2020年8月16日 (日)

モーリシャスで座礁したバルクキャリアの流出油による汚染補償は?

7月25日((株)商船三井のプレス・リリースでは 26日),日本の会社の所有・運航の大型バルク・キャリアが,モーリシャスのサンゴ礁に座礁,その後,船体にクラックが発生して 燃料油が流出し,付近の海,海岸を汚染しています。

その被害に対する補償はどうなるのかー

SWI(swissinfo.com)’ サイト Aug.142020付けの記事を読んでみました。

拙訳・転載します。

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Who pays for Mauritius oil spill and how much?
誰がモーリシャスの油流出の費用を負担するか,そしていくらか?

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東京発(ロイター)日本のバルク・キャリアが725日にインド洋の島国モーリシャス沖のサンゴ礁を襲い(struck),約1,000トンの燃料油を流出させ,「環境緊急事態」(state of environmental emergency)を引き起こした。

科学者達は,流出はこの国の最悪の生態学的災害(ecological disaster)であり,野生生物を殺し,世界中からの観光客を引き付ける自然のままの(pristine)水を汚染していると言う。 被害の全体像はまだ進行中である。住民は油膜を拭き取るための奮闘をしている間,燃料油に浸された海鳥が岸に打ち寄せ,死んだウナギと魚が水に浮いているのを見ている。

以下,法的見解(the legal implications)を示す。

THE SHIP AND OPERATOR
船とオペレーター

船の所有者および運航者は,岡山県に本拠を置く民間会社,長鋪汽船(株)で,既にモーリシャスが補償(compensation)を要求してきていると述べた。事故の原因は現時点で不明であり,完全に調査される予定と声明で述べられた。

MV Wakashio” は鉄鉱石の運搬に使用される約300メートルのケープサイズのバルカーであり,載貨重量 約200,000トンで,2007年に建造され,二重船殻構造で崩壊に対して守られている。

船をチャーターした(株)商船三井(Mitsui OSK)によると,20人の乗組員のパナマ籍船は,ブラジルで鉄鉱石を積み込むためのコース上にあった。

このバルクキャリアはインド洋を横断開始する前に,中国の天津で貨物を降ろしていた。
オペレーターは,船が,なぜサンゴ礁にそれほど接近して航海していたのかを説明していない。

SPILL RECOVERY
流出の回復

船は 動力のディーゼル・エンジン用に約3,800トンの燃料油を積んでいた。 約1,000トンの燃料油が入っているその油タンクの1つは,座礁した後に破断した。

日本のClass NK検査機関によると,“MV Wakashio” はこの3月に年次検査に問題なく合格したという。

モーリシャスのプラビン・ジャグナット首相(Prime Minister Pravind Jugnauth)は水曜日(812日)に,残りのほぼすべての油が船から除去されたと述べ,まだ船内に残っている油のほとんどが汲み出されたという長鋪汽船(株)による以前の声明を確認した。

WHO IS RESPONSIBLE?
責任は誰に?

バンカー条約(the BUNKER convention)と呼ばれ,2008年の発効後,国際海事機関(IMOthe International Maritime Organization)によって管理されているバンカー油濁による損害(Bunker Oil Pollution damage)に関する2001年 国際民事責任条約(International Convention on Civil Liability)では,船舶の所有者が油漏れによる損害の責任を負う。つまり,商船三井ではなく長鋪汽船(株)が責任を負う。

長鋪汽船(株)は613日(原文のまま,8月の間違い?)の声明で,「適用法(applicable laws)に基づく補償請求に対処する」と述べた。

(株)商船三井の執行副社長である小野晃彦氏は,今回の流出について謝罪したが,スポークスマンはロイター通信に対し,事故に対しての責任はないと述べた。

LIABILITY
法的責任

船主によって支払われる補償額は,1976年 「海上損害賠償責任の制限に関する条約」(Convention on Limitation of Liability for Maritime Claims)およびその後の1996年に合意された改正条約に準拠する。この合意は,船主に適切な保険を確保することも要求する。

東京の戸田法律事務所によると,モーリシャスは支払いが20億円(1870万ドル)に制限されている1976年版を批准しており(ratified),日本は上限が70億円である1996年の文書に署名している。

この場合,どちらを適用するかを決定するのは,補償に関する裁判所の決定次第である。

INSURANCE
保険金

MV Wakashio” は,大洋航行と内航船(ocean going and coastal vessels)の保護と補償保険を引き受ける国内唯一の組織であるジャパンPIクラブ(Japan P&I Club)の保険をかけている。

日本PIのスポークスマンは水曜日(12日),クリーン・アップにかかる費用を「内部で見積もろうとしている」と述べた。
ジャグナットの政府もまだ見積もりを出していないと述べた。

S&Pグローバル・レーティング(SP Global Ratings)のアナリストであるKoshiro Emura氏によると,日本のPIのカバーは最大で10億ドル($1 billion)にも及ぶ可能性がある。世界中の数十を超える他の船主保険組合からの支援を期待できるからである。

SHIP REMOVAL
船体撤去

船の撤去はデリケートな作業であり,数か月かかる可能性がある。かつて植民地としてモーリシャスを統治していたフランスは,クリーン・アップを支援すると述べ,日本は専門家を派遣していると述べた。

国際海事機関は技術的なアドバイスを提供している。

($1 = 106.7400 yen)

(転載了)
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かつて 大型タンカーが事故を起こして積載重油 数十万トンを流出させた場合の損害賠償は 天文学的額になって,その1件で 船会社は潰れてしまう,という懸念が議論され,補償額の Upper Limit が設けられた経緯があるようです。

今回の場合は 保険で支払い可能でしょう。

ただ,うわさ(?)では 本船は 「Wi-Fi 電波を捉えるために島に接近した」とか 座礁時刻(本船時刻不明)に船上で「乗組員の誕生パーティーが開かれていた」との情報があり,正常な運航(海図確認に基づく適正な進路設定とその実行/follow)が行われていなかった可能性があり 船長が起訴される可能性がありと言えます。
そもそも 狭水道でもない,いくらでも好きなコースがとれるインド洋(昔ー 36,7年前,私自身インド洋を貨物船で航海して その広さは体感している)で島に接近しすぎて座礁するとは! しかも モーリシャスで!

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